#939 OKABE FAMILY Young VIPs tour at BIMHUIS, AMSTERDAM

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2017年3月11日 Bimhuis, Amsterdam in Netherlands

reported by Atsuko Kohashi
photos by Frans de Rond

 

OKABE FAMILY
Genzo Okabe 岡部源蔵 (alto sax)
Miguel Rodriguez (piano)
Steven Willem Zwanink  (bass)
Francesco De Rubeis (drums)

Setlist:
Opening
Castroni
Stepped on the Sheet
Go Sleep
Ningyo
(encore: Still Blues)

All composed by Genzo Okabe

     

 

この夜のBIMHUISのOKABE FAMILYの演奏は格別だった。『ジャズの将来はどうなる?』という不安などオーディエンスに微塵も感じさせない、地に足のついた、それでいて新しい息吹を感じさせる斬新さと躍動感を合わせ持った自信あるプレイだった。

ステージ全てが岡部源蔵の作品で構成されていたが、選曲、曲順、テンポの移り変わりも巧みで、 オープニングからアンコールまで自然な流れがあり飽きさせることがない。ジャズのオリジナル曲は時としてオーディエンスにとっては遠いもの(親しみにくいもの)に聞こえがちだが、OKABE FAMILYの演奏には取り澄ましたところがなく、聴いていて楽しい。なぜだろう?

彼らの演奏は、いわゆる『ヨーロッパ的』なジャズサウンドとは一線を画す。トラディショナルなジャズにルーツを置きながら自身の世界を展開させる岡部のオリジナル曲には『うた』がある。複雑極まりない難解な曲でオーディエンスを惑わし悩ますことはない。(実際はかなり難しい曲だと思われるが、彼らの演奏は至極心地よい。)そして斬新なサウンドの中に隠されたブルース・フィーリングとグルーブ感!ふとニューヨークのジャズクラブに足を踏み入れた時のような感覚が甦る。

岡部源蔵のアルトサックスの音色は時にテナーを連想させ、静かに謳うこともあれば、コルトレーンのように叫ぶことも。その想定外のフレージングに驚かされる。『抑制の効いた』ではなく、『抑圧から解き放された快感』がある。そこには、彼のボイスを理解しようと耳を澄ませ聞き入るメンバーのたちのサポートがある。グループの音楽の方向性はそうして作られていく。

驚くべきことに彼らの演奏には無駄がない。この写真の通りドラムセットも至極シンプル。ドラマーのフランセスコはこのシンバル1枚から巧みに音をつくり出す。ベースソロを一度もとらなかったベーシストのステファンは個性的なベースラインで十分に存在感を与える。そしてピアニストのミゲルの美しいサウンドとリズム感覚は嫉妬さえ覚えるほど。アンコールでのStill Bluesでのピアノソロは圧巻だった。

皮肉なことに、彼らのバンドにオランダ人は一人もいない。日本、スペイン、イタリア、カナダから成るマルチカルチュラル・バンド。ヨーロッパで英語がノン・ネイティブのための共通語であるのと同様、ジャズが彼らと私たちの共通言語ということだろう。ジャズは健在なり。

        

*1997 年から始まったオランダのYoung VIPsプログラムは、才能ある前途有望な若手ジャズ・プレイヤー(自身のオリジナル曲を演奏することが前提)らにスポットを当て、オランダ内でのコンサートツアーを経験させようというもの。ビムハウス(Bimhuis) をはじめに25のクラブが協賛している。今年、その白羽の矢が当たったのはDutch Jazz Competitionで優勝した Xavi Torres Trio (この夜の1st setで演奏)とOkabe Family。ツアー初日がこの夜のアムステルダムBimhuisでのダブル・ビルのコンサートだった。

岡部源蔵のアルバム:

Genzo Okabe official website:
http://www.genzookabe.com/okabe-family/

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小橋敦子

小橋敦子

小橋敦子 Atsuko Kohashi 慶大卒。ジャズ・ピアニスト。翻訳家。エッセイスト。在アムステルダム。 最新作は『ルージョン』(Cloud)。 http://www.atzkokohashi.com/

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