
このディスク 2017(国内編)
-
#13 『ワダダ・レオ・スミス|田村夏樹|藤井郷子|イクエ・モリ/アスピレーション』
実際、CDを聴く時間も余裕もなかったため、上記の<この1枚>もただ全体の体裁をこわさないために、脳裏にわだかまっていた数枚を思い出すままに列ねたに過ぎない。
-
#12 『Gato Libre / Neko』
藤井はアコーディオンをはじめて鳴らしてみる少女のように、響きを手探りに耳をすまして、「出てきた音」になかば驚いたり魅惑されたり佇んだり希望を持ったりという、
-
#11 『川島誠 / Dialogue』
川島誠は自己の裡にあるなにものかと向かい合う。その厳しい過程で生まれたいちどだけの音楽。
-
#10 『ティー/インターステラー』
エフェクター・サウンド全開音源だ。アコースティック感はヴォーカルのみ。
-
#09 『後藤篤カルテット/フリー・サイズ』
後藤篤、1974年生まれの43歳そして石田幹雄、1981年生まれの36歳、今最も創造力が豊かで活力みなぎる年代の2人が音への向き合い方そして情熱を懸命に吐露したマイルストーン的な作品である。
-
#08 『深井克則/リバース』
そしてその長い音楽歴の割りに余り恵まれていたとは言い難い、深井という一人の卓越したミュージシャンの、優しさ、厳しさ、激しさ等々、その美点・秀点のほとんど全てがここには網羅されているとも言える。
-
#07 『桑原あい×石若駿 Ai Kuwabara×Shun Ishiwaka/Dear Family』
この数年での二人の飛躍は驚くべきもので、「日本の若手を代表する」どころではなく、早く世界で活躍すべき逸材であり、今後のさらなる飛躍を楽しみにしたい。
-
#06 『スガダイロー Little Blue/Summer Lonely』
この1枚ではなく、この1曲。アルバムとしてもむろん素晴らしいが、<Round Midnight>の超絶解釈にとどめを刺す。
-
#05 『Satoko Fujii Orchestra New York / Fukushima』
現実にはFukushimaを共有していないニューヨークのミュージシャン達にここまで深く共感させ得たのはひとえに藤井のスコアの力だろう。
-
#04 『V.A. / 実験音楽演奏会 2』
大崎/戸越銀座のイベント・スペース「l-e」で行われていた杉本拓による「実験音楽スクール」の参加者たちからなる「実験音楽演奏会」の二枚目となるアルバム。
-
#03 『灰野敬二/わたしだけ?』
このアルバムは時代や国境や社会情勢に関係なく「人間存在」に対する「?」を提示しているのである。そして全人類の内、筆者を含むある一定のパーセンテージ、それがたとえ0.000000013%(73億分の1)であれ、「?」を愛する者が存在する限り、常に「この1枚」と呼ばれ続けるに違いない。
-
#02 『伊藤志宏トリオ・シンクレティア/毒ある寓話』
ピアノはもっともポピュラーな楽器だけに、「弾ける」の価値観にも様々あろうが、伊藤志宏のピアノは文句なしに最高の道標のひとつ。
-
#01 『ミクロマクロ/曲のとびだす絵本』
ギターとヴォイス、それぞれの達人が「真剣に遊ぶ」、その現場を余すところなく記録した本作を聴き進めるうちに、全ての音が色彩を帯びてくる
このディスク(海外編) 2017
-
#13 『Genzo Okabe / Disoriental』
『Disoriental』は、極東の小さな島国で生を受けた作者(岡部自身)が、ほぼ人生の半分を母国から離れてマイノリティーとして生きる中で、アーティストとしての表現を模索した作品である。
-
#12 『ハファエル・マルチニ・セクステット+ヴェネズエラ・シンフォニック・オーケストラ/スイチ・オニリカ』
—かつてジャズがそうであったようにー 突然変異的な個性を持つ音楽家が三世代にもわたって共存して続々と新作を発表している状況は現在ではブラジルに尽きるのではないだろうか。
-
#11 『Todd Neufeld / Mu’u 』
蓮見令麻ちゃんの赤ちゃん誕生とこの音楽は相応しいと想っている、2017年、小沢健二と Sekai No Owari の「フクロウの声が聞こえる」にも赤ちゃんの誕生が響いている
-
#10 『Tim Berne’s Snakeoil / Incidentals』
執拗極まりない音の層の積み重ね、それにより得られる比類ない悦楽。ティム・バーンのアルトは粘り獰猛である。
-
#09 『Satoko Fujii Orchestra New York / Fukushima』
単にマイキングで解決出来ないと推測できるサウンドなのだ。奇抜を的確に捉えた録音に最大限の喝采を。
-
#08 『GLERUM OMNIBUS / HANDFUL』
今年の9月来日し、東京ジャズでハン・ベニンク(ds)とステージに立ったグレラムの新作は正統派のピアノ・トリオ。
-
#07 『カルロス・エンリケス/ザ・ブロンクス・ピラミッド』
ラテン・ジャズの入門編としても恰好なものだけに、この分野に余りなじみ無い方達にも是非お勧めしたい仲々の逸品と言える。
-
#06 『児玉 桃 / 点と線 〜ドビュッシー&細川俊夫:練習曲集』Momo Kodama / Point and Line – The Piano Études of Claude Debussy and Toshio Hosokawa
マンフレートと児玉桃の緻密な共同作業で、ドビュッシーと細川俊夫の練習曲という新鮮な素材から分解し再構築する試みを行い、研ぎ澄まされた児玉のピアノの響きを巧みに記録し、これまで想像できなかった音の宇宙を創り出したことはまさにその評価に値する。
-
#05 『Gayle Barcella Cabras / Live in Belgium』
フリージャズ界の至宝、チャールズ・ゲイルの最新作。たった一音で魂が震えるような音は健在。
-
#04 『TON-KLAMI / Prophecy of Nue』
この1本だけLPリリースがなくCDだけで終わっているのは、想像を超えるダイナミック・レンジの広さと予期せぬ音の跳躍にカッターヘッドがトレースできないという物理的理由による。
-
#03 『V.A / Asian Meeting Recordings #1』
昨年(2016年)のアジアン・ミーティング・フェスティバルの参加メンバーを中心に行われたスタジオ・レコーディング・セッションの記録。
-
#02 『Rent Romus / Deciduous : Midwestern Edition Vol. 1』
Spotifyのサービスで出会ったサンフランシスコのサックス奏者レント・ロムスが主宰する自主レーベル「エッジトーン・レコーズ」のキャッチフレーズは「My Music Is Weirder Than Yours!(僕の音楽は、君の音楽よりもっと奇妙だよ!)」というもの。ヘンタイ音楽愛好家にとってこれほど心躍るフレーズはない。
-
#01 『Van Morrison / Versatile』
ロック・レジェンドのスタンダード作といえばポール・マッカートニーやディランらの作品も意欲作だったが、個人的にはそれらを凌ぐ出来映え。
-
Jazz Right Now 2017年ベストアルバム
アメリカJazz Right Nowが選んだ2017年ベストアルバム。
このパフォーマンス(国内編)2017
-
#08 広島ウィンド・オーケストラ定期
一方、ウィンド・オーケストラの勢いは凄まじいくらい。実際、日本は世界で最もウィンド・オーケストラが盛んな国として知れ渡るようになった。
-
#07 齋藤徹×長沢哲
長沢哲のドラムスは集中と多彩とを両立させる驚くべきものだった。そして齋藤徹の復活を確信させるプレイ。
-
#06 挾間美帆 Miho Hazama m_unit ブルーノート東京 林 正樹 他 『オーランドー』
2017年の活躍が目覚ましかった”ジャズ作曲家”挾間美帆に注目したい。ブルーノート東京での13人編成のジャズ室内楽団m_unitをハイライトととしつつ、活動の場を大きく拡げた1年間を追ってみたい。
-
#05 Bitches Brew10周年記念コンサート
艱難辛苦の連続だったろうがある意味で贅沢極まりない10年間の主宰を終えて杉田は後継者にバトンタッチするという。
-
#04 V.A / 東京発、即興音楽の新しい波
東京を拠点にインディペンデントかつエクスペリメンタルな活動をするミュージシャンはいま現在も頻繁にライヴを行なっている。どれでもいい、ぜひ一度足を運んで同時代の「即興音楽」の脈動に触れて欲しい。
-
#03 Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念 ~Psychedelic Speed Freaks~ 生悦住英夫氏追悼ライブ
音楽を面白いと感じる心の赴くところへ足を運びたい、と信念を新たにした2017年を日本地下音楽の新章のスタートに。
-
#02 喜多直毅クアルテット『Winter in a Vision 2』リリース記念コンサート
圧倒的な演奏力と物語構成力で、期待を裏切らない進化をみせるクアルテット。無音の部分にこそひた寄せる鬼気がある。人間の業や人生の割り切れなさが照射され、鮮烈なイメージ喚起力とともに変転していく。
-
#01 早川義夫&坂本弘道
研ぎ澄まされた魂のぶつかり合い。事前の想定値をはるかに突き抜ける圧巻のライブ。
このパフォーマンス(海外編)2017
-
#10 チューチョ・ヴァルデス&ゴンサロ・ルバルカバ
どうやら当夜は終始ゴンサロがリードし、チューチョはといえばあたかも息子にすべてを任せて安楽椅子に座っている風だった。
-
#09 The Piano Era 2017 ザ・ピアノ・エラ 2017
主催・企画・制作を二人で行う novus axis 堀内求、NRT 成田佳洋の音楽観を反映した独自のキュレーションで大きな発見と喜びを与えてきた貴重なコンサートだ。
-
#08 MLTトリオ
ミシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン、あまりにも独特なふたりのインプロヴァイザー再来日。予想を遥かに凌駕する、素晴らしいパフォーマンスをみせてくれた。
-
#07 ティグラン・ハマシアン・ソロ・ピアノ Tigran Hamasyan Solo Piano
ティグランは聴く者を時間と空間の迷路に誘い、ともに魂の旅をする。このひとときを知らずに求めていた気がするし、特別過ぎる瞬間が成立するのは必然ではなく偶然の何かであり、ここに導いてくれた何か、そして心を尽くして実現くれた方々に深く感謝したいと思う。
-
#06 クリス・ピッツィオコス JAPAN TOUR 2017 札幌公演
クリス・ピッツィオコスの札幌公演は、彼の驚嘆すべきテクニック、山崎比呂志の鮮烈なドラム、ショローCLUBの面々の疾走などとともに記憶に残る2日間だった。
-
#05 このライヴ/コンサート 2017(海外編)
今年聴いた中で海外編として3本取り上げたが、いずれもJazzTokyoがらみで気がひけるが、音楽にかけるひたむきさ、真摯な態度が共通してみて取れ、心打たれた。
-
#04 V.A / Asian Meeting Festival 2017 Day5 Sapporo
初の全国ツアーという形態で開催されたアジアン・ミーティング・フェスティバル。なかでも最後に札幌で行われた演奏が出色の出来だった。
-
#03 クリス・ピッツィオコス JAPAN TOUR 2017
「見つかる」ことで世界が広がることは、地下音楽でも地下アイドルでも違いはないことを実感した2017年であった。
-
#02 アンリ・バルダ ピアノリサイタル
ボーダーレス時代にあって、この人の演奏には「海の向こう」にまだ未知の何かがあるような期待を抱かせてくれる。十八番はショパンだが、今年はストイックなプログラムでそのピアニズムの神髄をより際立たせた。
-
#01 ドーナル・ラニー&アンディ・アーヴァイン
アンディの弾くマンドーラとドーナルの奏でるブズーキ、その絡み合いのなんと瑞々しいこと!