Jazz and Far Beyond
JazzTokyo 301号の拙稿を書くにあたって、改めて第1号に書かれた悠雅彦主幹の巻頭言を読み返してみた。
あまりにも多くのことが展開した70年代、間章の死を契機に彼のもとに集まっていた個々の者たちは、80年代に入り独自の道を歩みだしていた。
坂本龍一23歳の<環螺旋体>設営と「学習団」からのアピール
同時代を生きた偉大な存在が、また一人姿を消した。何とも言えない喪失感だ。
今頃は生田と天国で再会し、再びタッグを組んで創作活動をしてるかもしれない。
要するに坂本龍一はジャズそのものを否定しているのではなく、クリシェ化したジャズを批判していたのだ。
坂本さんは「坂本龍一」としかジャンル分けのしようのない、しかも時空を超越した音楽を創造した偉大な音楽家です。
僕にとって坂本はいつも可能性の源泉と言える。坂本に対する喪失感はとてつもなく大きい。
深く考え、信念に従って行動し、静かに語る、良心を求める真摯な人だと私は思っていた。
人間誰しも聖人君子ではあり得ず、時折りやんちゃな側面を見せるものである。
松風鉱一の抜けた4/30 渋谷毅オーケストラ@PitInn
ある意味、彼は私にとっての影の教師だったのかもしれない。
松風のアルトサックスの音は、ことさらに吹きまくることなく、彼の論理的なあったかい音色で包まれていた。
天国への最後の階段 ― Last steps to heaven ―
松風さんの偉業はとても凄いことだと思うし心からリスペクトしていました。
松風さんの魅力は何と言ってもその艶やかな音色と一音一音に細やかに丁寧にニュアンスを付ける表現力
追悼 松風鉱一
まさに20世紀の偉大な人物の一人になった 「ボブ・マーリー」なのだ。
マイルスの甥っ子で、80年代前半のマイルス・バンドに参加していたVince Wilburn Jr.と、19歳の時に『Bitches Brew』に参加したLenny Whiteというドラマー二人によってプロデュースされたこのマイルス絡みのアルバムはともかくすごい。マイルス愛を満載しマイルスのスピリッツを継承しながら新しいサウンドを追求している。レニー・ホワイトの素晴らしい作曲と鍵盤演奏に感銘。ヴィンスに聞いた色々な話を交えて分析を試みた。
美しいアニタ・オデイの代表的スタイル、特にスリーブレス・ドレスと白い手袋について。
巡る季節を進むLAL。コロナ禍の鎮静化と共にようやく従前のペースへの軌道修正も叶う中、今月号では弥生中旬から卯月上旬に巡った充実の現場7本をご紹介。
フリージャズの身体性と、知的な即興演奏が、高い次元で融和して、新しい音楽の扉を開いていく…、そんな演奏だった。
未発表録音がこれから続々公開されるだろうが、彼自身の「次のアルバム」が出ることはない。白い鳩とセッションしているのを瞼に浮かべながら、もう一度このアルバムを聴き直したい。
去年(2022年)、私が主宰しているAbsolute-MIXというプロジェクトのコンサートで取り上げたロック・ギタリスト/作曲家のスコット・ジョンソンが亡くなった。本人から知らせが来るわけがない訃報ではあるが、今生の別れというのはやはり突然で悲しい。
楽譜やトランスクリプションを見直すと同時に聴覚的な記憶を育てていくことも大切だ。
Utsunomia MIXで再現されるギャラリーノマルとsara(.es)の無尽蔵の創造性は、聴く人すべてにこれまでの音楽作品とは一味違う豊穣な聴覚体験を与えてくれるに違いない。
ここには決定的に欠けているものがある。それはまさに「ウタ」であった。
ジミヘンがいきなり世界中からロックスターとして注目されたのと対照的に、タジはひたすらブルースを追求し、その中で革新を試みた。
Bluesy、Funky、GroovyというAmericanなテイストとは違った静謐で知的な空間が拡がる本盤
ソロにより自身の記憶への旅を音として提示し、デュオにより会話し触れ合う展開が、成熟した大人のありようである。
ECMのファンには『真実』、『カタログ』を座右の書としつつ、ECM Records: HomeとJazzTokyo を定点観測的に目配りするスタイルが成立する。
その書物の表紙はどんどんと漆黒に近づいていき、やがて異端教徒の為の聖書となることだろう。
尽きぬ問いを不在人の残した音や言葉、気配から読み取る、そんな温かい会でした。
ECMの音は、ひとことで言うと、ぼく自身の言葉でいえば「透徹」であるが...。
ジョー・ローゼンバーグ(Joe Rosenberg)が2020年以来の来日となる日本ツアーを2023年の春に実現させた(3月30日~4月9日)。彼のトリオには落合康介(b)、大村亘(ds)が参加。今年も彼らしいフリーインプロの世界をソプラノサックス一本で築き上げていた。
細胞に粒子が染みてきて喜んでいるのを感じて。あの場にいた身体には、共鳴が起きていたように思う。
これから先、世界に誇れる日本独自の「ジャズ文化」をどうやって保護・継承するのか、行政をどうやって巻き込むことができるかも課題です。
遠藤ふみは、この数年間の即興シーンにおいて大きな注目を集めるピアニストとなった。静寂を引き寄せて音を発するスタイルは、気の合う人との関係をゆるやかに深め、次の関係へとつなげてゆく中で得られたものだ。