Jazz and Far Beyond
『Esquisse』=スケッチ(素描)というタイトルのソロ・アルバムから始まったsaraとギャラリーノマルの未来が、この先どのようなアート作品へと進化していくのか楽しみにしていたい。
豊かな情景を描き出したミキシングも素晴らしく、しばし藤井の夢を共有する愉悦に浸った
壷阪健登と石川紅奈が2022年に結成した「soraya」は、ゲストミュージシャンを交えて緻密で楽しいサウンドとリズムを探求する旅に歩み出したばかり。<BAKU>でも石川と壷阪、KANが鮮やかな夢の世界を描き出し、J-Popサイドからも注目されている。また『Remboato/星を漕ぐもの』 (nagalu)にも触れる。
ジャンルレスだが素敵な1枚と、前途洋々な若手女流ジャズ奏者、乾坤一擲の痛快デビュー・アルバム、さらにベテランと中堅が結集した新ユニットの充実の1作。
驚かされるのは、録音媒体を繰り返し聴くと、その都度異なる印象が「やってくる」ことだ。長沢哲の研ぎ澄まされた打音、齋藤徹の広く豊穣な弦の震え。音の力ということだろう。
《アルトの芸術》とは些か仰々しく聞こえるかもしれないが、ピッツィオコスが10年間の活動を通して探求してきたアルトサックス・ソロの集大成に相応しいタイトルに違いない。
1枚だけ選べと言われると、やはり『Jacob’s Ladder』だと思う。筆者にとって意外性と衝撃度が高かったからだ。このアルバムは何度聴いても新しい発見がある。
『ミュンヘン2016』『ブダペスト・コンサート』『ボルドー・コンサート』は3部作と言えるキースのヨーロッパ・ツアーのダイアリーだ。
ラテン・ジャズならではの狂喜乱舞の悦楽世界と対極にあるようなコンテンポラリー・ジャズ・アルバム
本年、どの盤よりも記憶に残る曲、ソロ演奏に出会ったのが、ポーランド出身のトランぺッター、Tomasz Dąbrowski(トマシュ・ドンブロフスキ)のこのアルバム。
80歳を超えて今なお闘士であり、次なる変革を予感させて生きるカエターノの美しい音楽を、遠くない未来に新しい世代が熱をもって語ることになるだろう。
70歳を過ぎてさらに転がり続ける灰野にとって、制限下の新たな交わりから生まれる創造性が活動の糧になるはずだ。
“クラブ” 仕様のクアトロに越境のミュージシャンと越境のオーディエンスを集めた企画は狙い通りの成果を挙げたようだ。
透明で美しく洗練された響きの中に微かに感じる”夏の草の匂い”や”汗の匂い”のような感覚が、聴く者を懐かしく爽やかな不思議な時空へと誘う。映像作品を観ているかのような楽曲のストーリー性とクオリティの高さ、音色の美しさと拘り、ダイナミックレンジの広さに驚ろかされた。低音量域から美しく表現し、音量差を的確に駆使できるユニットは意外に少ないが、それを完璧に実現している理想のデュオだ
〈隠(おぬ)〉は鬼の声を聴く神事からインスパイアされ、作られた曲。6人の歌い手が鬱蒼とした森の木々や水滴、またはそこに生きる小動物のように声を発する。サックスも同様である。薄い色を重ねるようなヴォイスとワンホーンが、じっくり描く絵を眺めるような体験があった。
兎にも角にも『Renzdevous』盤を耳にし、是非ともそのナマに触れたいと希求し、
すぐれたフリー・インプロヴィゼーションの演奏は、演奏技術だけでなく、他者の感知能力、それを他者に伝達する能力、自身のふるまいに反映する能力を伴っている。
2022年で一番印象に残ったライブは、やはりミルトン・ナシメントの最後のツアーだ。ボストンに来てくれたのは本当に幸運だった。もう彼のライブ演奏が見られなくなる、と沢山のファンが涙を拭っている姿が会場のあちらこちらで見られた。iPhoneで撮影した映像を添えてご紹介する。
MMBトリオは非常にコントロールされたしかし豊穣で見通しの良いサウンドスケープを描き出した。
世界最大の”無料”ジャズ・フェスティヴァルであるデトロイト・ジャズ・フェスティヴァル。2022年は3年ぶりのリアル開催となり、Artist-in-Residenceにキューバ出身のピアニスト、チューチョ・ヴァルデスを迎えながら、4日間、4ステージで熱狂のパフォーマンスが繰り広げられた。