#05 『Gayle Barcella Cabras / Live in Belgium』

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text by 定淳志 Atsushi Joe

el NEGOCITO Records 062

Charles Gayle – tenor saxophone & piano
Giovani Barcella – selected drums and cymbals
Manolo Cabras – double bass

1. chiaro sguardo
2. tears
3. di piccola taglia
4. sempre
5. dimmi
6. steps
7. tears (la parola chiara)

recorded january 2015

 

フリージャズ界の至宝、リビングレジェンド、統合の象徴、枕詞は何でもいいのだが、敬愛するチャールズ・ゲイルの現時点における最新アルバム。ゲイル以外の2人はいずれもイタリアのミュージシャンで、ドラムのジョバンニ・バルセラはアーサー・ドイルやボビー・フューらとの共演歴がある。録音は2015年1月と、はや3年近く前の演奏になってしまうが、CD作品としては彼の最新録音ということになる(本記事の投稿後、For Tune から『Charles Gayle Trio / Solar System』が出ている)。

彼の最近何年かの作品の中で、とびきり良い出来というわけでもないが、こうして衰えぬ活動意欲を見せてくれることに、ファンとしてはいつも感動し、自分もこのままではいかんのではないか、という気にさせられる。1939年2月28日生まれだから現在78歳(録音時75歳)、1歳下のロスコー・ミッチェルは相変わらず頭がおかしいとしか思えない過激な問題作を送り出している一方、さしものゲイルもさすがに長時間の演奏には体力がついてゆかぬのか(あんな演奏を長年続けていれば無理からぬことであるようにも思うが)演奏は全7曲40分と短い。サックスを休んでいる時間やピアノ演奏の比重も増している感がある。だがしかし、例えば2度演奏される<Tears>という曲の冒頭。たった一音で魂が震えるような背筋が凍るような頭が冴えるような胸をかきむしりたいような訳の分からないことを叫びだしたいような興奮して窓から(ここは3階だが)飛び出したくなるような感動を味わわせてくれる圧倒的なサックスの音は健在である。そんなサックス奏者は今も昔もそうはいない。しかも一音だけじゃない。その音でずっと吹き続けるのだ。ジャズ史を振り返ってみても、このように文字通り命を削るような音を発し続けながら長生きできた人はいない。チャーリー・パーカーもエリック・ドルフィーもアルバート・アイラーもデヴィッド・S・ウェアも皆、途上で斃れてしまった。だからこうして凄い音で吹き続けてくれ、その記録に接することができるたび、ゲイルの信条にあやかって言えば、神に感謝、せねばならない。

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定淳志

定 淳志 Atsushi Joe 1973年生。北海道在住。執筆協力に「聴いたら危険!ジャズ入門/田中啓文」(アスキー新書、2012年)。普段はすこぶるどうでもいい会社員。なお苗字は本来訓読みだが、ジャズ界隈では「音読み」になる。ブログ http://outwardbound. hatenablog.com/

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