#001 Tokyo Big Band (TBB)

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2014.8.29 @赤坂 Bb
text & photo by Kenny Inaoka 稲岡邦弥

Tokyo Big Band:
スティーヴ・サックス(as, ss, fl)鈴木圭 (as, ss, fl) 岡崎正典 (ts) サイモン・コスグローブ (ts) 武田和大 (bs) ルイス・バジェ、岡崎好朗、高瀬龍一、マイク・ザチャーヌック(tp)フレッド・シモンズ、池田雅明、高橋慎太郎、堂本雅樹(tb)萩原顕彰、中澤幸宏(horn)パット・グリン (b) 加納樹麻 (ds) 原とも也(gt)ジョナサン・カッツ (p/cond) スペシャル・ゲスト:アンドレア・ホプキンス(vo)

セット・リスト;
1st SET
1) Autumn Leaves–> Momiji 2) Light One 3) Besame Mucho* 4) Time After Time* 5) How Insensitive* 6) Cherokee* 7) Hamachidori 8) Oedo Nihonbashi
2nd SET
1) Haru No Ogawa 2) Umi 3) Sunayama 4) Mas Que Nada* 5) Continuance*
6) Moondance* 7) Mas Pescao
ENCORE
It’s All Right With Me*
*with Andrea Hopkins on vocals


ビッグバンドで甦る小学唱歌

1年に数回しか実現できないライヴなのに(ビッグバンドは数回でも大変だ)、前回の3月のライヴはひどい春嵐に見舞われ外出できず、今日もまた雨模様。少し遅れて着いたのだがすでに満員の盛況で熱気がムンムンしている。外人客が多く、ステージ上のバンドにも外人メンバーが目に付く(人気TV番組「Youはどうしてニッポンへ?」を観ていると、外人メンバーが多いのも不思議ではなくなる...)。グラマラスなアフリカン・アメリカンの女性ヴォーカルがラテンのリズムに乗って<ベサメ・ムーチョ>を歌っている。
ビールを飲んで一息ついた。赤坂見附の駅から旧TBSの前を通ってそこそこ歩いた。千代田線の赤坂駅からは近いのだけれど。
Bb(Bフラット)は、原宿の駅前にあったジャズクラブ「キーノート」の流れを汲む店。2001年3月の開店で、土日をアマチュアに開放したことが成功の一因だという。150席で、ビッグバンドがゆうに乗るステージの広さだから、アマチュア・ビッグバンドには打ってつけだ。サウンドにも定評がある。
ステージを見やると、30年以上の付き合いのあるスティーヴ・サックスがアルトの席に座っている。そもそもこのビッグバンドはスティーヴから紹介された。3月にリリースされたスティーヴの新作『マンボ・イン/マンボ・アラウンド・ザ・ワールド』(http://www.jazztokyo.com/five/five1070.html)に収録された日本の小学唱歌<海>のアレンジがとても新鮮だった。ジョナサン・カッツの編曲だと言う。ジョナサンはNYの名門イーストマン音楽学校のOBで、彼が東京で結成した国際色溢れるビッグバンドがこのTBBというわけだ。1stセットではアフリカン・アメリカンの女性ヴォーカル、アンドレア・ホプキンスをフィーチャした楽しいステージだったのだが、最後の2曲は<浜千鳥>と<お江戸日本橋>。2ndセットではさらに<春の小川><海><砂山>と小学唱歌が続く(オープナーが、<枯葉>から<もみじ>のメドレーだったようだが、残念ながら聴きそびれた...)。
通称「小学(校)唱歌」といわれる文部省唱歌は120曲位あるようだが、たしか何年か前に音楽の教科書から消えたはずである。<お江戸日本橋>は民謡だが中学校あたりで歌った記憶がある。ジョナサンは在日十数年のジャズ・ピアニストだが、小学唱歌の優しいメロディに心打たれ次々にビッグバンド用に編曲していったという。どの曲もいたずらにエキゾチシズムに陥ることなく、あくまで旋律を生かしながら、巧みなリズム処理とハーモニー展開で見事なビッグバンド・ジャズとして作品化されている。そう、あのシンプルな小学唱歌が見事な骨格を与えられ、ニュアンスを残しながらも20人で演奏するいわば交響詩に変貌しているのである。メンバー20人中、外国人は8名(米国5名、英国、カナダ、キューバ各1名)と国際色も豊か。実力者揃いのバンドだから適宜見事なソロを披露する場面もある。消え行く小学唱歌をビッグバンドで。幸い楽譜もダウンロードできるようなので、大流行の社会人ビッグバンドが積極的にレパートリーに取り上げてくれると嬉しいのだが。「水戸黄門」のテーマや氷川きよしを練習している近所の中学校のブラバンも優秀なテクでジョナサンのスコアに挑戦してみて欲しい。もちろん、TBB自身も模範演奏をCD化するはずである。
なお、次のTBBの赤坂Bb出演は12月4日が予定されているという。

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*初出:2014年9月29日 Jazz Tokyo #201

 

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稲岡邦彌

稲岡邦彌

稲岡邦弥 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。Jazz Tokyo編集長。 https://www.facebook.com/kenny.inaoka?fref=ts

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