Jazz and Far Beyond
この3ヶ月ぐらいに出版された音楽本のなかで、幾つか目ついたものを取り上げてみたい。ここで取り上げる3冊『スティーヴ・レイシーとの対話』『阿部薫2020』『AA 50年後のアルバート・アイラー』は単著ではなく、複数の著者による編集本で、編集者の意向が強く反映された書籍だ。
イギリスのギタリストで、即興演奏のコンサート・シリーズ Mopomoso での活動で知られるジョン・ラッセルが亡くなった。
マックス・ローチのバンドで出会ったスタンリーと僕の絆は永遠に不滅である。
われわれはカウエルの作品を徹底的に検証する必要があるということです。そこには今後何十年間にもわたって世界中のミュージシャンに資する高度に先進的な宝の山があるということです。
それでも、最高のレコードが残っているので、これからの世代は、ひとりのピアニストがいかにして宇宙全体の可能性を指揮することができるかを見る機会には事欠かないと言えよう。
そのメロディはどこまでも美しく、どこか “内奥の源泉” から紡ぎ出されたものに違いなかった。
<エクイポイズ(equipoise)>とは“完璧にバランスのとれた状態”のこと。それこそがカウエルさんの信条だったのだと思います。
サックス奏者、ヴィジュアルアーティストのサラ・ヒューズ。彼女は、2019年の終わりに2枚目のリーダー作『The Drag』をリリースしたあと、サウンドの新領域を実験し、探求し続けている。
こっそり持ち込んだニコンで撮ったディジー・ガレスピーの写真が、写真雑誌「日本カメラ」の月例読者写真コンテストに応募して銅賞に入選した!
去る2020年12月17日に他界したスタンリー・カウエル、Strata-East レーベルの創始者として歴史に名を残し、また数多くの作品を残したが、ネットに流れたほとんどの追悼記事はカウエルを過小評価されていたアーティストとした。カウエルの演奏を分析しているうちに彼の演奏の特殊性に気が付き、解説を試みた。また、彼が使用していたKymaシステムも解説。
スウェーデンのジャズ・シンガーで女優でもあるモニカ・ゼタールンド のエレガントで洗練された’60年代調ファッションについて。
総じて、とくに企画者の細田成嗣につながる新世代のトークとライヴに脳のシワにたまった澱(おり)をきれいに洗い流すことができた。
コロナ禍の中、感染対策ゆめゆめ怠りなく、ハコと演者を気遣いステッキ1本に巨躯を預け今夜も出向く都内近郊ライヴ行脚。
ストラータ・イーストからリリースされるアルバムは、レーベルの意向を受けることなくミュージシャンが本来志向する音楽をストレートに表出することができた。
ベイリーもジョンさんのギターの音は鋭さも勿論なのだが、倍音が豊かな美しい音を大事にしているのだ。
今までがそうであったように、いやそれ以上に貴方が奏でる音が私の残された人生の時間の中でずっと鳴り続けていくことでしょう。
こうして残されたアルバムで後50年、100年と聴き続けられるのだ。兎にも角にもCD化実現に感謝!
この全編1ミリも途絶えることない胸を締め付けるバラッドの瞬間たち、メロディとフレーズそのものじゃないか、天国のプーさんよ、すげえよ、これ、
しかし、(高柳が)井野や菊地と過ごす時間は、もはや直接行動あるのみという覚悟を裡に秘め、陰腹を切ってステージに上がり、さあ丁々発止の即興妙技をお聞かせしようというほどの和やかささえ感じる。
ベイリーと高木の相性の良さを存分に味わうことのできる作品。80年代の高木のソプラノをじっくりと聴けるという意味でも、他に類を見ない、非常に貴重な記録と言えるだろう。
メディテーション・ミュージック的であり、環境音楽/アンビエント・ミュージック的であり、フィールド・レコーディング的であるが、本質的には生楽器の即興演奏のドキュメントである。いわば一人の演奏家の意思による“Improvised Meditation Music(即興瞑想音楽)”と呼ぶのが相応しい。
HTK Trioは福岡を中心に活動を行う武井庸郎、波多江崇行、コーチK(河内和彦)によるトリオである。本盤は、コロナ禍を奇貨として、閉塞感からエネルギーを生みだそうとした録音であるという。たしかにそのエネルギーは演奏中に漲っている。
伝説のビート詩人ルース・ワイスの遍歴と思想を綴ったポエトリーが、ロムスたちのインプロヴィゼーションと見事に絡み合い、二つの異なる視点からアメリカのカウンターカルチャーの歴史を俯瞰する壮大なオーラル・ストーリーが描かれている。
悠々とリラックスして嫋(たお)やかにペットを響かせる、余裕ある大人メハリといった趣きで、聴くものを魅せる。
山本達久(ドラムス)と纐纈雅代(アルトサックス)、個性的な演奏者ふたりの初の手合わせ。
録音・編集 佐藤允彦。筆者は驚嘆。筆者のマイキングに目を向けていた表情は板についている
エンジニアの腕前に喝采。さらにマスタリングも同様。常套手段では上手くいかない壁を超えたサウンドに乾杯。
シンセのサウンドがトランペットに上手く乗るミックス技術が聴かせどころといえよう。
近接サウンドの輪郭が音像の表面を構成。サウンドを浴びる感触がたまらない。
音源の質感にアナログ録音が効果を効かせる。
当時の簡易録音器カセットであれ、ここまで、音像の輪郭が鮮明で音域の不足を感じない録音はお見事。
狭い空間のライブであり音場より音圧を狙ったと解釈。その方が、グググっとくる。
透明感あふれる音源。フイリッピン録音の効果か。