#11 『Todd Neufeld / Mu’u 』

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text by Masanori Tada 多田雅範

 

蛇頭東京医学部稲岡病院長からキミも年間ベストを出さないかねとお声がかかりすかさず「御意!」、師匠の岸部一徳の歩くスタイルに魅了されましたが彼が1972年ミュージックライフ人気投票でベーシスト部門で1位(2位加部正義、3位山内テツ)だったことを音楽ファンは思い出すのです、

リスニングルームからダンスフロアへのジャズの地勢を最初に指摘したのは天才菊地成孔ですが、わたしは引きこもりのままなのです、タワレコの冊子に全パーソネルをテキスト出稿して10万円をいただいたことを契機に、スティーヴ・ジョブスに傾倒する編集者に全ECMカタログを作らないかと言われても、WIRED編集長にECMディスコグラフィーを作らないかと言われてもおのれの力不足でかなわず、現在進行中のECMカタログ(増補改訂版)からも途中降板をしたまま、ここで今年のベストを挙げるとするならば、ダヴィ・ヴィレージェスかコミタス作品集をECMレーベルから選ぶのがあるべき態度だと思っております、

ECMレーベルが70年代フュージョンのいち形式だったとも納得いたしますが、ヨン・クリステンセンやジャック・ディジョネット、ポール・モチアンが彩った打音のフィールそれぞれのうち、モチアンのタイムキーピングのあり様に注目していて、それは演奏を重層化、レイヤー構造をもたらす次なるパラダイムを示していたと思います、(わたしたちがモダンジャズを野球の現代ジャズをサッカーの快楽に喩える部分)、

とはいえここからここまでが新しいパラダイムだとか言うモンダイでもなくって、とにかく耳の鳥肌が立つような演奏音盤を聴かせてもらいたくて年4回批評家益子博之との「四谷音盤茶会」を開催し続けています、わたしが音楽に求めるものは「謎」です、

Mu’u / Todd Neufeld
Jazz Tokyo レヴュー
http://jazztokyo.org/reviews/post-20436/

わたしたちの耳には、彼らの音楽にはマネリ父子やポール・モチアンといった天体とも重なって見えている、これらの図式をアルバムジャケを配置して経歴や音楽用語や形容詞でもって説明するわけにはゆかない、名指すことのできない謎に打たれて、最先端の宇宙理論を求めて観測している真っ最中なのだ、まるでバンプ・オブ・チキンの歌詞なのだが、

耳はいつも独りぼっちだが、孤独ではない、つかもうとしてつかみきれない哀しみを抱えて、ぼくらは走る、

生命の息吹き、

蓮見令麻ちゃんの赤ちゃん誕生とこの音楽は相応しいと想っている、2017年、小沢健二と Sekai No Owari の「フクロウの声が聞こえる」にも赤ちゃんの誕生が響いている(テルミンのサウンドに、とオレは勝手に思っている)、同期、

Flin van Hemmen 『Drums of Days』 といい、蓮見令麻が主宰するレーベルRUWEH RECORDSといい、創造が息吹くかけがいのない時期を聴く者に体験させてくれている、それはレーベル特集とか現代ジャズシーンとかの編集スコープでは掬えない存在感で、それをうまく伝えることができないでいる、

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多田雅範

多田雅範

Masanori Tada / 多田雅範 Niseko-Rossy Pi-Pikoe 1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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