# 337 『羽野昌二+庄子勝治 /Shoji & Shoji』

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E.G.G. Music  egg20172

羽野昌二 (ds)
庄子勝治(a-sax)
中村大 (e-bass / Track-2)

1. Pulsation(鼓動)
2. Red to Blue(赤を壊すもの...青を知る)
3. The Face and wrong side (表と裏)

Recorded by Dai Nakamurai, October 01, 2016
Mixed and mastered by Dai Nakamura
Produced by Shoji Hano

アルト奏法の多様さがもたらすサウンド。音像上に不思議な空間創造で表現。録音手法として注目していい。ライブ空間の再現と受けとめた。
ドラムも負けていない。スピーカー空間一杯の拡散。絡むアルトの表現と音響上に素晴らしい効果を示した。注目の録音だ。
duo空間が拡大され、心地いい表現でスピーカーから現れる。
ドラムの空間音が良い味を出している。オンマイクのエッジの強調もイメージを強めるが、空間で共鳴しあっているサウンドを見逃していない。

Hear, there and everywhere by Kenny Inaoka 稲岡邦彌

ベテラン・ドラマーの羽野昌二が満を持してアルバム2枚を同時リリースした。ちょうどレコ発ライヴとツアーを終えたところだろう。ミュージシャンがCD を自主制作する時代になったとはいえ、2枚同時リリースするというのは生易しいものではない。
羽野は1955年、北九州・小倉の生まれ。4歳頃から小倉祇園太鼓を叩いていたという。中3の時に友達からもらったドラムを叩き始め、アート・ブレイキーでジャズを知った。高校時代はマックス・ローチとアート・ブレイキーを手本としていたが、二十歳を目前にアヴァンギャルド・ジャズに目覚め、上京して阿部薫や近藤等則らと共演。この頃、新しい武道「新体道」を紹介され共鳴、特定のスタイルの完成を求めず、絶えず変革を求めて日々精進を続けていくことになる。その一環としてメルス出演など海外へ武者修行に出掛け、あるいはペーター・ブロッツマンなど海外からミュージシャンを招聘して他流試合を敢行する。

『Shoji&Shoji』の相手は、アルトサックスの庄子勝治。広島を中心に活躍を続けるベテランの一人で、故井上敬三師 (as, cl) の弟子ということなので、坂田明 (as,cl) の孫弟子にあたるのだろうか? 羽野によると、庄子とは20年以上の付き合いだが、庄子のリズムにこだわらない自由なアプローチに肩透かしを食うこともしばしばという。「リズムもメロディも飛び越えた我々の演奏に入ってきて欲しい」とアピールする。アルトのフリーキーなイントロに金物を中心にパーカッション的に絡んだ羽野がしばらく対話を続けるが、やがて庄子が唯我の境地に入り、羽野はパルス的なドラミングに徹していく。エレキベースの中村が加わったM2は3者でダイナミズムに富んだ曼荼羅模様を描く。終曲は羽野に寄り添うことをしない庄子がワン・ブレスの中でのミクロな変化にこだわり続ける。

『Soft Core』はエレキベース中村大とのデュオ。10年を超える密な出会いの上、エレキを使った弦楽器の特性を生かし、チョークやチョップ、ハーモニクスなど多彩な技で羽野のドラムと呼応し合う。M2ではワウを使って描き出した戯画的なサウンドスペースの中で羽野が突然シャーマンに化身する。羽野が希む「“魂”、“命”が解放されて、その場のエネルギーを本質的に共有できる空間を提示する」ことに成功している。

中村はエンジニアリングにも長けているようで、『Shoji & Shoji』は録音からマスタリングまで、『Soft Core』はミックスとマスタリングを担当し、羽野の意図をよく汲んだサウンドスペースを見事に創り出している。(本誌編集長)

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及川公生

及川公生

及川公生 Kimio Oikawa 1936年福岡県生まれ。FM東海(現 東京FM)技術部を経て独立。大阪万国博・鉄鋼館の音響技術や世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。1976年以降ジャズ録音に専念し現在に至る。2003年度日本音響家協会賞受賞。東京芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師を経て、現在、音響芸術専門学校非常勤講師。AES会員。

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