#96 追悼 ガトー・バルビエリ

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Mr.&Mrs.“プー”とぼくたちは、レオナルド・ベルトルッチ『ラスト・タンゴ・イン・パリス』の初日に並んで観に行く。ほとんどカップル。すべからく、エモーションは、正しい。
ガトー・バルビエリの映画音楽を聴き、そう深く実感する。何と挑発的で、情動性に富むのか? ぼくたちは、プーさんたちと別れ、ヒルトンへと黙って向かう。「バターを取ってね」は、少なくともぼくにとっては、すこぶる刺激ではある。黙々と、ただただ歩く。
と、バッタリ、ガトー・バルビエリと出会う。黒いハット、枯れ草色のコットン・ジャケットに、赤白ストライプのシャツ。 「Hi ! ガトー、たったいま『ラスト・タンゴ・イン・パリス』を観てきたよ」 ちょっと、キョトンとしていたけれども、ドン・チェリーの奥さんが、ゆっくりていねいに、伝えてくれる。
何と、ドン・チェリーとミルフォード・グレイヴスも一緒。ドンもミルフォードもいわゆる民族衣装で、キメている。ドンのは、細君の手になるものだと、とても誇らしく語る。 「これから、ラジオ・シティで、ぼくたち演るから、来ないか? 楽屋口に伝えておくよ。キミの名前は?」 と、
ドンから誘われる。
「ありがとう、もちろん行くよ、必ず」 “ロング・ホット・サマー”から遠く離れて、1972年のNYC夏。 ラジオ・シティ・ホール、真夜中はめくるめく“長く熱い夏”となる。ガトー・バルビエリ (ts)、ドン・チェリー (tp)、デューイ・レッドマン (ts)、デヴィッド・アイゼンソン (b)、ミルフォード・グレイヴズス (ds)…。美女群のはなやかなレヴューで知られる古い建築物は、そのまま、「フィルハーモニック」のように、われんばかりの残響でワン、ワーン、ワーーン。フリー〜ポストフリーの、さながらJATPと化する。

ガトー・バルビエリのLPやCDを片っ端から、聴きまくる、いま。すべからく、エモーションは正しい。
そして、すべからく、律動=インパルスは、正しい。
ガトー・バルビエリに、永遠のエロスを視る。
ソー・ロング! ガトー。合掌。

P.S. “プー”さんとは、ピアノの菊池雅章。

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杉田誠一 Seiichi Sugita
1945年4月新潟県新発田市生まれ。獨協大学卒。1965年5月月刊『ジャズ』、1999年11月『Out there』をそれぞれ創刊。2006年12月横浜市白楽にジャズ・バー「Bitches Brew for hipsters only」を開く。著書に、『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』『ぼくのジャズ感情旅行』他。

ジャズ・バー「Bitches Brew for hipsters only」のLive Scheduleは下記Facebookにて;
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