#128 悠雅彦氏への追悼としての書評
『モダンジャズ群像』悠雅彦著(音楽之友社刊 昭和五十年第一刷)
正直言って、どの頁にも引用したい文がある。それだけこの書には悠さんの、批評と、それ以上に思想が凝縮されている。
Read MoreJazz and Far Beyond
正直言って、どの頁にも引用したい文がある。それだけこの書には悠さんの、批評と、それ以上に思想が凝縮されている。
Read Moreテリー・ライリーの音楽は、完結しない世界なのか、永遠の安寧としての涅槃なのか。
Read More邦楽がその領域を形成する求心力と遠心力の均衡を崩し、また取り戻していくためには、齋藤(徹)のような横断的音楽家の存在が不可欠であろうと思うのである。
Read Moreホンジンガーはあくまでチェロ一本(時に弓は二本)にこだわった。その集中力は偏執狂的というべきものだった。
Read More和太鼓演奏は根本が保守的であり、それ以外である必要はない。
Read Moreその響きは、現代社会と同じく、いや人類の歴史と同じく、調性とノイズのせめぎ合いである。
Read Moreしかしここで天才が現れる。箏奏者、作曲家の宮城道雄(1894〜1956)である。宮城こそは箏曲のモリコーネとも言える存在だ。
Read Moreブレッツマンは、フリージャズをフリーミュージックと書き換えて世界に布教した
Read More1997年に日本で刊行された限定200部のディスコグラフィー。
Read More坂本龍一23歳の<環螺旋体>設営と「学習団」からのアピール
Read Moreここには決定的に欠けているものがある。それはまさに「ウタ」であった。
Read Moreジミヘンがいきなり世界中からロックスターとして注目されたのと対照的に、タジはひたすらブルースを追求し、その中で革新を試みた。
Read Moreアドリブを記憶するほど聴き、ぼろぼろになって買いなおしたのはこれくらいです。
Read More河崎の求めるのは仮構の共同体、幻想の部族であろう。それは上演であり作品ではないのだ。
Read Moreこの一書がそのままユーラシア文芸手引書なのだ。
Read More河崎の旅はユーラシア各地の巫を求め歩く旅であるともいえる。
Read More元々曲ごとの構造性を明確にするのがガリオの特徴だったが、その傾向はこのヴァーサタイルなトリオで顕著になった。
Read Moreなんだかライブの印象が壊れそうで、私は松本の尋常ならざる執念の作品『無常』を買わなかった。
Read MoreこのCDの演奏の印象をもし一言でというなら、まさに朝焼けの空にたびく雲の静けさかもしれない。
Read Moreサブ豊住。パワーもテクニックも若いときを凌駕している。つまりこの人はまだ発展途上なのだ。
Read Moreアイヘンベルガーとガリオは、ユニゾンに歩み寄りながら、着かず離れずの距離で、束縛された即興を楽しんでいる。
Read More『アルケウス』が齎(もたら)す、誰も見なかった、そして誰もが見る夢の残像は、しかしまた私の物語になりきれず、虚空に消えて行く。
Read More池田の音と画像は別物なのだ。我々はその関係を誤読する、誤解する。それが池田の手法である。
Read Moreもしかつて宗教芸術が、神を描いたり、宇宙の仕組みを解いたりしていたのだとすれば、池田の方法論”datamatics”はまさにそれを引き継いでいるのではないか。
Read MoreここにはCON TONたるスープ「フリージャズ」がある。フリーであり、ジャズであること。それが騒乱武士の矜持だ。
Read More河崎の夢「ユーラシアン・オペラ」とは、失われたグラン・レシ=大いなる物語の断章を拾い集める作業ではないのか。とすればそれに接するものは、自分でその物語を想像することが許されるだろう。河崎純は我が夢の導き手である。
Read Moreとにかくトリオの新しい試みは、スウィンギーな細密画のような印象だ。それは例えば「オルタナティヴ・ロック」を彷彿とさせる。
Read MoreMORGUEのUは2号ではユートピアではなく、アンダーグラウンドに変更されている。彼が垣間みたフリーミュージックの向こうには、地下の死体置き場があったのだろうか。
Read More縄文、弥生、旧石器時代への憧憬、いや回帰を宿命とする音楽家土取利行は、 その故郷讃岐でサヌカイトに出会う。
Read Moreフランソワはいつもリアルタイムのアタック、強度、速度を追求している。これが音楽を牽引している。
Read Moreアンサンブルで演奏するよりソロ多重録音のほうが、このミュージシャンの資質を良く映し出していると感じる。
Read Moreそして私は、英語というフィルターを通す事で、意味と文脈を回避し、海原純子の「声の肌理」だけを味わっていた。
Read More私は、本アルバムにおいて、ドラムのパワーとビート感の専制としての「魔」を有する<日本のジャズ>が頂点を極めたことを確認した。
Read Moreしかしリックは64にして無伴奏ソロを完成した。貴方はまだ登り続けるのか。
Read Moreしかし、それでもなおブラクストンの諸作品が歴史的に残る理由はと言えば、その非歴史性、ジャズの伝承を超克する故だろう。
Read Moreこれら全て「自宅の超狭い防音室で」録音した巣ごもり、手作りの、多重録音無しの即興演奏である。世界を股にかけて演奏して歩くトランぺッターが、世界の圧力によって軟禁されたとき、其の表現力は圧縮されてかくなる形をとった。
Read More流麗、枯淡ともいえる過不足ない音の美にしばし酔った。(中略)日本の無伴奏サックスは「仮名文字の音楽」であると。
Read Moreえ、なんだかんだと牽強付会したところで、つまりはフリージャズだろうって。そうだ、これこそ「真性のフリージャズ、ニュー・シング、新しきもの」だ。
Read Moreしばらくは、この三者の相互反応がいかに発生するかを観察するつもりで構えていた。 しかし時間が経過しても、何かそれ以上の変容が起きる気配はなかった。
Read Moreしかし、(高柳が)井野や菊地と過ごす時間は、もはや直接行動あるのみという覚悟を裡に秘め、陰腹を切ってステージに上がり、さあ丁々発止の即興妙技をお聞かせしようというほどの和やかささえ感じる。
Read Moreペレルマンも、マルツァンとのデュオでは、かなり微分音を意識して演奏している。が、ジョー・マネリの軟体動物、蠕動の如きフレージングではなく、やはり彼らしい勢いのある水流が迸る。
Read More自らの死を予期しながら、若き日の思いで、ユーモアも交え、そして「ジャズをレコードで聴く」という事を一つの道、戦い、創造的手段として選んだ人がいたという事実を強く感じ、老いた青年の僕はこの書を閉じた。
Read More若く、ナイーヴな近藤等則がここにいる。71歳の老水夫のなかに、即興演奏の大海に漕ぎだしたばかりの若者がいた。さようなら。いやボンヴォヤージュ。
Read More阿部のソロは、やはりジャズのスタンダードを、そして日本の歌謡曲や古い歌をモチーフにして展開した。その意味では全くテーマの無いフリー・インプロヴィゼーションであるより、フリージャズの伝統に根ざしていると言っても良い。
Read Moreしかしむしろこれはジャズ的な問題を一切排したところに成立した日本、アメリカ、マレーシアのハイブリッドな音楽であり、そのテーマは、まさに「変化して行く未来」に期待するべきだろう。
Read More高円寺百景のキーボード奏者としても活躍する矢吹卓が、自らのプロジェクトとして世界中から30名以上の手だれを集め、梁山泊さながらの世界を作った。実に華麗、壮麗、絢爛である。
Read Moreしかし、モリコーネの音楽だけは、映画という物語性を伴う視覚メディアのお陰もあって、真に大衆の中に息づいているのは疑いない。これまでも、そしてこれからも。モリコーネが再来する事はないだろう。
Read Moreそれだけならまだしもジェネシス・P-オーリッジは、性転換してしまったのだ。それを非難するつもりは無い。僕だって時々オンナだったらなと思う事がある。
Read MoreDEDICATED TO YOU, BUT YOU WEREN’T LISTENING…(1971) だって?とんでもない!僕はいつでも君を聴いていたんだ!
Read Moreこの音楽は、その地の精霊とフリージャズのホーリーゴースト(聖霊)が共に歌い上げる声なのだ。東南アジアだからこそ生まれた新生フリージャズに栄えあれ!
Read More我々はかくもウィルスの影響を被っている。そしてその負債をなんとかするために郵便的なるもの〜ポスタルな方法(デリバリーのロジスティクス)も考えている。
Read More私は、焼け野原となった地に芽吹くものを聴くだろう。それがどんな音楽なのか。育ててみないと、花が咲かないとわからない。
Read Moreもう一度心理的深淵の周縁、「終着の浜辺」に打ち寄せる、誰も知らない郷愁を誘うレクイエムに聴こえてくる。
Read Moreさて、そんな些末な事はさておき「圧倒的」という言葉を、いざ使うのはこんな音楽に接した時だろうか。
Read Moreエヴァンとリットンがロンドンで1969年に邂逅して半世紀、シカゴで2019年に録音されたのが今回リリースされたアルバムだ。
Read Moreだから定型リズムでソロアルバムを創るというのは相当にユニークだ。
Read Moreこの音の決して鈍らない強度、そして延々持続する意志の燃焼。これは他でもないサム・リヴァースという「妥協しなかった男」「最後の硬派」の、今我々が接し得る全てではないのか
Read Moreエヴァンのサウンドは30年前に比較すれば、油のよく乗った歯車がゆっくりと回転しているような、滑らかな時計のメカニズムを感じさせるのであった。
Read Moreサブ(豊住芳三郎)とカントリーマンは、フィリピンで「ジャズの十月革命」を起こすだろうか。
Read MoreECMは想像力のこのうえない触媒である。ECMの音楽は空と海の間、消失点から響いてくる。
「フリー・アット・ラスト」。我々は、聴く自由によって解放される。
耳から映像が入ってくる。目から音楽が入ってくる。それが私のECMだ。
Read More今回上梓された『増補改訂版ECMカタログ』を手にすることは、私が食べて育ってきた料理のメニューを懐かしく眺めるような気持ちである。
Read Moreデレク・ベイリーは、少なくとも自らの即興演奏のイディオムを、ブルーズ、ブルーノートから脱却させた。同時にクリシェとしてギターサウンドを変更した。
Read Moreこの快感、耽溺を肯定する事は危険だ。この音楽に拝跪してはならない。私はこの音楽の強度に立ち向かわなければならない。それが真にこの音楽を聴く事だ。
Read More片山広明を愛する立花秀輝が、生前彼に提供した曲「酒屋が閉まる前に」がアルバムタイトルにされている。片山へのレクイエムなのだろうか。
Read More「この旅に終わりは無い」というロマンに対して私は言おう、「演奏を終わらせる意志、それが音楽である」。
Read Moreただ、そのローカリティの底を突き抜けて、グローバルというべきか、ヒトという構造の、精神という機能の共有領域まで連れて行ってくれる「こえ」なのだ。
Read Moreもし比較してみるなら、ボーカルの代わりにサックスがいると言ってもいいだろう。私はプラスティック・ドッグズをメタルバンドとして認識してしまいそうだ。
Read Moreまずはこのディエゴとエディクソンを発見しただけでも、ある意味、生でホリガーを聴いた以上の甲斐があったというものだ。
Read Moreベイリーはヴェーベルンを研究し、自らの語法とサウンドを確立した頃、それを確認するかのように幾つかのソロを録音した。それらは決して冗長なものではなく、曲ごとの意識の違う短い演奏を編集したものだった。
Read More低音弦楽器のデュオだけでも十分なところに、敢えて早川の渋い歌声が、ブルーズのような、
Read More演奏は終わった。しばしの沈黙、そして会場は大喝采。こんなオルガンの響きを誰も聴いた事が無かった。
Read More作曲者の死後も存在し続ける楽曲と、演奏者の消滅とともに消え去る即興。しかし、その両者の目指すところは永遠性として合致していた。両者の合間にデレク・ベイリーはいた。
Read Moreしかしはやり「鎌鼬」(かまいたち)だ。あの写真集の迫力に<騒乱武士>はどこまで迫れたのか。
Read Moreデレク・ベイリーは、西欧音楽の理念的発展と、抑制しがたい即興性の葛藤の間に出現し、その「引き裂かれた音楽」を他の誰よりもそれを如実に示している。
Read More温故知新などと言う前に、今、この二枚を聴け。いや、そんじょそこらの「なんちゃってフリー」ではない。二十世紀後半の波濤をかいくぐり、さらに自らの船を繰り出す2人の船長の声を。
Read Moreエヴァンはこのアルバムを深夜に、小さく再生し、睡眠中に聴くよう促している。残念ながらこのライヴ録音時の聴衆は謹聴し続けていたようであるが。少なくとも鼾は聞こえない。
Read Moreいずれ、受精後40年、大抵の事は演奏自体で出来る自信があると自負するバンドに成長したヒカシューは、極めて正気の沙汰のまま変態を達成した。
Read More貴方は一本の古木とも共演できる人でした。
Read Moreベイリーは、「曲」がほんの数小節まで凝縮されてよいのなら、即興演奏もまたそうあっていい筈だと思ったのではないか。
Read More彼はどこにも帰属すべき場所やレーベルを残さないし作らないのである。作品においては凝縮し、存在においては拡散する、それが彼のスタイルであろうか。
Read More貴方が聴くのは、フレッド・フリスが十年かけて作曲し、自ら指揮した三楽章からなる3時間半の即興的狂詩曲
Read More力技ではない。あたかも棋士の対決を見るように、互いの意思を図るべくサックスとドラムは感応する。
Read Moreアイラーはつぶやいた。「いま、俺が...ゴーストだ」
Read Moreリューダスは己自身の中で管楽器の演奏の「進化」と「根源」を同時に見せてくれる。これは音で聴く50分弱の生命史か?
Read More小杉は、アノニマスな音が良いのだという。だから求心性を否定して、多面性のある音を選択する。
Read Moreコルトレーンは最高のサックス奏者だ。だから、アイラーがサックス奏者以上の何かであるのをわかった。彼は今猛烈にそれを嫉妬している。
Read More「ジョン・コルトレーンだ。よろしく」。相手は、それが誰だか分かると、さっと立ち上がり手を差し出した。「アルバート・アイラーです。お目にかかれて光栄です」。
Read Moreこれは小杉武久という流動体を凍結し、切片を切り出し、その断面を仔細に観察してみる試みである。
Read More「音楽における即興性—比較音楽学的考察—」というのが、小杉の卒業論文のタイトルで、指導教官は小泉文夫だった。
Read Moreその彼がカルテットでのライブ。私は山内のフリージャズを初めて聴いたように思う。トラック4が特にそう思えるし、このアルバム内でもベストだ。
Read More一曲目「月食の夜」が圧巻だ。タイトルチューンにしたのも納得する。ベースの紡ぐ網目に管楽器各自の伸びやかな音(と声)が絡まり合い、風通しが良い景色が見える(蓮根だから穴があいている?)。
Read More彼女はシャーマンであるよりもまず表現者であり、現代世界のノマドであろう。「時間、空間を選ばず、遊弋(ゆうよく)しながら思想を伝える人」という解釈をしたい。
Read More「音楽が穏やかならば、人も穏やかになる 音楽がなくなれば、人もなくなる」
Read More彼らは何も声高に「これが俺のジャズだ」とは主張しなかった。彼らの存在自体がジャズの現在形だった。彼らはことさらにフリーであることを主張しなかった。
Read Moreそして、あたかも荒野の向こうから座頭市がのそのそと歩いて来るような、映像を想起させる演奏。いきなり、抜き身を構えた連中が襲って来る。しかし、十秒もかからず、皆倒されてしまう。
Read More一聴、その音楽に驚嘆し、多様式主義だのポストモダンだのと言葉を探したり、ゲーム、アニメの音効を思い出したり、落ち着いた顔で内心慌てている。
Read More「世界の歴史は偶然の積み重ねなのか、目的があってこうなったのか....」
「貴方はその問いを解かなければならないわ」