#1503 『Christian Lillingers Grund / C O R』

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text by 定淳志 Atsushi Joe

 

Christian Lillingers Grund / C O R

Plaist Music (PLAIST 001 / LC 24625)

Christian Lillinger – drums, composition
Pierre Borel – saxophone
Tobias Delius – saxophone, clarinet
Achim Kaufmann – piano, fender rhodes
Christopher Dell – vibraphone
Robert Landfermann – bass
Jonas Westergaard – bass

  1. Cor
  2. Hiatus
  3. Welt am Draht (LNCH)
  4. Kubus
  5. Carotis
  6. Dralau
  7. Narrat
  8. Plastik
  9. Katrin

https://www.plaist-music.com/

Christian Lillinger はドイツ出身のドラマー、作曲家。2017年には本作品でも共演する Tobias Delius とのデュオ『Dicht』(Relative Pitch)、Peter Evans らとの「Amok Amur」による『We Know Not What We Do』(Intakt)、「Samo Šalamon Sextet」の『The Colours Suite』(Clean Feed)といった印象的な作品群に数々参加し、多忙なドラマーの一人だ。ドイツ語で基礎や理由といった意味を持つ「GRUND」と題したグループは、彼が様々なプロジェクトで共演するミュージシャンたちを集めた、いわばオールスター編成で、すでに約10年の活動歴がある。これまでに Clean Feed から『First Reason』(09年)、『Second Reason』(12年)、Pirouet から『Grund』(15年)と、3年おきに3枚のアルバムを発表(1枚目のみ現在とメンバーが異なる)。前作からまたしても3年後、4枚目となった本アルバムは、彼が設立したレーベル「Plaist」の記念すべき初作品でもある。

レーベル第一弾ということもあってか、全曲の作曲を彼自身が担当し、どの曲もコンポジションと即興が精妙に交差し合う。ドラム、ツインリード、ツインベース、ピアノ(フェンダーローズ)とヴィブラフォンをさまざまに組み合わせ、ミニマムなループや幻想的な電子音楽、『Eric Dolphy / Out to Lunch』の応用的発展を思わせる曲など、一曲一曲が複雑な法則で成り立つ小宇宙であるような、さまざまに奇妙な実験的サウンドスケープが展開され、しかも隅々まで彼の美学と小気味よいスネアドラミングが行き渡っている。メンバーは ICP オーケストラの一員である Tobias Delius や、ヨーロッパフリーの重要ピアニスト Achim Kaufmann など、だれもが一癖も二癖もあるありきたりでない個性を持っており、彼らの快演(怪演)も手伝って何度聴いても最後まで作品としての像を結ばせない。ので繰り返し聴いてしまう。

 

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定淳志

定 淳志 Atsushi Joe 1973年生。北海道在住。執筆協力に「聴いたら危険!ジャズ入門/田中啓文」(アスキー新書、2012年)。普段はすこぶるどうでもいい会社員。なお苗字は本来訓読みだが、ジャズ界隈では「音読み」になる。ブログ http://outwardbound. hatenablog.com/

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