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No. 204カンザス・シティの人と音楽 竹村洋子

41. カンザスシティ・ロイヤルズとカンザスシティ・シンフォニー・ディレクター、マイケル・スターン

Kansas City Royals and the director of Kansas City Symphony, Michael Stern, text by Yoko Takemura 竹村洋子

2015年を迎え、新年に明るく楽しい話題を! 昨年、Jazz Tokyo203号のこのコラム#40 で触れた、カンザスシティ・シンフォニーのマイケル・スターン氏のその後について、是非紹介したい。
2014年秋、29年ぶりにワールド・シリーズに出場したも、惜しくもサンフランシスコ・ジャイアンツにやぶれ優勝を逃したカンザスシティ・ロイヤルズ。そのロイヤルズを応援したカンザスシティ・シンフォニーのディレクターを務めるマイケル・スターン氏は、ワールドシリーズ第7戦の前に「もし、サンフランシスコ・ジャイアンツが最終戦に勝ったら、ジャイアンツのジャージーを着て、次のコンサートに臨む!」と、公言した。
ワールド・シリーズ終了後、11月半ばに、シンフォニーの本拠地であるカウフマン・パフォーミング・センター・オブ・アートに於いてコンサートがあった。 ジャケットをモコモコに着こんで現れたスターン氏は、「もし、サンフランシスコ・ジャイアンツが負けたらサンフランシスコ・シンフォニーはコンサートでロイヤルズカラーのブルーのジャージーを着ただろう。でも、ロイヤルズは本当にいい所まで行ったけれど勝てなかった。 ジャイアンツが勝ったのだから、私達は忠実に約束を果たそうじゃないか!サンフランシスコ・シンフォニーはカンザスシティ・ シンフォニーが 〈We Left our Heart in San Francisco 〉(ジャズのスタンダードナンバー、〈I Left My Heart in San Francisco 〉 にかけている)を演奏してくれると期待してると思う。しかし、私達はたとえ敗れてもそれを演奏しない。なぜなら、私達は私達の心(heart)をサン・フランシスコに置いてこなかったから。私達はプライドを持って故郷、このハートランドに持ち帰ってきたからだ! そして、来年に又挑戦する!(Heartland:カンザス・シティはアメリカのど真ん中に位置しHeart of Americaと呼ばれている) 」と言ってジャケットを脱ぎ、その下に着たジャイアンツのジャージーを観客に見せた。
そして、サンフランシスコ・ジャイアンツとサンフランシスコ・シンフォニーの名誉の為に、ジョン・フィリップ・スーザ作曲のマーチ、〈The National Game(国技)〉を演奏した。 演奏後、サンフランシスコ・ジャイアンツのジャージーを脱いだその下には、何と!またカンザスシティ・ロイヤルズのジャージーが現れた。 何とユーモアとウィットに溢れた大人のパフォーマンスなのだろう! きっと、このYou-Yubeのビデオクリップが見られる方々には『落ち』まで楽しんで頂けると思う。

今年2015年はチャーリー・パーカー生誕95年にあたる。カンザス・シティではどんな楽しい事が待っているだろうか? 新しい年が、平和で明るい1年でありますように!

(2015年1月5日)

竹村洋子

竹村 洋子 Yoko Takemura 桑沢デザイン専修学校卒業後、ファッション・マーケティングの仕事に携わる。1996年より、NY、シカゴ、デトロイト、カンザス・シティを中心にアメリカのローカル・ジャズミュージシャン達と交流を深め、現在に至る。主として ミュージシャン間のコーディネーション、プロモーションを行う。Kansas City Jazz Ambassador 会員。KAWADE夢ムック『チャーリー・パーカー~モダン・ジャズの創造主』(2014)に寄稿。Kansas City Jazz Ambassador 誌『JAM』に2016年から不定期に寄稿。

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