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このパフォーマンス2016(国内編)No. 225

このコンサート/このライヴ 2016(国内編)#08 東京ビッグバンド directed by ジョナサン・カッツ

東京ビッグバンド directed by ジョナサン・カッツ
(2月4日、9月16日、東京・赤坂ビーフラット)
京都フィルハーモニー室内お合奏団/Classic Meets Jazz
(2月26日、京都府立府民ホール)
上野耕平(4月19日、東京オペラシティ・リサイタルホール)
會田瑞樹(5月6日、東京オペラシティ近江楽堂)
小松亮太/タンゴの歌 featuring バルタール&グラナドス
(3月12日、東京オペラシティ・コンサートホール・タケミツメモリアル)
中彩香能三弦リサイタル(10月30日、東京・王子ホール)
伶楽舎/武満徹「秋庭歌一具
(11月30日、東京オペラシティ・コンサートホール タケミツメモリアル)

東京ビッグバンド directed by ジョナサン・カッツ
(2月4日、9月16日、東京・赤坂ビーフラット)

https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-8749/

まともに各項目に1点づつ推すという理想にはほど遠かった。しかし、好意的な解釈をすれば、それだけ甲乙つけがたい秀演が多かったということになるだろう。加えて、私の場合、全ジャンルを踏破して、招待状をいただけば都合がつくかぎり出席するライヴ礼賛派だけに、必然的にとりわけ<国内のライヴ>で秀逸マークが増えたことになる。
ライヴとは反対に、CDの場合、この数年はサンプルが概して途絶えた事情も反映して、試聴する機会が極端に少なくなった。反比例するかのようにライヴを集中的に聴く機会が俄然多くなったために、表記のような結果となった。従来の一押しでいくなら国内の<このライヴ>はサックスの上野耕平とパーカッションの會田瑞樹の両者のコンサートがいい勝負で、甲乙つけがたい。2人とも日本の若手演奏家の演奏能力の頭抜けた高さを示して余りある。ほかにも佐藤久成や古典四重奏団など優れたコンサートが幾つかあった。それはジャンルを超えているらしい。これを図らずも示したCDがMARUのデビュー作だった。私は初めてこのCDで彼女を知った。とりわけスキャットの奔放な唱法に圧倒された。本来なら新人賞に推挙すべきところを、あえて今年の<この1枚>に選んだ。海外の<この1枚>も2枚がブラッド・メルドーがらみで、今日のジャズでは最も魅力に富み、2枚とも味わいと奥の深いアルバムだった。バンドネオン奏者の三浦一馬がジャンルを超えてガーシュウィンに挑んだ1作といい、師のネクトル・マルコーニを招いて催したデビュー10周年記念コンサート(6月14日、有楽町・朝日ホール)といい、彼もまた小松亮太とは違うバンドネオン奏者の道を究めつつある点で注目をそらせない‘(悠 雅彦)

悠雅彦

悠 雅彦:1937年、神奈川県生まれ。早大文学部卒。ジャズ・シンガーを経てジャズ評論家に。現在、洗足学園音大講師。朝日新聞などに寄稿する他、「トーキン・ナップ・ジャズ」(ミュージックバード)のDJを務める。共著「ジャズCDの名鑑」(文春新書)、「モダン・ジャズの群像」「ぼくのジャズ・アメリカ」(共に音楽の友社)他。

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