Jazz and Far Beyond

これは「リズムがない音楽なんて聴けない」という人に聴いてもらいたい。
自分の中にある「日本の情緒」みたいなものをアルバムの主題にしました。
渡欧したマリオン・ブラウンはギュンター・ハンペルとの長い交流を開始させる。そしてバール・フィリップス、スティーヴ・マッコールのふたりも相次いで渡欧した。卓越したミュージシャンたちによる、その時期の特別な記録である。
一つの肉体に外的な強烈さと内的な強烈さを併せ持つマリリン・クリスペルというミュージシャンに筆者は更なる興味を抱いた
挾間が首席指揮者を務めるデンマーク・ラジオ・ビッグバンドとの共演作第3弾。DRBBと歴代主席指揮者7人の歴史的遺産を研究し吸収した上で、新たな音楽と伝統を創り出した快作。アイデアの斬新さ、サウンドの深さとクオリティの高さに圧倒される。
本作品は日本のファンにとって過小評価されていたビリー・チャイルズというピアニストの代表作となり得る傑作。
イングリッド・ジェンセンはスイング感も音色も素晴らしい。ジョージ・コールマンをゲストに迎えたご機嫌なこの新譜、タイトル曲を聴いて彼女の作曲能力に顎落ち状態となった。本人インタビューを交えて解説を試みた。
『六大』は映像作品のためのサウンドであるためか、6枚それぞれに「地・水・火・風・空・識」のイメージを意識している感覚がある。音のみで映像を幻視させる局面もある。だが、そのことは音楽の独立性を毀損しているわけではない。明らかに菊地は音楽を作り出すことを楽しんでおり、作品は在るがままに在る。
類い希なる個性であった金大煥(キム・でファン)は、あちらのヒトになったか、カミになったか。
ビター&スイートにしてスモーキーという唯一無二の個性的な声質とフリューゲルホーンを専門とする唯一人のプレーヤーTOKUの魅力が凝縮。
自然や日常の息づきや囁きを集めて音楽を生み出すことを習性(Habit)とする平野剛のささやかな標本箱といえるだろう。
ポーランドの女性ドラマーのもとに、7つの文化的背景を持つ音楽家と多彩なゲストが集結。音楽的かつ人間的な「対話」を通じて即興作品を創るというーマから、ファンタジックで味わい深い曲が生れてくる。
本盤は、ニューヨークで高く評価される永井ならではの現代的な作品であり、かつ極私的な表現でもある。
プエルトリコ音楽の持つ力強いリズムとジャズのモダンな和声、そして「時間」や「空間」という要素を効果的に組み入れた、アヴァンギャルドで実験的とも言えるとても意欲的な作品
震災の記憶を風化させてはならない
三者の手合わせにより、結晶があらわれては一瞬でその姿を消してしまう。本アルバムはその過程を幻視さえもできる作品だ。
個性を強調しないナチュラルな声質だからこそ彼女の唄を聴いていると聴き手の心へと静かに歩み寄って語り掛けてくる。
アイヌの歌手・豊川容子とピアノの矢部優子の気負わない個性が出た好盤。
対話をテーブルの上にのせて個を尊ぶのがヨーロッパやアメリカの社会のありようだと仮に見立てるとして、本盤には、そのテーブル自体もその場で作り上げてしまおうという意思が横溢している。
ショパンの名曲の数々と、各曲からインスピレーションを受け角野が作曲した新曲を交互に配置。ショパンの重力から新たな音楽の軌道を生み出し、ショパンと角野の想いを美しく明確に浮かび上がらせる。
音楽に心血を注ぐ、ブルース・スピリッツ横溢した生粋な“漢”の、ジャズ&ブルース讃歌。
新レーベル Mo-Zone の第2作目は、壷阪健登のアルバム『Lines』である。小曽根真のプロデュースにより、ニューヨークで録音された。
ジャズを「線の芸術」と言う壷阪が、「バッドプラス」のデイヴ・キング、バークリーからの盟友チャーリー・リンカーンとNY録音した初ピアノトリオアルバム。壷阪の珠玉のオリジナルに、3人の「線」がときに交わりときに別々の方向へと伸び自由と喜びの音楽が生まれた。
なんといっても4年がかりで拾い集めたこのミネソタ拾遺集には「翳り」が濃すぎる。
コンピュータ・プログラマーとコントラバス奏者の二刀流から生まれた興味の尽きないアルバム。
〈ALFIE〉でのライブ録音シリーズ第9作。のびのびとした自由度の高さと、細やかなコントロール感を巧みに両立させた、強い疾走感と高い熱量に溢れた強力なライブアルバム
すべての曲から、人の、そして人々の声が聞こえてくる――そんなアルバムである。
小曽根真のレーベル「Mo-Zone」第一弾は「TRiNFiNiTY」セカンドアルバムのドイツ録音。小川晋平と、きたいくにととの共同作業が小曽根真の新たな魅力と音楽性を引き出し、ポーランドのアナ・マリア・ヨペックの歌も交え、平和への願い込めたストーリーを紡ぎ出す。
渡辺貞夫の音楽的吸収力は凄まじく、それらが現在の渡辺貞夫の血肉となっていることは疑いない。
OTBで知られるマイケル・モスマンtpが手がけたNY在の若き俊才のデビュー・アルバム。
藤本一馬と林正樹のつくりだす、静けさの奥にあるどこまでも澄み切った美しい世界。心ゆくまでじっくりと味わいたい。
本作はヒカシューが約四半世紀ぶりにあるべき形、すなわち完全体に変態した作品といえるだろう。これぞシン・ヒカシューの幕開けである。
未来への生命力に満ちた復帰作となった『異端教祖』は、宮西計三という稀有なる存在をリスペクトし愛する「濃厚な友人たち=THE HEAVY FRIENDS」の絆の結果であり、根源的に音楽が持つ治癒の力の証に違いない。
譜面の旋律が見えるほど優等生的な音の良さである。
ゆったりと変わってゆく綾は独特の世界観からくるものであり、ずっと聴いていてもまったく飽きることがない。ちょうど川辺に座って眺める水面に一刻も同じ風景がなく、気がつくと長い時間を過ごしているように。
菊地は夢想の中で1音1音胸の深奥から音を探り出してメロディを編んだ。
繰り返し演奏された曲をどう変貌させていくか、より高く純粋な表現をすることができるか、John Taylorが取り組んだ素敵な記録
ケニー・ホイーラーやノーマ・ウィンストンと共同作業も多く、多くのECM作品に参加して来たイギリスのピアニスト、ジョン・テイラーの遅すぎた初ECMリーダー作『Rosslyn』。その直前のイギリスでのライヴ録音盤が22年後にリリースされ、スタジオ盤と遜色のない美しい世界を魅せる。
中低音を主体に中低速の演奏が並ぶ6曲には、じわじわと感動が聴き手へと浸み込んでいく
トランペットのライジングスター、鈴木雄太郎が放つ海外録音によるデビュー・アルバム
カンザスシティーから巣立った俊才トランペッター、ハーモン・メハリの2枚目になるデュオ作品『ソウル・ソング』
ロック、プログレ、パンク、フォーク、ノイズ、即興ジャズ、電子音楽、ワールドミュージックに亘る膨大な音楽の記憶がオマージュのように隠されている
ファーストコール・トランペッターであり、「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ」の音楽監督を務め、世界で活躍するエリック・ミヤシロが15年ぶりにリリースしたリーダーアルバム。”聴く人を笑顔にする”快作ができあがった。
布施⾳⼈トリオ待望の 2nd アルバム。澄み渡るピアノと息づくリズムが紡ぐ⾳の絵巻物
2025年のジャパン・ジャズという地平においてBOCCOは極めてアグレッシヴにして繊細な感性を併せ持つグループとして鋭い光彩を放っている。
ブルーノート社長、ドン・ウォズ率いるパン・デトロイト・アンサンブルが来日と同時にデビューアルバム、『Groove In The Face Of Adversity (逆境でグルーヴする)』を発表する。ドンが提示するデトロイトの音楽や、カバー曲を演奏してもユニークなサウンドになるこのバンドの解説を試みた。
モダンジャズの屋台骨を支えるのはビバップ期の昔も21世紀の今もベースだ。
ポーランド新世代ジャズを担う4人組、Błoto(ブウォト)の新作を分析し、この斬新なバンドと、その母体である音楽家集団、EABS(エアブス)を詳しく紹介。
富樫の優美なメロディに頼ることなくその世界を広げ、深く掘り下げた座右の1枚としたい秀作。
坂田学や大森菜々が藪をものすごい勢いで刈ったあとに招き入れる「なにものか」とは、坂田明なのかもしれない。
レジェンド級の演者たちによるソロを参照してもなお、デイヴ・モスの本アルバムは個性的に聴こえる。まるで虹のようなサウンドだ。
ジャズ、クラシックからJ-Popまで幅広く活躍する塩谷 哲の初のオーケストラ作品集。小曽根真&塩谷哲デュオのために書かれた「交響定的エレジー」から拡張した<Elegy for Piano and Orchestra>、ソロピアノ曲からの<Preciousness>を収録している。
2016年ヨーロッパ5都市ツアーから7月9日ウィーン楽友協会での録音。抽象的にも感じる音響的美しさの追求、心暖まる美しいメロディとハーモニー、グルーヴが絶妙に溶け合う珠玉のピアノソロで、巨匠画家の個展を楽しむような時間。2016年ツアーの中でも特にお勧めしたい。
インプロのアプローチやエフェクターの使い方などで昔から気になっていたメアリー・ハルヴァーソンの新譜が出た。この4管編成のアルバムは想像以上にすごかった。彼女の作曲テクニックの素晴らしさにびっくり。頭から離れない1曲、<Carved From>の解説を試みた。
このピアノトリオアルバムを聴くと、私たちは気づかないうちに鈴木の創造性の源泉に触れ、彼女の経験してきた音楽的歴史に胸をふるわせる。
アケタズ・ディスクにまた1枚明田川荘之の精神と煙草とアルコールの匂いが詰った秀作が加わった
ユルさと音楽的というより精神的なハモり
マックス・ローチ生誕100周年に因んだ代表作『We Insists』のテリ・リン・キャリントンによる渾身の蘇生。
本作品に聴かれる守屋純子オーケストラの創造するストレートアヘッドなジャズ・スピリットには脱帽するばかり。
新しい次のステップへの予感がきこえてきそうな期待に満ちた新作だ。
ディノ・サルーシのバンドネオンが奏でるメロディーは、どこまでも優しく、心地よく響く。何度も繰り返し聴きたくなる、心に残る一枚。
伸びやかで覇気にも満ち、快調にフレーズを疾駆させていく、そのアグレッシブで真摯な有り様...
旧友Chris Cheek(クリス・チーク)の新譜が出て急に彼と話したくなった。ポール・モチアンに見い出されて世界に羽ばたいた彼だが、ボストン時代ではしょっちゅう一緒に演奏した仲間だった。彼をフィーチャーした曲を書いたほど好きな彼の演奏を解説。
ここに紹介する二人にはもう多言を要しない。が、まだこんな素晴しい演奏が陽の目を見ていなかったことに驚く。
その世界観や音楽的なエモーションは一幅の絵巻のごとく連続かつ一貫していて途切れることがない。
異色の音楽集団アンサンブル・シッポリィが4年ぶりの第3作となるアルバムを出した。このグループのテーマが「息のかさなり」であることは変わらないが、サウンドとしてのあらわれはずいぶん変わってきている。
今年に入ってから大友良英のアルバムが次々とリリースされている。4月には昨年末の新宿ピットイン年末ライヴ「Old and New Dreams」 4 days 8公演のうち2公演もCD化された。
5月9日にBlue Noteからデビュー・アルバムがリリースされる若手トランペッター、Brandon Woody(ブランドン・ウディ)の音楽はかなり新鮮だ。ピアノがしっかりとバンドのサウンドを支える中全員が倍のテンポで即興する、そのエキサイティングなサウンドの解説を試みた。
バリー・ハリス・チルドレン三原彩子の女性バッパーらしい、強靭にしてしなやかなプレイ。
この唯一無二の演奏は中牟礼が90歳、渋谷が83歳の時だというから正に至宝同士による希有のパフォーマンス。
マッズ・トーリングは、ヴァイオリンにジャズの魂を吹き込む稀有な存在だ。本作『マスター・オブ・ジャズ・ヴァイオリン』は、彼のルーツと敬意を映し出すトリビュート・アルバムである。
ルォー・ユー・チェン(陳若玗)のピアノトリオがベートーヴェン、チャイコフスキー、プロコフィエフなどのクラシック作品に取り組んだ。それは独自色の高いものであり、シューベルトとモーツァルトに焦点を当てた前作からさらに成熟度を増したようだ。
破壊の果てに残された人間の尊厳と儚さを浮き彫りにする一枚である。
関西拠点のピアニスト、関谷友加里のセカンド作。優雅なメロディーのすぐそばに、フリージャズや即興音楽への入り口があり、するりと異世界へ抜けていく。
ブランフォード・マルサリスのブルーノート移籍第一弾は、なんとキース・ジャレットの『Belonging (1974)』のアルバム丸ごとカヴァーだ。ブランフォードのインタビューを色々交え、彼の音楽に対する姿勢とこのキースの美しい曲の解説を試みた。
これらの演奏はビッチェズ・ブリューで繰り広げられた。大由が普通のプレイヤーとは異なるスタンスで演奏に臨み、香村が即興演奏の形を練り上げ、また纐纈がソロ演奏の場を幾度も得た場である。この機会を提供した杉田誠一のもつ緩衝帯についても、語っていかなければならないことである。
キプロス出身のピアニスト、Christos Yerolatsitis (フリストス・イェロラツィティス)のトリオのデビュー盤。現代的なジャズとギリシャの音楽文化が自然に融合し、クールで先鋭的でありながら、抒情性に満ちている。
本作品はチック生涯の最終到達点でありピアニストとしての原点回帰と言えるのではないだろうか。
石若駿の次の世代で最も注目すべきドラマー/作曲家 中村海斗のセカンドアルバム。海斗の作曲したストーリーの上で、メンバーが自由自在かつ緻密に繰り広げる演奏は衝撃的だ。20歳のアルトサックス佐々木梨子の音楽性も恐ろしいほどだ。
スタジオ録音かと思う程に全員の緻密で理性的な集中力が素晴らしく、ライヴ盤らしくないアルバムの統一感に優れている。
リーダー櫻井郁雄の技術、感覚、人格が全体を統一しつつ、参加者達を自由にしている。
この音があれば酒など要らないのかもしれない。
ミシガン州立大学で全額奨学生として学ぶ注目のトロンボーン奏者 治田七海のアメリカデビューアルバム。師匠マイケル・ディーズにオールスターのリズムセクションを従えながら、治田の膨よかで深みのある音色が心に沁みて、聴く者の心を穏やかにする不思議な波動を持った魅力あるアルバムができ上がった。
ロン・カーターのピアニストとして活躍するリニー・ロスネスがブラジル愛のアルバムを発表した。ゲストはエドゥ・ロボ、ジョイス、マウシャ・アジネ、シコ・ピニェイロ。意外にもハマったミルトン・ナシメントの<Estórias da floresta>のアレンジの解説を試みた。
ガラティの持つ美意識をスタンダートを通して浮かび上がらせるという試みは、名録音技師の誉れ高いステファノ・アメリオによって余すところなく聴き手に届けられた。
ケニー・ホイーラーが1970代にBBCのために書いたスコアが発掘され、ノーマ・ウィンストンやクリス・ポッター、イングリッド・ジェンセンなども参加して録音された。50年経っても色褪せない新鮮なサウンドを魅せてくれる。
リオネール・ルエケが我が師デイヴ・ホランドとのデュオ・アルバムを発表した。ハンコックやブランチャードのライブで馴染んでいたルエケの演奏は、このアルバムで恐ろしく進化していた。このご機嫌なアルバムから耳に張り付いて離れない1曲の解説を試みた。
纐纈が初手合わせとなるメンバーとの間に一切のリハーサル無しで臨んだこのセッションは、爽快感に溢れている豊穣のドキュメント。
テクニック至上ではなく、いやテクニックを超えて吹ききる、咆哮する、纐纈之サックスは情念。
あたかもフリージャズ全盛期を思わせるような激しい演奏に驚かされる
Aaron Parksの斬新なバンド、Little Bigの三作目が発表された。パークスの変拍子を変拍子と感じさせない作品と演奏スタイルや、彼の特殊なヴォイシングは相変わらずエキサイティングだ。彼の練習法や作曲過程などを交えて彼の特殊な世界の解説を試みた。
本アルバムを聴くことが「キース・ジャレットにとってピアノとは何か」を全てのキース・ファンが問い直してみる機会となることを期待したい。
キースとポールが16年ぶりに共演、それはジャック・ディジョネットの代役としてだが、逆に、菊地雅章やポール・ブレイらをサポートしてきたゲイリー&ポールのコンビに、キースが参加したと視点を変えるとそのサウンドは興味深く、重要な一期一会であったことが見えてくる。
試合と演劇の中間にある「オルタナティヴ・ロック」。
山口コーイチの演奏はどのような形態であれ普通ではない。本盤において、かれの視線の先には大きな船ではなくメンバーとの交感自体がありそうに思える。
ノーマ・ウィンストンがECMから6年ぶりのアルバムリリース。デュオを組むキット・ダウンズもやはりECMでの活躍が近年目覚しいピアニストだ。
NYCのファースト・コール・トロンボーン奏者であるライアン・ケバリーのグループ、カタルシスの新譜が発表された。あちらこちらにお楽しみ満載のこのアルバム、どの曲を取り上げるか悩んだほどだ。言葉で説明しきれないこのアルバムの面白さの解説を試みた。
「SENSES COMPLEX-五感を超えて、感覚が交差・拡散する地点」というギャラリーノマルのコンセプトの具現化に違いない。
庄子勝治、植川縁というふたりの対照的なサックス奏者が古いブッシャーのサックスを吹き、即興音楽のソロイストとは異なる独自性をもつ照内央晴がピアノを弾く。録音が山猫軒独特の気配をとらえていることも特筆すべき点である。
音が人である以上、本盤に収められた演奏だけが最上のものだと言うことはできない。だが、この音も聴くべきである。