Live Evil #31「阿部克自没後10周年記念写真展 トークイベント」

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阿部克自没後10周年記念写真展「ジャズの肖像ポートレイチャーズ」
トークイベント

2018年1月19日(金)19:30~
リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.P
出演者:悠雅彦(音楽評論家/プロデューサー)
行方均(音楽評論家/プロデューサー)

text: Kenny Inaoka 稲岡邦彌
photo:K.Abe 阿部克自(ミュージシャン)
Tak Tokiwa 常盤武彦(トークイベント)

写真家の阿部克自さんが亡くなった時、当JazzTokyoでは追悼特集を組み(リンク)、近しくしていた方々からコメントや写真の提供をいただいた(最近、新しいアメリカのサーバーにデータを移植した際、阿部さんが被写体となった写真を数葉追加した)。僕自身、阿部さんとはジャケットの写真でなんども仕事を一緒にさせていただいたのでその思い出を寄稿した。

阿部さんが亡くなって10年。「没後10周年」を記念して写真集が刊行され、写真展が開催されているのだが、その中でトークイベントが行われるという。監修者の行方均氏がホストとなり、1回目のゲスト、写真家の中平穂積さんに続いて2回目のゲストは当誌の悠雅彦主幹。僕が取材に出かける予定にしていたのだが、当日、急遽恩師の通夜が入ったため行けず仕舞い、やむなく当日の音声ファイルを借り出してレポートを綴らせていただくことになった。

前説で行方氏が語る。阿部さんはジャズ写真家として内外に広く知られているが、写真家にとどまらず、デザイナーでもあり、ラジオのDJでもあり、エッセイストでもあった。スタートはジャズ・ギタリストだったし。なんと言ったら良いか、“日本が世界に誇るべき国際的な名ジャズ・ファン”とでもいうしかないですね。阿部さんの仕事は広範囲に及んでいるが、すべてジャズに関係しており、根元にジャズに対する愛情がある。つまり、ジャズに対する愛情をいろんな形で表現したアーチストということになるだろう。僕自身の経験でいうと、阿部さんにジャケット用の写真撮影を依頼すると、そこには必ずデザインが含まれていた。撮影にあたってはジャケットの構図を念頭に置きながらポーズやアングルを決めていく。写真が上がると所期の構想通りのデザイン処理をしていく。写真集が「ジャズの肖像ポートレイチャーズ」と名付けられたのも、そういう写真が多かったということだろう。

阿部さんと悠主幹の出会いは、ローランド・ハナ(p)とジョージ・ムラーツ(b)の『1 x 1』(東宝 1974) 共同制作。この出会いが翌1975年から始まる悠主幹の自主レーベル WhyNotでのコラボレーションに発展する。「WhyNotレーベルでは阿部さんはデザイナーに徹していますね」という行方氏の発言に対し悠主幹は以下のように答えている。「僕が阿部さんに出した注文はひとつだけ。当時のムーヴメントを反映した赤(血)、緑(大地)、黒(肌の色)のいわゆるアフリカン・アメリカンのシンボル・カラーを使って欲しいということ。写真は僕が録音セッションで撮ってきたものを提供しました」「カバーには3色のニットが使われていますね」「そうです。奥さんに3色を編み込んでもらってそれを阿部さんが写真に撮ったのです」「ロゴも阿部さんのデザインですか」「そうです。WhyNotの音楽性が象徴されていますね」。悠主幹が録ってきた音楽のプレゼンテーションに阿部さんがヴィジュアル面の展開を担当したことになる。

阿部さんの人柄を表すエピソードとしてサド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ(通称サド・メル・オーケストラ)の1968年の初来日の顛末が披露される。エルヴィン・ジョーンズの奥さん、ケイコさんの思い入れだけで来日してしまったサド・メル・オーケストラ、ブッキングされていたのは新宿のピットイン1本だけ。泣きつかれた阿部さんは経済的援助の申し入れに応じたのだった。
1974年、再来日を果たしたサド・メル・オーケストラは様々な置き土産を日本に残し、阿部さんはジャケットの写真撮影とデザインで獅子奮迅の活躍をする。『サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ/ライヴ・イン・トーキョー』(DENON)、『ディー・ディー・ブリッジウォーター/アフロ・ブルー』(Trio)、『ジョン・ファディス=ビリー・ハーパー/ジョン&ビリー』(Trio)、1976年には、『峰順子/チャイルド・イズ・ボーン』(Trio)。

「阿部さんの写真の特徴は肖像画的であると同時にミュージシャンの表情ですね。たとえば、あの謹厳実直なジョン・ルイスが笑みを漏らしています」と行方氏。「ミュージシャンとの間に深い信頼関係が築かれていたのでしょうね。ロリンズの表情も素晴らしい」「それに尽きると思いますね。怒れる闘士と言われたミンガスさえも阿部さんの前では笑顔を見せています」。追悼特集の僕の寄稿でも触れたことだが、キース・ジャレットのような初対面のミュージシャンに対しては、Would you mind~(していただけますか?)という丁寧な語法を使って眼鏡を外すことを依頼し、あのナーヴァスなキースが素直に応じたのを目撃している。

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稲岡邦彌

稲岡邦彌

稲岡邦弥 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。Jazz Tokyo編集長。 https://www.facebook.com/kenny.inaoka?fref=ts

One thought on “Live Evil #31「阿部克自没後10周年記念写真展 トークイベント」

  • 稲岡編集長
    2018年2月1日 at 9:56 PM
    Permalink

    阿部克自没後10周年記念写真展 パート2開催中!
    場所:リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.P
    リコーイメージングスクエア銀座
    http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/squareginza/

    会期:パートII/2018年1月17日(水)~2018年2月18日(日)
    11:00~19:00(最終日16:00まで)※入館は閉館時間30分前まで/ 定休日:火曜日
    利用料: 一回入場・・・510円(税込)

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