#964 『ソエジマ・ナイトVol.4』

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text by Shinji Tamai 玉井新二

 

2017.07.11~12 上野ストアハウス

◎Clash 音と映像の...

勅使河原一雅 Masakazu Teshigawara(video artist)
坂 田明 Akira Sakata(musician)
豊住芳三郎 Yoshisaburo Toyozumi(ds,perc,erfu)
佐藤允彦 Masahiko Sato(p,comp,arr)

◎ PARADE /STORE HOUSE COMPANY

作・演出:木村真悟
出演:金丸瑞貴 村島智之 細村雄志 吉田広大 中川珠里 杣木百花ほか 作曲・ピアノ演奏:伊澤知恵

主催:ストアハウス/副島記念プロジェクト
協力:慶應義塾大学アート・センター

 

副島さんの「思い」を継いで...

ソエジマナイトvol.4 は、7月11~12日の2日間、上野ストアハウスで行われ予想を上回る大盛況のうちに幕を閉じた。

そもそもソエジマナイトは『今、伝説の国際美術展 Documenta9 を観る』と題し、2013年12月、上野ストアハウスで行われたもので、副島輝人氏が自ら取材したドクメンタ*1について、スライドなどを映しながら解説したものだった。このソエジマナイトを毎年恒例のイベントとして継続するはずだったが、翌2014年7月、副島氏は亡くなられた。

そこでストアハウスカンパニーの主宰者木村真悟氏は「副島さんの意志を継いでソエジマナイトを続けよう」と、副島氏にかかわりのあったアーティストを中心に、2015年7月に第2回、2016年7月に第3回を、そして今年7月の第4回(別表)へと続けてきた。

*1 Documenta ドイツの古都カッセルで5年ごとに開催される前衛美術展。一人のディレクターにテーマの選定と作家の選定が一任され、現代美術の最先端を担う作家を世界中から集めて紹介するもので、ヴェネツィア・ヴィエンナーレに匹敵する国際的な展覧会。毎回、欧州全土から70万人程の観客を集めている(Wikipedia参照)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF

 

L:勅使河原一雅  R:佐藤允彦

 

L:坂田明 R:豊住芳三郎 (photo:Ctuburai)

 

垣根を超える楽しさ

ソエジマナイトvol.4は、音楽・映像の Clash とストアハウスカンパニーのフィジカルシアター PARADEの二部構成で行われたが、ここでは Clash を中心に紹介する。

Clash は 佐藤允彦がリーダーシップをとり企画が進められた。そのメンバーは佐藤允彦をはじめ、豊住芳三郎、坂田明。この三名のミュージシャンは、旧新宿ピットイン2階「ニュージャズホール」から渋谷「プルチネラ」と、1969年以降、副島輝人が取り組んできた前衛ジャズの拠点に参集し、日本のフリージャズの草分け時代から活躍してきた面々。彼らの音楽とビデオアーティストの勅使河原一雅のアニメが即興で対峙することで何が生まれるのか、というのが佐藤の狙いだった。

即興による音と映像は、ソエジマナイトvol.2の「牧野貴+大友良英」や alive painting の中山晃子+灰野敬二など素晴らしいコラボを観てきたが、今回のアニメと音の即興は私にとって初めてのことだった。

三人のミュージシャンは70代とは思えないパワーとクリエイティヴィティ、柔軟な発想に満ち溢れていた。ストアハウスにはグランドピアノがなかったため、佐藤允彦は久々にKORGのマイクロキーボードによるシンセサイザーを使用。様々なサンプリングによるノイズや自在な音源を駆使。これが三人の演奏に新鮮な変化をもたらすとともに、フリージャズにありがちなワンパターンに陥らず、映像と音のコラボを増幅させる表情豊かな演奏になったと思う。

勅使河原の映像は、大雑把にいうと、音に自動的に反応してアニメのパターンを展開するものと、演奏に対応してその場で映像を組み立てていく即興アニメーションがあるという。これらを複合的に組み合わせながら音の世界に即興で対応する。リズムやビートを点や線、波動などで、また様々なパターンや色彩の増殖・変遷・霧散を繰り返すことで音色やボリューム、インパクトに迫る。まるで音を視覚的にとらえようとしているかのようだ。さらに勅使河原の映像は決して美しいだけではない。毒を内包したファンタジーが映し出しされていたように思う。その意味で Clash では、まさに聴覚と視覚が融合離反して、これまでにない新たな世界を体感することができた。

今回のソエジマナイトの予想を超える盛況を考えるに、勅使河原ファンの若年層、フリージャズ・ファンの中高年、ストアハウスの常連ファンなど、年齢、性別、分野の壁を越えて集まった観客のせいだろう。演者も観客も、いつもとは違う世界にふれ、新たな発見や感動があったのではないだろうか。(文中敬称略)

ソエジマナイトのラインナップ

2013「ソエジマナイト vol.1」

 

12/2 副島輝人『今、伝説の国際美術展 Documenta9 を観る』
2015「ソエジマナイト vol.2」

 

7/6 渡辺梓(一人芝居) 稲吉稔(美術)/ 加賀谷早苗(舞踏)

7/7 牧野貴(映像) 大友良英(音楽)

2016「ソエジマナイト vol.3」

7月6日~10日

 

7/6 JINYADISC 高柳昌行秘蔵映像上映 +今井和雄(g)

7/7 梅津和時(reeds)Samm Bennett (perelec、per、vo)デュオ 7/8日 ダウトミュージック 一楽儀光(ドラびでお)沼田順(g) 原田仁(b) 広瀬淳二(ts)

7/9 若松孝二監督『胎児が密猟する時』上映/ラジオ番組「今、新宿文化再考」副島輝人×若松孝二

7/10 のなか悟空騒乱武士: バッキー(as)西田紀子(fl)鈴木放屁(ts)ハル宮沢(g) 大由鬼山(尺八) 小林某(as)天神(ts)石川寧(ts)一之瀬大悟(b) のなか悟空(ds) セコサンチェス(perc)松本ちはや(perc)

2017「ソエジマナイトvol.4」

7月11日~12日

 

◎clash 音と映像の…

勅使河原一雅Masakazu Teshigawara (video artist)

坂田Akira Sakata(musician)豊住芳三郎 Yoshisaburo Toyozumi(ds,perc,erfu)佐藤允彦 Masahiko Sato(p,comp,arr)

◎PARADE /STORE HOUSE COMPANY 

作・演出:木村真悟 出演:金丸瑞貴 村島智之 細村雄志 吉田広大 中川珠里 杣木百花ほか 作曲・ピアノ演奏:伊澤知恵


玉井新二 Shinji Tamai

北海道札幌市生まれ。法政大卒。「ニュージャズホール」のスタッフとして『off jazz』誌創刊(70年)、『JAZZ批評』誌編集(71~79年)、同時に「Project21」スタッフとしてコンサートの企画・公演(高柳昌行、富樫雅彦、豊住芳三郎、加古隆など)。その後、ジャズ界から離れるも、ライヴ会場に出没している。

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