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小野健彦の Live after LiveNo. 290

小野健彦のLive after Live #225~#230

text and photos by Takehiko Ono 小野健彦

#225 3月12日(土)
Asagaya Live Space Yellow Vision
http://www.yellowvision.jp/
デラシネライブシリーズ2022〜Phantom Pain Vol.1
カルメンマキさん(vo/鳴り物)中村哲(key/ss/ピアニカ等)

丁度2週間前に約二年振りの再会を果たし、改めてその強い物語性を持つステージに触れ、おおいに心掴まれたカルメンマキさん(vo/鳴り物)にお逢いするため今日は阿佐ヶ谷までやって来た。
今宵の現場は’19/12以来2度目の訪問となったイエロービジョン。
普段は、インプロ/ジャズ系の表現者の登場も多いこの隠れ家的なハコ。
ご亭主の小林さんとの再会も嬉しいところだ。
それはそうとして今宵のステージ、マキさんとは、バンド編成では折に触れご一緒される機会のある中村哲氏(key/ss/ピアニカ等)との初の完全DUOであり、その音創りの行方に期待が高まった。題して、カルメン・マキのデラシネライブシリーズ2022〜Phantom Pain Vol.1。
果たして、マキさんの冒頭のMC曰く、「発展途上で未完成の「秘密の集会」」を目撃することとなった今宵、寺山修司詩作〈男の嫉妬について「エコー]〉から続けて高橋睦郎作詞和田誠作曲〈ペルソナ〉で幕開きした今夜のステージは、朗読(今宵は特に寺山修司氏の詩作が多く供された)に加えて同じ地平で繋がれた歌曲(D.ホランド作〈Quiet Fire〉M.アーモンド作〈Monday Blue Song〉ファルコン氏作〈月夜のランデヴー等々〉へと、巧妙な緩急のバイブレーションと豊かな強弱のダイナミクスを施しながら唄い込んで行くマキさんに、中村さんの印影に富んだ音の連なりが時に鋭く時に思慮深くタッチして行きながら…。そうしておふたりの描いた世界観は、昨今の心穏やかならぬ晴れない世情に対する鬱積した気持ちを吹き飛ばしてくれるのに充分過ぎるものであった。編成上慣れぬ間合いの中にあっても、総じて、互いに確たる意志を持ったひとりの表現者としての凛とした表情が私の眼には強く映った。是非とも大事に育まれ更なる進化の道程での再会を楽しみにしたいと心底から感じられたユニットとの得難い出会いだったと言える。

 


#226 3月17日(木)
横浜・日の出町JAZZ FIRST
http://jazz-yama-first.sakura.ne.jp/
岩崎佳子(p)中牟礼貞則(g) 稲葉國光(b)

このところのLALはお久しぶり・2回目の訪問となるハコが続いているが、今宵もそんな具合。今日の現場は、’20/3以来の横浜・日の出町JAZZ FIRST。ジャズの流れる老舗の点在するここハマ界隈にあって、こちらも堂々1968年創業(因みに筆者の一歳先輩)と息の長いライブハウスだ。そのステージには岩崎佳子氏(P)のトリオが登場した。今宵の同行人は、一昨日3/15に89歳の誕生日を迎えられた中牟礼貞則氏(G)と来月末に米寿を迎えられる稲葉國光氏(B)。
この御三方、その共演歴の長さと多さの賜物であろう、静謐感溢れる〈Stella By Starlight〉で幕開けし、途中このユニットにゲストを招いた5月発売の新譜収録曲でバンマスが当面の課題曲と語った〈All Or Nothing At All〉に加え、中牟礼さんへのBDソング等も経由して〈Black Orpheus〉から続けて軽快に4ビートでバウンズした〈All The Things You Are〉での締めに至るまで、1stセット5曲、2ndセット4曲をオール・スタンダード・プログラムで構成した圧巻のステージを通して、その音創りは、総じて質実剛健かつ盤石の極みを描いて行った。そんなトリオ・ミュージックの往き方の中にあって、特に中牟礼さんの独創的なサウンド・マネジメントが、トリオ全体のサウンドを単に心地良い安定感の中に安住させることなく随所でメラメラと仄めくような静かなスリル感を呼び込み推進力を増すのに大きな役割を担っていたことは確かである。
巷でお見かけする多くの秀逸な「中牟礼貞則考」の前にあって、私ごときの稚拙な心象表現を弄することには躊躇しつつも…。それはまるでフレスコ画を描くかの如くの、自らが持てる技術を総動員して、時間(タイム感)との勝負に挑んで行く在り様に感ぜられ、その姿は私にはいかにも気高いものとして強く映った。
そんな中牟礼さんが、より仕事をし易く出来るように周囲の足場を丁寧に整えて行くことに注力されている様子がこちら聴き人にはなんとも好ましく感じられた岩崎・稲葉両氏の仕事振りも際立った素敵な夜だった。
最後に、いささか蛇足にて恐縮だが、今宵の恒例のライブ前の御神酒タイムについて。老舗のハコでの老舗の音とのご対面を前に私は老舗の料理屋を選択した。日の出町からはさして遠くない横浜市営地下鉄阪東橋駅から程近い、かの桂歌丸師が長年暮らした真金町〈マガネチョウ〉のよこはまばし商店街にある今年創業40年を迎えるうなぎ「八舟」さんが今宵の河岸。
庶民の私にも敷居低くコスパ高しの充実の独り宴のくだりについてご興味のある方は添付写真にてお付き合い頂ければ幸甚です。


#227 3月18日(金)
合羽橋・jazz & gallery なってるハウス
http://www.knuttelhouse.com/
TRY ANGLE:山崎比呂志(ds) 大友良英(g) 川島誠 (as)

風雨にマケズ進むLAL。因みにこのLALについてひとくさり。
これは文字通り私のこのライブレポ連載コラム〈live after live〉の頭文字を並べたものであるが、〈JAL=ジャル〉ならぬ〈LAL=ラル〉とお読み頂ければ幸いである。

さて、今日の現場は春雨降り頻る合羽橋・なってるハウス。
そのステージには山崎比呂志氏(DS)の最近の活動の主軸の一つとなっているTRY ANGLEが登場した。
山崎氏のこのユニット名に込めた想いは、【TRY=試行 ANGLE=音楽を捉える視点】である。
当初の出演者クレジットはこのユニットのコアメンバー井野信義氏(B)に加えゲストの大友良英氏(G)であったが、井野氏がご都合で欠席となったため、早々に代役がたてられていた。それが私にとっては、’19/7独AS奏者F.ヴァルター氏とのDUOライブ@白楽bithes brew以来ご縁を頂いている新進気鋭の表現者 川島誠氏(AS)と知り、少しく意表を突かれつつ勇んで湘南から下町を目指した次第である。
しかし思えば大友氏と川島氏は昨年、越生・山猫軒で共演し、DUOライブ盤までリリースした間柄であり、その意味では、今宵の舞台への素地はある程度迄出来上がっていたとも言えた。しかし一方で、一瞬先は当の演者自身も予想のつかないフリーフォームの現場である。そこでは近年山崎さんと初顔合わせを実現させた順に纐纈雅代氏、林栄一氏、早坂紗知氏、松丸契氏に続く第5のアルト吹きとしての川島氏のアプローチとそれを受ける特に山崎氏の構えにおおいに期待が高まる中での幕開きとなった。
この三人では初の手合わせとあってか、三者三様に、初めは静かに入った。山崎氏はスティックでドラムセット全体の打点のニュアンスを慎重に押し量り、大友氏は小さな弧型の弓を使って今宵の弦の響きを確かめて行く。そんなふたりを横目に川島氏はフリーキーなパッセージを極く緩やかに重ねて行った。そんな時間がひとしきり流れて行くが、そこに目立ったドラマが生まれてこないことに私自身も正直なところ物足りなさを覚え始めた頃、山崎氏がやおらブラシを手に取り、大友氏がフィンガーピッキングに切り替えるに及び場の潮目が大きく変化を遂げた。
と、時を同じくするようにそれまで比較的おとなしい表情を見せていた川島氏が、ステージ上を右に左にと移動し始め、更にはうずくまり、最後には再び立ち上がり身体全体から絞り出すように印象的なフレーズの数々を吹き込むに至ると三者の緊密度が瞬時に高まりを見せたが、その場面は極めてスリリングなものであった。それでも引き続く絶妙なタッチの山崎氏のブラシワークが他のふたりに少なからず影響を与えたのではなかろうか、ある程度予想された三者が三つ巴になってボルテージをあげながら劇烈の剣ヶ峰へと転じる展開には至らず、逆に音場は抑制の効いた比較的静かな移ろいを見せて行った。
今日の2セット、各々約40分間のステージは共に私にとっては上記のような印象を受けたものであった。
それでも全体のステージを通してフリーフォームの生き証人たる山崎氏の抑えに抑えた音創りがこれまでにあまり体験したことのなかったフリーフォームの往き方のひとつの型を示唆してくれた感が強く、それが私にとっては新鮮な驚きであり、その意味で、かなりの悪天候の中、都心に走った甲斐のある一夜であった。


#228 3月21日(月)
横浜希望が丘 Jazz Live House CASK
https://jazzlivecask.wixsite.com/cask-kibougaoka
守新治(ds,vo) 二村希一(p)笠原本章(b)

穏やかに晴れ上がった春分の候。
今日は守新治氏(DS)のトリオを聴きに横浜希望が丘CASKにやって来た。今日は守氏の69歳の誕生日であり、且つキャリア50周年記念の趣向も兼ねていた。昨夏に同所で初めてのご縁を頂いた氏との絶好の再会の機会であると共に、私にとっては更に、是非ともそのナマに触れたいと長年思っていた表現者・二村希一氏(P)がトリオの一角を担うとあっておおいなる期待を持って現場に向かった次第である。因みにベースは、同所にV.シャフラノフ氏を招いて開催された守氏キャリア45周年ライブにも参加された笠原本章氏が務めた。
さて話を少し前に戻して、お初の二村氏であるが、私が氏に特に注目するきっかけとなったのは、編成の異なるそのリーダー盤で私のフェイバリット・ピアニストのひとりA.イブラヒムの佳曲を採りあげていたこと。その哀切さと雄大さを核に持つ作品に対する独自の解釈からは眉間に皺寄せ自らの内へと向かう内省的な姿勢とは異なり、自らの外へと積極的に開かれた楽しく明るい解放感が色濃く感じられてこれは是非ともナマで聴かねばその実像にはタッチ出来ないと予々思っていたという訳である。
それはそうとして、肝心の音、である。
これまでも各所で度々手合わせをして来た実績のあるというこの御三方。互いに対する深い理解と信頼をベースに様々に異なる曲想を持った佳曲の数々を取り揃えてこの日会場に集いし満場の聴き人達になんとも言えない愉しさに溢れたライブの醍醐味を届けてくれた。
まん防解除を目前に控えた早目の定刻16:30にスタートしたステージ。
その冒頭では、過日惜しくも逝去された守氏の旧友・横山達治氏(perc)を偲び守氏によるアフリカン調の掛け声とドラミングによる献歌・献奏が行われ、更にK.ドーハム作(Blue Bossa)へと繋いだのだが、この冒頭の流れだけで緊密なトリオ・ミュージックは客席を鮮やかに鷲掴みにしてしまった。その後のステージでは、ブラジル物(その多くで守氏はボーカルも披露された)から〈イパネマの娘〉〈コルコバード〉〈ワンノートサンバ〉に加えて、守氏曰くこれ迄の音楽人生で影響を受けた3人、即ち渡辺貞夫氏、E.ジョーンズ氏、E.レジーナ氏、と前置きした上で所縁の〈Malaika〉〈Night In Tunisia〉(Upa Neginho)等が供されたが、それらにおける二村氏の絶妙なリズム感とタッチによるバッキングは特筆すべきものがあった。
また1stステージの締めに配置したC.パーカー作(Relaxin’ at Camarillo)で見せた二村・笠原両氏のハード・ドライヴィングで推進力のある音創りもおおいに印象深いものがあった。以上、終始多彩で緊密なトリオ・ミュージックが展開された訳であるが、今宵は守氏の人望の厚さを反映してか、客席にはゆかりの表現者の御顔もみられ、ぞれぞれに一曲づつシットインされた場面を以下にご紹介しよう。
守氏とは同郷で「ZUNDA TRIO」で共に活動中の岩崎佳子氏(P)は(Take Five)から続けて郷里の宮城県民謡〈斉太郎節〉を採りあげ、守氏の変拍子の引き出しを鮮やかに引き出した。一方で守氏とは数枚の既発盤がある大橋祐子氏(P)は〈Days of Wine and Roses〉をミディアム・テンポで軽快に調理し、守氏のステディなドラミングの一面を瑞々しく際立たせた。
更にここで本稿がだいぶ長くなっていることは重々承知の上で、以下は絶対に書き残したくない内容のため、今暫くお付き合い頂きたいのであるが、
今日はステージ冒頭に守氏から「本日はリクエスト歓迎」とのコメントがあったため、それに甘えて筆者も一曲リクエストをさせて頂いた。
それは私も地球人のひとりとして、西方の地に暮らしひとときも休める時を過ごせていない未知の隣人に想いを馳せたH.マンシーニ作〈ひまわり〉である。
しかし、この哀切のメロディを紡いだ御三方の音創りは余りにも崇高に過ぎた。
それは私自身、この日この時に奏でられている音楽の中でも間違いなく第一級レベルに位置するものだと確信するものであった。
最後に、今宵のひとときは歌にドラムにとその確かなキャリアをベースとした稀代のエンターテイナー振りをみせた守新治氏の多彩な音楽性を享受するのに余りあるものであったが、それは単にドラムのテクニックだけを意味するものでは決してなく、氏の音楽に対する真摯な姿勢が我々の心を強く打ったからなのだろうということを記していつも以上にまとまりのなくなってしまった本稿を閉じたいと思う。


#229 3月25日(金)
町田・Jazz Coffee & Whisky Nica’s ニカズ
http://nicas.html.xdomain.jp/
岡淳(ts) 手島甫(b) 奥平真吾(ds)

今日のライブの現場は、町田・ニカズ。
しかし、既にそこここで桜も開花したこの時期に今年初めてとなるこの大好きなハコの訪問が実現するとは我ながら驚きであった。
それはそうとして、今宵は待望の初対面となる表現者との出会いの夜。嬉しい発見を求めて海辺の街から北に向かった。さて、これまでにも何度か触れたが、私はテナーサックスに目がない(中でも一番のアイドルは故武田和命氏である)。
今夜のバンドリーダーは岡淳氏(TS)だ。しかし、予備知識はほぼ無い。
でも、予感はあった。
それは氏が、今宵の編成にピアノレスのベース:手島甫氏(当初予定の金森もとい氏の代役)とドラムス:奥平真吾氏でのトリオ編成を選択していたからである。
私は常々、ジャズをナマで聴く場合、そこでは演者が志向するサウンドのスペース(構造)を感じることを愉しみの主眼のひとつにして来た。
だからこそフリーフォームであれ、オーソドックスであれ、スタイルに分け隔て無く各々の描く様式美を享受出来てきたのだと思っている。
バンドリーダーが自らの追求する美を刹那の中で表現しようとする場合、それが特に団体戦であれば、互いの関係性の中にどういうスペースを構築するのが最善であるかを熟慮するのは想像に難くない訳で、その結実が楽器編成にあり、その意味で今宵の編成は、S.ロリンズ、J.ヘンダーソン、更には私の贔屓のT.エドワーズ、加えて挙げるならば夭折のテナーマン小田切一巳氏等を引き合いに出すまでも無く、テナーサックスという楽器の旨味が存分に引き出される筈だと踏んで、3階迄の急な階段を登頂した訳である。
蔓防措置が開けて、少しく余裕の出来た定刻19:30に音が出た。
MJQがお好きだったという岡氏の父上との想い出をマクラにJ.ルイス作
〈Afternoon in Paris〉、と続けて〈My One and Only Love〉のコード進行を下敷きにした岡氏オリジナル〈Only One〉でスタートした今宵のステージは、その後もC.パーカー、再びJ.ルイス等の有名オリジナル曲やスタンダード曲の中に岡氏のオリジナルがバランス良く配置され進行する展開を見せるが、私が何より強く惹かれたのは、岡氏のその音色の豊かさと落ち着いたフレーズの創り方。
高音は高音らしく、低音は低音らしく、そこに性急さを持たせることなく(ここが肝要)、丁寧に音の連なりを紡ぎ練り上げて行く様はなんとも好感の持てるものであった。
そんな岡氏がいかにも気持ち良さそうに自らの描かんとするサウンドの大海原を泳いで行かれるのも手島氏と奥平氏の関係性の中から生み出される伸びやかな畝りを伴った広がりのあるスペース創りに依るところが大きいと度々痛感させられた。
言葉遊びにひっかけたテーマ部を持つ幾つかの岡氏オリジナルからは、サウンドを小難しい檻の中から解き放して自由に往かせようとする巧妙さも随所に見られ、この表現者の懐の深さを垣間見る思いがした。
極めて遅きに失した今年のニカズ初訪問であったが、今宵も佳き発見をさせて頂いた。


#230 3月31日(木)
自由が丘・Hyphen ハイフン
http://r.goope.jp/hyphen/
さがゆき(g/vo) 登敬三(ts)

今日の現場は、11/7以来2度目の訪問となった自由が丘・ハイフン。
昨年8月以降年末にかけて月一回のペースでご対面を続けながらも、
遅きに失した「明けましておめでとうございます」となったさがゆき氏(G/VO)のステージだ。日頃からDUO編成の現場も多いゆきさん。今宵もDUOで、そのお相手は登敬三氏(TS)。その名も「自由が丘DARK」。その日その場の頭文字を採るこの「####DARK」ユニットは列島の西に東に神出鬼没するものの、私にとっては待望の初対面となった。
さて、少し話を戻して登敬三氏である。
2004年以降約10年間の私の大阪単身赴任生活にあって、なかなか「腑に落ちる」テナーマンに巡り会えずに悶々としていた時、この方と出会いその音創りに触れおおいにたまげたことがついこの間のことのように脳裏をよぎる。豪放磊落な音色と含蓄に富みかつひねりのある節回し、そこから立ち上がる哀愁感に満ち溢れた世界観が今宵のステージでも確かな説得力をもって濃密に描かれていった。そうして、その剛毅な音創りと背中合わせの繊細なバイヴレーションの発露が天衣無縫でデリケートなゆきさんの音創りと強く共振して匂いたつように鮮烈な音像をゆるやかに結んでゆく展開に思わず息をのまされること度々だった。
当夜の「悲しくてやりきれない」のタイトルの下ゆきさんが自らのSNS上で事前に語ったのは、コレハ・ワタシナリノ・プロテストソング・ヲ・ウタウ・ライブ・デス
「憤りを許しに・・・罵りを有難うに・・・攻撃をハグに・・・変える魔法があったなら・・・小さな魔法、2人で奏でます」の前口上。
果たしてこのおふたりの手にかかると、下記に列挙するような耳慣れた著名な佳曲の数々がこれまで出会ったことのないような顔をして私の眼前に現れたのは驚きであった。
【以下、充実の今宵のセットリストの一部】
〈Smile〉〈春よ、来い〉(松任谷由美)〈ひまわり〉〈星の流れに〉〈Blowin’in the wind〉〈どこかで〉(中村八大)〈悲しくてやりきれない〉〈Apaz〉〈赤い花白い花〉〈Danny boy〉〈Agua e vinho〉〈Gracias ala vida〉〈死んだ男の残したものは〉〈赤とんぼ〉
以上の楽曲の連なりを、西方に在って自らの意思に反して眠る自由さへ奪われている(同じ地球人として)未だ見ぬ隣人に想いを馳せながら聴いていて….。
強い意志に満ち溢れたおふたりのハーモニーがこちら聴き人の胸を強く静かに打った。
この小さな魔法が即刻この世界の隅々にまで伝播すれは良いのにと痛感させられた圧巻のステージだった。

小野 健彦

小野健彦(Takehiko Ono) 1969年生まれ、出生直後から川崎で育つ。1992年、大阪に本社を置く某電器メーカーに就職。2012年、インドネシア・ジャカルタへ海外赴任1年後に現地にて脳梗塞を発症。後遺症による左半身片麻痺状態ながら勤務の合間にジャズ・ライヴ通いを続ける。。

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