この1枚2016(国内編)#04 『渡辺香津美/ギター・イズ・ビューティフル KW45』

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text by Keiichi Konishi 小西啓一

Warner Music Japan WPCR-17069 ¥2,500+税

 

1 ザ・カーブ・オブ・ライフ (生形真一(Nothing’s Carved In Stone)×渡辺香津美)
2 フラメンコ・ブルー (沖仁×渡辺香津美)
3 ティコ・ティコ (三浦拓也(DEPAPEPE)×渡辺香津美)
4 ジャンミ (井上銘×渡辺香津美)
5 ラウンド・ミッドナイト (SUGIZO×渡辺香津美)
6 トリステ (伊藤ゴロー×渡辺香津美)
7 丘の上 (高田漣×渡辺香津美)
8 ボレロ (押尾コータロー×渡辺香津美)
9 ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア (Char×渡辺香津美)
10  リップル・リング (Lee Ritenour×渡辺香津美)
11  ソレイユ (Mike Stern×渡辺香津美)
12  アイランド・ホップ (上記全員によるメドレー&ミノ・シネル(per)、谷川公子(key))

 

ぼくが選出した“今年の1枚”は国内外とも、期せずしてライブ&コンサートのベスト・ミュージシャンによるアルバムと言うことになった。今やCD不況時代、ジャズ・アルバムが売れるのはライブ会場が最も多いとも聞くが、良いライブ~好アルバムの相関関係を証明付ける結果になったとも思う。

色々好作品も多かったが、国内ベスト盤には渡辺香津美の『ギター・イズ・ビューティフル KW45』(WP)を選出。このアルバム、タイトルにも“KW45”とある通り、ひろみ(上原ひろみ)と並び真の意味でのワールド・ワイドな活動を展開している、ギター界の巨匠、渡辺香津美のプロ活動45周年に当たる今年、それを記念して出されたアニバーサリー作品。ジャンルを超越しギター・ミュージックの愉しさを満喫できる秀作である。“天才ギター少年出現”と、世間を驚愕させた17才での衝撃デビュー作『インフィニット』以来45年。ギターの申し子としてこの楽器をこよなく愛し、常に世界を意識しながらシーンの第一線で奮闘してきた彼。その仕事振りに多くの若いギタリスト達が敬慕の念を持ち彼と付き合い、この周年記念アルバムに彼らはこぞって駆けつけ,珠玉のデュオを繰り広げた。その模様がこのアルバムには刻印されている。デュオ相手は、ジャズからは若手の井上銘、ロック界からはチャー,SUGIZO、押尾コータロー、ボッサの伊藤ゴロー、フラメンコの達人、沖仁等々、まさに多士済々のギター漢達。更に海外からもリー・リトナーとマイク・スターンと言った関係深い名手2人が参加。まさに全12曲、ギター界夢の饗宴そのものと言えるアルバムで、華麗にして深淵な対話集になっている。彼も心から後輩達との対話を愉しみ、気楽にしかも真摯に接する。ここで極上の愉しさ溢れたデュオ演奏を繰り広げた面々の殆どは、5月に渋谷オーチャード・ホールで行われた周年記念ライブ“45周年記念祭”にも登場(外人勢は参加せず)、香津美とのデュオ・プレーをステージで披露。更にここにあのクラシック・ギターの名花、村治佳織も加わり、記念ライブは一層の盛り上がりをみせた。

アルバムのナンバーはどれも個性的で印象深いものばかりだし、全員が登場するラスト・ナンバーも素敵だが、1曲を選ぶとすればコンサートでも万余のファンを魅了尽くした、SUGIZOとの“ラウンド・ミッドナイト”。モンクの銘品がノイジーでアグレッシブなジャズ・ロックへと大胆に変貌、アルバム以上にコンサートでの競い合いは鮮烈だった。それとこのアルバム、ジャケットも渋く秀逸。J-ジャズの至宝、渡辺香津美、流石です!

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小西啓一

小西啓一 Keiichi Konishi ジャズ・ライター/ラジオ・プロデューサー。本職はラジオのプロデューサーで、ジャズ番組からドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ、経済など幅広く担当、傍らスイング・ジャーナル、ジャズ・ジャパン、ジャズ・ライフ誌などのレビューを長年担当するジャズ・ライターでもある。好きなのはラテン・ジャズ、好きなミュージシャンはアマディート・バルデス、ヘンリー・スレッギル、川嶋哲郎、ベッカ・スティーブンス等々。

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