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Jazz Meets 杉田誠一No. 229R.I.P. 生悦住英夫

JAZZ meets 杉田誠一 #100「生悦住英夫について知っている2、3のことども」

追悼 生悦住英夫

 

photo & text by Seiichi Sugita  杉田誠一

2016年2 月 生悦住英夫 石田百合 浦邉雅祥@Bitches Brew

 

 

PSFレコード/モダーンミュージック主宰生悦住英夫が、2017年3月2日死去した。

生悦住と最後に会ったのは丁度1年前の2016年2月、浦邉雅祥 (as,etc) @ Bitches Brew である。その後胃ガンで入院し、直接の死因となったのは呼吸器系と思われる。というのは、最後に浦邉に電話がかかってきた時、全く聴き取れなかったという。
生悦住英夫は、浦邉雅祥を愛していた。それは、僕が殆ど浦邉に惚れちまってるのと同じくらいに、である。

わが Bitches Brew では、浦邉雅祥が月1は必ず出演する。年に1度は必ず 7 Days を演る。殆ど必ず来るのは、パートナーでもある_浦邉自身は「ベビーシッター」と呼ぶ_石田百合(オブジェ作家)。次に必ず来たのが生悦住。

入院するまでの数年間は、必ず毎回来ていた。浦邉のギグは、ただひたすら楽器=金属を自らの肉体と化することである。アルトに限らず、工事現場の鎖であったりする、他に、ギター(バタやんが泣かせる)、オカリナ、ハープ、アコーディオン、等々が徹底的に血肉化される。
「浦邉は、生命を削っている!」
演奏は終わると必ず生悦住は、自らに言い聞かせるようにつぶやく。「生命を削って」まで聴きに来たのだ。浦邉のアルバムは、すべからくPSFレコードから出ているが支持者は、アメリカ、ヨーロッパ、ホンコン、タイワンに熱く集中している。

明大前にあったコアなレコード店「モダーンミュージック」は、すでに閉店してしまったが、主たる原因は、海外での売掛けによる。

生悦住英夫について、ぼくが知っている2、3のことども。

(1)ぼくが主宰していた『ジャズ』誌の熱烈な支持者であった。「DIW( ディスク・イン・ザ・ワールド)」のチェックが毎号楽しみだったときく。

(2)酒は「景虎」に限ると言っていたけれども、残念ながら、一緒に「景虎」を飲む機会はなかった。たいていは711での「外飲み」だった(笑)かな?

(3)奥様が病弱で、夜の生活は永きにわたって不在であったが、晩年、若い彼女が出来たと、とっても嬉しそうでした。

(4)「阿部薫」とは、何だったのか? 対談をBitches Brewでやろうと約束していたのだけれども、残念ながら、実現しなかったことは、心残りで仕方ない。

あえて、追悼なるイベントは、一切行わない。浦邉雅祥@Bithces Brew を今後も月1~2回続けていくからである。

心より生悦住英夫のご冥福をお祈り申し上げます。                            合掌。

杉田誠一

杉田誠一 Seiichi Sugita 1945年4月新潟県新発田市生まれ。獨協大学卒。1965年5月月刊『ジャズ』、1999年11月『Out there』をそれぞれ創刊。2006年12月横浜市白楽にカフェ・バー「Bitches Brew for hipsters only」を開く。著書に、『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』『ぼくのジャズ感情旅行』他。

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