#1039『田崎悦子ピアノリサイタル/三大作曲家の愛と葛藤 2回シリーズ-後編-』
『Etsuko Tazaki Piano Recital “Love and Conflict of Three Great Composers-second part-』

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2018年10月13日(土)東京文化会館小ホール
Reported by Kayo Fushiya 伏谷佳代

<プログラム>
ショパン:ノクターンop.72-1遺作
Chopin: Nocturne e-moll op.posth.72-1
:マズルカ集より Mazurka
cis-moll. op.6-2/ a-moll op.17-4/ c-dur op.24-2/ a-moll op.poth.67-4

シューマン:クライスレリアーナop.16
Schumann:Kreisleriana op.16 Seinem Freunde Frederic Chopin zugeeignet
1.Aeusserst bewegt/2.Sehr innig and nicht zu rasch/ 3.Sehr aufgeregt/ 4.Sehr langsam/ 5. Sehr lebhaft/ 6.Sehr langsam/ 7. Sehr rasch/ 8.Schnell und spielend

リスト:巡礼の年第2年イタリア(全7曲)
Liszt: Années de pèlerinage Deuxième année: Italie, S.161
1.Sposalizio/ 2. Il pemseroso/ 3.Canzonetta del Saalvatore Rosa/ 4.Sonetto 47 del Petrarca/
5. Sonetto 104 del Petrarca/ 6. Sonetto 123 del Petrarca/ 7.Apres une Lecture de Dante: Fantazsia quasi Sonata


5月に開催された『三大作曲家の愛と葛藤』の後編。ショパン、ブラームス、リストの人生がその傑作を通して透かし見える。マズルカを中心としたショパンでは、楽曲独自のリズムが静かな律動となり、会場全体がひとつの逡巡のなかへとゆったりと漕ぎ出す。前半のヤマである『クライスレリアーナ』では、感情の相克に満ちた楽想にふさわしく、ぐいぐいと突き進むドライヴ感と周縁からの豊かな音の乱舞が並行する。フォーカスとデフォーカス、曳きと満ちの拮抗。テンペラメント溢れる音色の連なりが堆積しては、思いもよらぬ残響空間が現出。プログラムが進むごとに存在感を増すリヴァーブと余白に、会場の空間そのものがシェイプされてゆく。後半のリストでは一転、第一音から澄み渡るソノリティ。高みから睥睨(へいげい)するかのような峻厳さを維持しながら『巡礼の年・イタリア』のストーリィが紐解かれる。全音域から絞りだされる鮮やかなテクスチュア、ひんやりとしたユーモア、ドライな遊戯感、くぐもった情熱—絢爛たる超絶技巧は空気のような自然さで、これらの複合感情を引き立てる。並みあるリストの演奏において、その逆パターンがいかに多いことか。熟してなお意気と品格、洒脱さを増す、大人のロマンティシズムを堪能した。(*文中敬称略。伏谷佳代)


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伏谷佳代

伏谷佳代

伏谷佳代 (Kayo Fushiya) 1975年仙台市出身。早稲田大学卒業。幼少時よりクラシック音楽に親しみ、欧州滞在時 (ポルトガル・ドイツ・イタリア) に各地の音楽シーンに通暁。欧州ジャズとクラシックを中心にジャンルを超えて新譜・コンサート/ライヴ評、演奏会プログラムの執筆、翻訳などを手がける。

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