#1492 『Alex Cline, Dan Clucas, Peter Kuhn, Dave Sewelson, Scott Walton / Dependent Origination』

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text by 定淳志 Atsushi Joe

 

Alex Cline, Dan Clucas, Peter Kuhn, Dave Sewelson, Scott Walton / Dependent Origination

FMR Records(FMRCD478-1117)

Peter Kuhn – Bb and bass clarinet, tenor saxophone
Dave Sewelson – baritone and sopranino saxophone
Dan Clucas – cornet
Scott Walton – bass
Alex Cline – drums and percussion

  1. Aspiration
  2. The Nibbler
  3. The Way Out (Is In)

Recorded 6 November, 2016

 

2013年、クラリネット奏者ピーター・キューンが27年ぶりにジャズシーンに戻った時、彼は古い友と新しい友を集め、自らが信奉する仏教の概念をその名に冠したグループを始めた。それが「縁起(因縁生起)」(「Dependent Co-Arising」とも訳される)を意味する「Dependent Origination」である。キューンの親友デイヴ・セウェルソン(キューンが吹くバスクラリネットはセウェルソンから贈られたもの)、高校時代からの顔見知りながら実際に手合わせするのはこのバンドが初となったアレックス・クラインを中心に、現メンバーは新しい友としてダン・クルーカスとスコット・ウォルトンを加えている。この布陣で米国西海岸をツアーし、一体性と発展性を高めたという。

アルバムは2016年11月6日、ロサンゼルスでライブ録音された。アレックス・クラインによると思われる磬子のような鉦が厳かに打ち鳴らされ、その残響が広がる中で音楽は幕を開き、やがて各メンバーの音たちが縒り合されるように集まり、強さと大きさと激しさを増していく。本誌のインタビュー(http://jazztokyo.org/interviews/post-25150/)によると、彼の音楽の方法は「自己中心主義からの超克」「他人の音に良く耳を傾け、心と身体をひとつにして反応」「すべての個の奇跡的な超越的集合体」としつつ、「教義や先入観にこだわるべきではない」とも表現している。そして聴けばお分かりの通り、理念が先走った頭でっかちな演奏ではない、忖度や空気を読むこととも無縁な、肉体的な興奮を伴う非常にスペクタクルなフリージャズになっている。

世界の平和と自らの心の安寧が、彼の願いだという。しかしそうしたミュージシャンの音楽が、決して祈りめいたものとはならず、実際にはかなり激しい、というのはジャズ界の伝統であろうか。

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定淳志

定 淳志 Atsushi Joe 1973年生。北海道在住。執筆協力に「聴いたら危険!ジャズ入門/田中啓文」(アスキー新書、2012年)。普段はすこぶるどうでもいい会社員。なお苗字は本来訓読みだが、ジャズ界隈では「音読み」になる。ブログ http://outwardbound. hatenablog.com/

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