#933 映画 矢野顕子『SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~』

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Text by  Hideo Kanno 神野秀雄

上映期間:2017年1月6日〜20日(詳細はウェブサイト参照)
上映劇場:新宿バルト9、ユナイテッド・シネマ札幌、名古屋センチュリーシネマ、梅田ブルク7、T・ジョイ博多
配給:ソニーミュージック・ダイレクト
公式ウェブサイト: www.110107.com/yanoeiga
オリジナル公開日:1992年9月2日、モノクロ、2ch、79分
監督:坂西伊作 撮影:夏野大介 出演・演奏:矢野顕子
レコーディングエンジニア 吉野金次
アシスタントエンジニア 佐藤晴彦/中島秀一
モニターエンジニア 新居章夫/石黒 昭
ピアノチューニング 小林禄幸
インタビュー出演:鈴木慶一、谷川俊太郎、糸井重里、三浦光紀、宮沢和史、David Rubinson
(c)映画『SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。』[2017デジタル・リマスター版]

 

1992年、矢野顕子のピアノ弾き語りによる名カヴァーアルバム『SUPER FOLK SONG』の東京都千駄ヶ谷の津田ホールと長野県松本市のザ・ハーモニーホールにおける「一発録り」を故・坂西伊作監督が完全密着で記録したドキュメンタリー映画『SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~』。

1976年『Japanese Girl』からのソロデビュー40周年を記念して、「2017デジタルリマスター版」として2017年1月6日から期間限定公開されている。

極限状況でピアノと自分に向き合う矢野。見守る録音チーム。失敗を重ね苦悩する姿や、好テイクを録り終えた瞬間の満足した表情も隠すことなく伝える貴重な映像で、観る者をその空間に引きずり込み、当時異例の2万人を動員した。

もともとジャズ的な感性と表現力に裏打ちされ、即興性も強い矢野の音楽だが、1988年に『Welcome Back』で、チャーリー・ヘイデンを通じてパット・メセニーに出会い、1992年の『Pat Metheney / Secret Story』への参加という時期にあたる。この時期『Akiko Yano』(コンピレーション)、『Love Life』(『Welcome Back』の3曲を含む),『Piano Nightly』がNonesuchからリリースされていることも特筆したい。その時代背景の中、パットから贈られた曲への作詞・録音風景など、パット・メセニー・ファンにも非常に興味深い映像となっている。

思い返すとこの頃「渋谷ジャン・ジャン」(日本基督教団東京山手教会B1、現在の「公園通りクラシック」の隣、現「Café Miyama」)における矢野顕子ソロピアノライブを聴くことができた。このハコでできたほぼ最後の時期だと思う。当時「出前コンサート」的にピアノソロ活動はしていたが、アルバムという完全芸術に記録するのは初の試みで、さまざまな意味でチャレンジングであり、現在も意欲的に創作・演奏活動を続ける矢野のひとつの転機であり、飛躍の機会となる特別な時期だったと思われる。糸井重里、谷川俊太郎、宮沢和史など作詞者・楽曲提供者のコメント、オープンリール、アナログ機材による録音状況も見応えがあり、その時代の空気を懐かしく思い出すかも知れない。その時代を知らない世代にはその違和感を感じてもらえたらよいと思う。ぜひこの機会にご覧いただきたい。

 

矢野顕子 劇場挨拶 2016年12月22日

 

 

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神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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