小野健彦のLive after Live #157~#162

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text and photos by Takehiko Ono 小野健彦

#157 6月20日(日)
埼玉・越生 山猫軒
https://www.yamaneko.info/
「30 years after without Masayuki Takayanagi〈いくつもの自転するものたち〉」vol.1
山崎比呂志 (ds&perc) 今井和雄 (g) 大友良英 (g) 南達雄(写真


さあ、いよいよ、今年のLAL第二部の幕開け。今日は待望の高柳’jojo’昌行氏・没後30年メモリアルウィーク公演「30years after without Masayuki Takayanagi〈いくつもの自転するものたち〉」vol.1@埼玉・越生・山猫軒。

約二か月の幕間を経た自らのLAL第二幕の幕開けに一捻り欲しいと知恵を絞り、昨日から湘南の自宅を飛び出しこのライブの発意者のおひとりでもある昵懇のドラマー・山崎比呂志氏の地元である茨城・鹿島に赴き一泊した後、今日は「車のナビ役」も兼ねて、「山崎号」にて凡そ3時間かけて山猫軒に到着した。私はこちらへの訪問は、’19/12以来2度目(その日のライブの模様は、リトアニアのNo Business Recordsより、『JAPAN SUITE/Francois Carrier』として既発)

誰もが不安視していた梅雨時の空模様もなんとか持ち堪えた昼下がり。我々の到着を今か今かと待っていて下さったのか、丘の上から駆け降りて来られるご亭主の南さんの懐かしい笑顔を見つけ、それだけでこちらもなんとも嬉しい心持ちになってしまった。その南さんと山崎さんとは、同所の30周年記念ライブ以来4年振りの再会とのことで、旧交を温めるおふたりの横顔もなんとも微笑ましい。

さて、今日の出演者リストには、山崎比呂志氏(DS&PERC)今井和雄氏(G)大友良英氏(G)南達雄氏(写真)とクレジットされていたが、具体的にどんな流れになるのかは、私自身も事前に山崎さんにお伺いすることは敢えて控え、山崎さんからも特段のお話は無くその時を迎えることとなった。ハコ内に入ると、あちらこちらに展示されたjojoさんの写真が我々を出迎えてくれた。お聴きすれば、南さん自らそれこそ久方振りにご自身の写真を現像し、この日に華を添えられたという。なんとも心難い演出のこの「南達雄写真展」は2Fギャラリー(足の悪い私は前回は登頂せず)まで及んでいたことから、今日はスタッフの方に介助頂きしかと拝見させて頂くことが出来た。jojoさん及び彼のグループの近くに在ってファインダー越しにその表現活動をリアルタイムで目撃し続けた南さんの貴重な写真の数々は、どれも説得力のあるものばかりで、それらは貴重な文化史的財産として、是非とも出版等の形でより多くの方々の目に触れることを強く希望する。

そうこうしているうちに開演の17時が近づき本日の出演者及びお客様が徐々に出揃い始めてきた。

山奥のこの地での日曜夜の公演ながら、客席は、高柳氏らと同時代を過ごしたと思しきお客様から若いファン及び一部勉強熱心な若手ミュージシャンに至るまでコロナ対策を考慮した中でほぼ満員札止め間近の大勢の入り状態となった。

それはそうとして、定刻になりひとり静かに現れたのは今井和雄氏だった。床に座し、やおらギターケースから取り出したのは、なんとガットギターだった。そうして、ギター弦を頭上にてぐるぐると回した後は、ピアノ線・木片・プラスチック製チェーン等を駆使しながら徹底的にギターと戯れた。そんな、ギターと言う楽器の打楽器的要素の追究が約15分程続いただろうか、突如潮目が変わり弦楽器としてのガットギターの独奏に移行した。低音から高音迄を自在に駆け巡る今井氏の演奏はあたかも雲雀の飛翔に似て、こちら聴き人に雄大な自然の「場面」を鮮烈に想起させてくれる。そうして約40分の演奏が終わり強く残されたものは、抽象と具象の狭間に咲いた湿っぽさとは無縁の、如何にもドライなそれでいてなんとも言えない含蓄と示唆に富んだ孤高のレクイエムだった。

続く短いインターバルの後の本日第二部は、山崎氏と大友氏のDUO。私自身この組み合わせに接するのはトリオ等少しく異なる編成も加えると今日が合わせて5度目。既に多くの時空を共有し相手の手の内をある程度まで察せられる間柄ながら、今日ばかりは少し違うある種神妙な雰囲気が漂っているように感じられた。それはまるで、おふたりの近くにjojoさんが舞い降りて来ているのではなかろうかと錯覚したのは私だけだったろうか?あるいは、越生の森に抱かれた夕暮間近のヒンヤリとした静謐のなせる技だったのだろうか?そんな間合いを鋭く切り裂いて最初に飛び出したのは山崎氏だった。(自身左方のタンバリンをかませたシンバルと例の三菱製トラックのホイールキャップへの一撃により)
そうなると最早組んず解れつのフルスロットルに達するのは時間の問題だった。
どこまでもしなやかに、したたかに。
こちらも約40分の中で自らの主張を潔く言い切ったところで、ふたりの手と息遣いが止まった。

さて続いて、本来であれば終了予定時刻の19時少し前にいよいよ本日最後のステージが始まった。山崎氏・今井氏・大友氏3者の揃い踏みのステージ。引き続きガットギターを手にする今井氏に対して、大友氏もアコースティック〈バンジョーギター〉を手に取る。そんな2人を見て、山崎氏もすかさずブラシを合わせにかかる。初めこそ少し拡散気味に聴こえたサウンドのフラグメンツも序破急の道程を経て次第に収斂を見せ始める。そのあたりの間合いと呼吸感はなんともスリリングだった。そうして、そこで三人が共に奏でた激烈なサウンドは、決して独りよがりのものでなく、聴き人も含めてその場を全て巻き込んで、創造のより高みを目指そうとする、いかにも慎ましい思慮深さと深い洞察力に溢れたものだったと言えよう。
それは大友氏がフライヤー裏面で言及した、「生きているものたち(演者のみならずその場を共有する聴き手達も含めて)からのアンサー」として。
私自身はそんなことを噛み締めて、すっかりと夜の帳の降りた山猫軒を後にした。
素敵な夜だった。何かのきっかけになれば良いと強く感じた夜でもあった。


#158 6月21日(月)

新宿 PitInn
http://pit-inn.com/
北海道バンド:
高橋知己 (ts) 元岡一英 (p) 米木康志 (b) 本田珠也 (ds)

今日のライブの現場は、新宿・ピットイン。今夜のステージには、「北海道バンド」が登場した。

そのメンバーを見るだけでもワクワクするいずれも一筋縄では行かない個性を宿した表現者達の集合体。因みにそのメンバーとは、言わずもがなの高橋知己氏(TS)元岡一英氏(P)米木康志氏(B)本田珠也氏(DS)の面々。

鍵盤の前の文学者・元岡氏のご自身のFacebookの紹介文章の端々を勝手にお借りすれば、それは80年代後半バブル全盛期の波に乗って、(bebopとオリジナルの狭間でもがきながらも)華やかに3枚のCDを作ってあえなく消滅したバンドが、昨年の同所での知己氏演奏活動49周年3DAYSの一日のために再結成されたというもの。

しかし、その後日譚がふるっている。

再結成の夜は、皆さんにとって決して「バッチリ」出来たものではなく、珠也氏の「悔しい」の一言に、皆が「もう一度やろうぜ」と答えた、その思いの先が今宵の帰還に繋がったようだ。

しかし、今宵は我が膨大なCDライブラリーの「日本人のバンド」のコーナーにあって、燦然と輝く存在感を放つ先の3枚のアルバムから各々で異なる道程を経た先に到達した30年の軌跡を踏まえた「変態」を相対化して聴くつもりは私には無かった。
そこでは現在進行形の絶対として、昔の曲にも新曲にも接することに務めた。


果たして、強く印象に残ったのは、そのバンドサウンドの見事な立体感(言い換えれば構造美)だった。演る側にとっては、様々な仕掛け・工夫が施されているのだろう。しかし、こちら素人の聴き人には、そのいちいちについて理解出来る由もないが、それでも随所で四人の奏でる音像の、初めは点が、それが次第にしなやかな線として縦横ナナメにピタッと揃い、同期をとりながら連鎖して蠢いて行くその様がサウンド全体に適度な奥行きと間取りを持たせる。多くで思わず口ずさみたくなるようなテーマ部に導かれて始まる楽曲達によってもたらされた畳み掛けるような音の連なりにはおおいに唸らされ、何とも聴き応えのあるものだった。

しかし、先のエピソードからもわかるように、自らの表現活動についての評価の厳しさにかけては人後に落ちない四人。さあ、今宵をどう総括するかが楽しみなところである。

そう言えば、話まったく変わり、個人的には今夜は嬉しい再会もあった。インターバル時に、「お久しぶりです!」と、ひとりの若者から声を掛けられた。マスク姿で直ぐに分からなかったが、なんと人気トランペッターの山田丈造君だった。しかし、後からよくよく思い出してみれば、彼も「道産子」。先輩方の熱い想いは、こうして確実に受け継がれてゆくということか!

そんなこともつらつらと考えながら、久しぶりの新宿のネオンに別れを告げた。

※尚、本日の演奏中の写真は、ピットインスタッフの皆様のご厚意により撮影頂いたものを掲載させて頂いております。


#159 6月24日(木)

渋谷・公園通りクラシックス
http://koendoriclassics.com/
高柳’jojo’昌行没後30年メモリアルウィーク公演「30 years after/without Masayuki Takayanagi〈いくつもの自転するものたち〉」vol.2。
山崎比呂志 (ds&perc) 加藤崇之 (g) 大友良英 (g) 南達雄(写真)

今夜のライブの現場は、初体験のハコ、渋谷・公園通りクラシックス。

今夜のステージは、20日(日)に続く高柳’jojo’昌行氏没後30年メモリアルウィーク公演「30 years after/without Masayuki Takayanagi〈いくつもの自転するものたち〉」vol.2。

今やほぼ毎日、意欲的なプログラムを発信し続けているこのハコであるが、かつては高柳氏がコンサートシリーズをやっていた小劇場「渋谷ジァン・ジァン」のあった場所(より正確に言えば、その楽屋があったところ)。冒頭で私は初体験のハコと書いたが、ジァン・ジァンには津軽三味線の名人・初代高橋竹山氏の公演を聴きに何度か訪れたことがあり、その内部空間の劇的な変貌ぶりに驚かされることとなった。

さて、今宵の出演者は、山崎比呂志氏(DS&PERC)加藤崇之氏(G)大友良英氏(G)南達雄氏(写真)とのクレジット。

場内には、(日曜日にも越生・山猫軒で拝見した)南氏選りすぐりの作品群が持ち込まれており、まずはこちらを改めてじっくり拝見しながら開演の時を待った。

19時丁度に山崎氏がひとり現れドラムの前に。客席全体を一瞥し、しばし目を閉じた後で、静かに一対の小さな鐘を振った。この凛とした音色により場内に水を打ったような静けさが訪れた。それからは、相棒であるタイコの今日の気分を推し測るかのように、タンバリンをかましたシンバルから、例の三菱製トラック用ホイールキャップに、そうしてバスドラムからスネアドラムに、更には日曜日には雨予想を前に湿気を嫌うとセットに組み込まなかった和太鼓にと順番に一撃を加えて行く。それらが通奏低音になり、暫く経過した所で、舞台上手から、大友氏と加藤氏が姿を現した。最近の自身のステージでは、エレクトリックギターとガットギターを使い分けている加藤氏だけに、今日はどちらを選択するかもおおいに興味深かった。結論から言えば、エレキだった。山崎氏を中央に上手に加藤氏、下手に大友氏が共にエレクトリックギターを手に居並ぶというなんとも贅沢な構図。

山崎氏のしなやかなドラムに寄り添うように、ギタリストおふたり共にその心身とギターが一体となっているかのような渾身のかつ濃密な音像を描く時間が滔々と流れて行く。様々なニュアンスをもってして、どこか果てしない宇宙の彼方と交信しているかのような、何ものにもとらわれない開放的な音の流れに、何度も息を呑む瞬間が訪れた。

続いて短いブレイクの後の後半戦も三つ巴の体。

しかし聞けば、意外なことに大友氏と加藤氏は何と今夜が初共演だと言う。

霊界からの高柳氏の強烈なdirectionもこの夜におふたりを導いたのだろうか?しかし何よりも、時代を経て山崎氏との充実した表現活動を経て来たこのおふたりだけに、御三方の息はぴったり。特に第二部の中盤からは、四囲の禍を断ち切らんばかりに弾け散る三人のボルテージはひたすら上昇の一途を辿って行った。各々が愛器をフルに鳴らし切りながらの「1×3=3」の数式が全く当てはまらないめくるめく圧巻のマジックアワーに溜飲が下がる思いだった。

高柳氏が没してから、今日で30年と1日。

その意志は厳然と受け継がれていることが感じられた、こちらまで背筋の伸びる様な夜だった。

山崎氏曰くは、この企画は今後も必ずやシリーズ化して行きたいとのこと。聴き人のひとりとして、当然大歓迎である。

最後に今回のシリーズを発意された山崎氏と南氏、並びに自身から率先して裏方にまわり心強いお手伝い役に徹した大友氏及びエポックメイキングな夜の協働者としてご出演された今井和雄氏と加藤氏に改めてお礼を申し上げたいと思う。

#160 6月25日(金)
西荻窪・アケタの店
http://www.aketa.org/
原田依幸グループ:
原田依幸 (p) 時岡秀雄 (ts) 望月英明 (b) 石塚俊明 (ds)

今宵のライブは、原田依幸G@西荻窪・アケタの店。

しかし今夜は、何もかもが「大変ご無沙汰です」の連続だった。アケタの店(無論、名物マネージャーの島田さんも)は10月以来約250日振りであり、原田G〈原田依幸氏(P)時岡秀雄氏(TS)望月英明氏(B)石塚俊明氏(DS)の面々〉に至っては、バンドとしては昨年7月、同所でお聴きして以来の再会となった。

引き続く18時開演20時終演予定の時短営業下にあっては、皆さんとゆっくり旧交をあたためる暇も殆どなくステージの幕があいた。

冒頭、原田氏の鋭い短音と続く最弱音には思わず唸らされた。かの蜷川幸雄氏は、「幕開き3分」と語っていたが、原田氏は、僅か数秒でこちら聴き人の耳目をすっかりと惹きつけてしまうのだから、毎度驚愕してしまう。そんな原田氏に、石塚氏と望月氏が幽玄なムードで応えて行く。続いて原田氏は強いタッチで印象的な和音を積み上げ、更には鍵盤の高音から低音迄を駆け巡る素早いパッセージを畳かけて行く。すると石塚氏が火を吹き牙をむいた。そうしてリズム隊が程よくあたたまって来たのを見計らうと、この時とばかりに時岡氏が哀切の高音を吹き込み、続けて極めて抑制の効いた咆哮へと転じて行く。

こうなるともう、私には嬉し懐かしの麗しきジェットコースター・エレガンス。

四人の繰り出す音の塊が店内の四方八方に鮮やかに飛び散って行く。

長年のマンスリーでの協働作業で培われたこのバンド固有の確固たる様式美(音の伽藍)が、今日も圧倒的に私に迫り来た。こんな胸のすくような音を浴びせかけてくれるのだから、私の足は、またこのバンドに向いてしまうことだろう。

#161 6月26日(土)
合羽橋・jazz & gallery なってるハウス
http://www.knuttelhouse.com/
山崎比呂志TRY-ANGLE:
山崎比呂志 (ds&perc) 纐纈雅代 (as)

感染対策引き続きゆめゆめ怠らず、今日も進むLAL。

電車の空いている時間、空いている路線を選び駆けつけた夕方開始の本日のライブは、山崎比呂志TRY-ANGLE@合羽橋・なってるハウス。しかし有難いことに、山崎氏の演奏に触れるのは、今週の中で実に3回目。その山崎氏が同所を中心に盟友のベーシスト井野信義氏と共に毎回創造的な表現者を迎える氏の現在入魂のこのプロジェクトだが、今日はスケジュールの都合で残念ながら井野氏がお休みのため、山崎氏(DS)と纐纈雅代氏(SAX)との完全DUO編成。

自分のライブ手帳をめくると、纐纈氏とは、昨年の2/14以来の再会とわかり、我ながら驚いた次第。お逢い出来て居ない間に、SNS上ではテナーサックス姿も拝見したが、今宵はどうやらアルト一本で行く模様。

山崎氏について言えば、最早もう数えきれない場でその表現活動に接している訳であるが、完全DUO編成での演奏となると、大友良英氏(G)および本田珠也(DS)とのそれでしか体験したことがなかっただけに、更に今日ホーン奏者との真っ向勝負にはおおいに期待が膨らんだ。

店内に入り、山崎さんのドラムセットを見ると、フリーフォームには肝の例の三菱製トラックホイールキャップがないことに気付き、早速山崎さんに尋ねると、こそっと耳うちされた。「彼女(纐纈さん)がどうするかだけど、ジャズになるかも? あれ(言外にフリージャズの意)も俺、これ(オーソドックス(←山崎さんはよくこういう表現をされる)の意)も俺、ってところを見せられるかもしれないよ」と言ってニヤリと笑って離れていかれた。

果たして、纐纈氏はお逢いしない間に予想以上にその描く音楽の世界観のスケールが大きくなった感があり、その終始挑みかかる凄みのようなものも大きく印象に残った。そのプレイは、フレーズの捻りも効き、語彙量も増えてさらに雄弁に説得力のあるものになった感がした。対する山崎氏の繰り出したしなやかなシンバルレガートとタイコ群(スネアドラムやタムタム等)への的確な一撃のコンビネーションは、随所でスリリングなスイング感を導き出して行った。所謂ありきたりの4ビートではない、ここでは敢えて年齢を引き合いに出すが、それは(様々な音楽的背景を持つ)齢81にして描く山崎氏の現在進行形のジャズの、ある一面として私には大変瑞々しく新鮮に響いた。

宴終わり外にでると、そこは既に闇。刺激的なひとときを味わい尽くして今日もなんともご機嫌な夜を迎え帰路についた。

#162 6月27日(日)
茅ヶ崎・ハスキーズギャラリー
https://www.huskys-g.com/
Love To Brasil Project:
城戸夕果 (fl, perc) ヒロ・ホンシュク (fl, EWI) マルセロ木村 (vo,g) 安井源之新 (perc)

 

そうして、今日も快調にLALは進んで行く。

今日のライブの現場は、自宅隣町の茅ヶ崎・ハスキーズギャラリー。

ハコのHP上のタイトルは、「お帰りなさい城戸夕果 湘南・ボサノバ・ライブ」と銘打たれていたが、地元出身のフルート奏者・城戸夕果氏と、同じくフルーティスト(今日はEWIまで披露されたが)のヒロ・ホンシュク(本宿宏明)氏(本日のスペシャルゲストで、湘南・鎌倉育ち)の’Love To Brasil Project-EP’盤を携えたショートツアーの一環となる公演。(昨日今日の茅ヶ崎2DAYSがそのスタート!)

89年より小野リサ氏のバンドに参加後、90年代に日本との間で往復したリオで、ボサノバのレジェンドたるジョニー・アルフィをはじめジョイス・モレーノ、フィロー・マシャード等のトップ・アーティストと活動し、何枚ものアルバムを制作、その後も東京・ベルギー・ブラジル・ボストンで様々な活動を重ねて来られた城戸氏と、母校であるボストン・ニューイングランド音楽学院やロンジー音楽大学、ニューイングランド・インスティテュート・オブ・アート等で教鞭をとり、自身もかのG.ラッセル氏(「リディアンクロマティック・コンセプト」の提唱者として有名)のアシスタントを20年以上務め、同氏のリヴィングタイム・オーケストラの一員としてヨーロッパ等で活躍した後、NYCで活動するハシャ・フォーラのリーダーを務め、更にはウェブマガジン’Jazz Tokyo’の好評連載「ヒロホンシュクの楽曲解説」を毎月欠かさず手掛けるなどマルチな才能を持つホンシュク氏という、共にブラジル音楽を深く探究するおふたりの貴重な帰日共演とあって、サポートには、我が国に在って、ブラジル音楽に造詣の深い名うての表現者が加った。即ち、マルセロ木村氏(VO/G)と安井源之新氏(PERC)だ。

ステージは、ここ湘南から彼の地ブラジルまで届けとばかりに吹き込むおふたりのフルートのどこまでも伸びのある軽やかなサウンドの相性の良さにまずは驚かされる。

そうして四人で描いた音像(伸び縮みするリズムと浮揚感が横溢する印象的なメロディ達)は、これがまたなんとも起伏に富み実にカラフルなものだった。

単なる耳触りの心地良さだけには留まらない、より芯の強い迫力さへも感じられた飛び切り上質のアンサンブルに浸れた午後のひととき。

隣町で味わえた極上の音場、堪能させて頂きました。

小野 健彦

小野健彦(Takehiko Ono) 1969年生まれ、出生直後から川崎で育つ。1992年、大阪に本社を置く某電器メーカーに就職。2012年、インドネシア・ジャカルタへ海外赴任1年後に現地にて脳梗塞を発症。後遺症による左半身片麻痺状態ながら勤務の合間にジャズ・ライヴ通いを続ける。。

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