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タガララジオ 多田雅範No. 244

タガララジオ51 track 423-432「猛暑とたたかう音楽、」

タガララジオ51

track 423-432

Niseko-Rossy Pi-Pikoe

 

猛暑とたたかう音楽、

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耳をそばだてる、空間が大切、オーディオは装置以上に響かせる空間が大きいとか、もとより音楽は「その場」で生成し届けられるもの、Spotify<CD<SACD、音の解像度が上がるから耳のフォーカス能力は贅沢になる、

この10年、即興演奏からフィールドレコーディングへと耳のアンテナがパラダイムシフトチェンジを起こしている、連日のいのちにかかわる熱波に何を聴いてやり過ごすのとアニキに訊くと、ブラジルとかインドネシアとかアフリカの音楽を鳴らしているという、

現代音楽のCDをかけてみると、パラダイムシフトチェンジを起こした耳が、

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<track 423> Toshio Hosokawa: Quintets And Solos

「響き」により重心を移した構えの耳は、響いた音の残響を追いかけるまでになっている、

もとよりそのつもりですがと細川俊夫作品は言う、でなければ笙である必然はないですものね、あいすいませんでしたとわたしは応じる、

 

細川俊夫 : 作品集 ~ ランドスケープ V | 哀悼歌 | 他

1. ランドスケープ V (Landscape V) 笙と弦楽四重奏のための
2. 哀悼歌 (threnody) ヴィオラのための
3. フラグメンテ II (fragmente II) リコーダーと弦楽四重奏のための
4. 小さな歌 (small chant) チェロのための
5. ランドスケープ II (Landscape II) ハープと弦楽四重奏のための
6. エレジー ヴィオラのための

アルディッティ四重奏団
宮田まゆみ (笙: 1)
吉野直子 (ハープ: 5)
鈴木俊哉 (リコーダー: 3)

録音
2013年9月16-17日 / SWR バーデン=バーデン・ハンス・ロスバウト・スタジオ (1,2,4&6)
2012年9月24日 東京 / 津田ホール (3&5)

鈴木俊哉のリコーダーは尺八の領域も覆って、さらに高度にこちらの耳を問いかける、

思い出した、ニセコロッシコンサートツアー14で鈴木俊哉のリコーダーをガース・ノックス(ヴィオラ)とのコンサートを聴いたのだ!、

http://musicircus.on.coocan.jp/rova_n/rova_r25.htm

67「アイヒャーは彼らのコンサートをECMで出すべきだ」と世紀の大発見のように主張したら、ガース・ノックスのほうはECMニューシリーズですでにリーダー作を出していると幹事長に指摘されたのだ、9年前、

児玉桃のECM新作では細川俊夫も取り上げられていたから、そろそろ鈴木俊哉のリーダー作が出てもいいではないか、というか、聴かせろアイヒャー、

鈴木俊哉の演奏を聴いてみるのだ、

Emanuele Casale / Studio 2a for bass recorder and tape (The 22nd Irino Prize)

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<track 424> Musique pour le lever du jour / Melaine Dalibert (elsewhere 002)  2018

そういったわたしの響きと倍音に耳をすますパラダイムシフト、を、先取るようにこの61分ワントラックのピアノ演奏は登場した、これを従来のピアノ演奏のようには聴いては見失うのである、この、ピアノの打音が何かを主張しているのではなく、倍音の残響がブレンド・コントロールされるありようがもたらす聴取の可能性が示唆されている、というものだ、

この新しいレーベルelsewhereは、ともにデヴィッド・シルヴィアンのアートワークを座間裕子がデザインしたもの、この新しさは切り絵の空間性ではないかとわたしは思う、宿るピュアネス、シルヴィアンの言う「鋼の鉄より、木の温もり」という感覚のありように示唆があるもの、相通ず、

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<track 425> 初恋 / 宇多田ヒカル   2018

「初恋」は初恋という曲じゃない、と言うと、なんなのよ!と当然突っ込まれるわけだが、コトバとコトバの重力関係の不安定さでしか保持できない、名指せないエナジーのようなもの、よく言われる彼女の歌は映像的だという指摘はここではあたらない、

TBSテレビ「音楽の日」に出演した宇多田ヒカルがうたった「初恋」、

CD買って聴いて、なんてブレスがむつかしい高度な楽曲なことだろうと思っていた、初恋の意は最初のわたしの感情の生成そのものであった父母をうたったものだ、とか、抽象的なことをこないだ言っていた気がする宇多田ヒカル(若林恵のインタビュー部分)、大ヒット曲「First Love」とはちがうとか、

あらためて、このライブ映像に鳥肌がたつ、説明できないブレイクスルーが意識の中に作動する、

歌詞、ことばとことばの連なり、イメージ、安易な理路を拒む強度、

ちいさな子どもが全速力で、母親に向かって、走る、そのことが、そのことが、そのことが、それはぼくの子どもではない、それは、ぼく、

実際の父母ではない/である、客観的に観察しうる現実(だった)の父母、を、抽象化した、存在、と、自身、イコール、?、

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<track 426> Ours / Thumbscrew Featuring Mary Halvorson, Michael Formanek And Tomas Fujiwara  2018

http://www.thumbscrew.net/

前回タガララジオ50で紹介したCode Girl、メアリーの最強クインテット、その骨格にあるのはこの3にんによる「サムスクリュー」、自作集『Ours』とカバー集『Theirs』を同時リリース、

十数年来毎年ニューヨークへ現代ジャズを定点観測している益子博之は、彼らのヴィレッジ・ヴァンガード公演週間を体験しているのだ、Code Girlクインテットがラーメン全部のせ(アキンムシリは特大チャーシューだな)だとすると、サムスクリューは麺とシナチクとスープの自在と変化球万華鏡、胸がすくプレイだ、

左から、マイケル・フォーマネク、トーマス・フジワラ、益子博之、メアリー・ハルヴァーソン、

 

次回の益子博之×多田雅範四谷音盤茶会(通称:タダマス)は、
2018年8月26日(日) 19:00 start
綜合藝術茶房 喫茶茶会記(四谷三丁目)

ゲストはヴィブラフォン奏者山田あずささん、

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番組の途中ですか、緊急ニュースです、

【 初代YOICHI HIRAI COOL JAZZ SEXTETが突如再始動】

2018年9月4日(火) 沼袋オルガンジャズ倶楽部
平井庸一(g) 橋爪亮督(ts) 増田ひろみ(as) トオイダイスケ(p,b) カイドーユタカ(b) 井谷享志(dr)

2000年から2012年頃まで活動していた、橋爪亮督(ts)、増田ひろみ(as)を擁するバンドがいきなり再スタートすることになりました。

このバンドはレニー・トリスターノ一派の曲のみをレパートリーとしていて、トリスターノ派の重鎮テッド・ブラウンとの共演盤を含む3枚のCDをリリース、横浜ジャズ・プロムナード、NHK SESSION 2010にも出演するなど、一部のクール・ジャズ・マニアの間でのみカルト的な評価がありました。

ちなみに信じてもらえないかもしれませんが、この頃はフルアコのギターをアンプ直結のフル・ピッキングで弾いていて、エフェクターなんて冗談じゃないと思っていました(笑)。

再開後はトリスターノ系のナンバーではなく、僕のオリジナル曲をレパートリーとする予定です。

かつてこのバンドを聴いたことがある方、ない方も是非ご来場ください。
今後オリジナル曲を演奏するバンドは、バイオリン入りと2サックス入りの2つを運営していくことになりそうです。

最近のリーダーライブに比べて少しジャズ寄りの内容になるかもしれません。

※最近の参考ライブ動画

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<track 427> Little Flower / Julian Erdem  Not On Label (Julian Erdem Self-released)   2017

Can Olgun – piano
Keisuke Matsuno – guitar
Thomas Morgan – bass
Julian Erdem – drums

ここでもまたトーマス・モーガンのベースの重力に、暑さを忘れる、ジャケも、

タイコ名義の4者、じつにいい、ECM系かつ点描感覚も基調、ECMサウンドとは異なる響かせかたも自主制作ならでは、

 

ギターの Keisuke Matsuno、

Unspoken – part one

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<track 428> Vientos del Pueblo / Victor Jara, Inti Illimani

ビクトル・ハラの生涯、

http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/jara.html

Victor Jara Manifiesto


ビクトル・ハラの音源に接することは稀なことだった、Spotify で「Vientos del Pueblo」を聴いてイントロにじゃがたらの「タンゴ」を連想した、

Vientos del Pueblo de Víctor Jara

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<track 429> タンゴ 12:53  / じゃがたら  from 君と踊りあかそう日の出を見るまで

タンゴ(Tango) – JAGATARA

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<track 430> 耳をふさいで、歌を聴く / 加藤典洋 (アルテスパブリッシング)  2011

 

読んでなかったのを悔やまれる、加藤典洋がJポップと真摯に向き合う、じゃがたら、フィッシュマンを聴きたくなる、小沢健二の音楽はあと15年は有効とか書いていてそのタイミングで小沢健二が復活しているのはなんとも予言的、

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<track 431> The Giuseppi Logan Quartet   1964

 

Giuseppi Logan, Milford Graves, Don Pullen, Eddie Gomez.

今ではすっかりフリージャズを聴けなくなってしまった、19かはたちの頃にこのLP中古を買って、そうはLPレコードを買えなかったもので、よく聴いていた、小金井市のアパートで学生生活をしていた、国分寺のプー横丁のお店に通った、そのうちECMファンクラブをはじめて、部屋の天井に飾ってあるニコチン汚れのジョゼッピ・ローガンに、年配のフリージャズリスナーの方々からはあれは緩いだのB級だと判定をいただいていたりして、それではといろいろとフリージャズの名盤を漁ったりもしたのだが、まあ、要はタイコのミルフォード・グレイヴスの演奏意識の大きさだったのだろう、

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<track 432> Holliger : Romancendres Für Violoncello Und Klavier  from 『Aschenmusik』 (ECM New Series 2395)  2014

7月23日、練馬区田柄、タガララジオ、観測史上初の40度超え、午後2時に田柄通りをセブンまで歩いてみる、

ここは、銀河系最大の天才であるハインツ・ホリガー作曲「ロマンセンデロス」(『灰の音楽』収録)で、

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今月の編集CDR

01 Die Reise_ 1 / Herbert Distel  (Hat ART 60001)  1988
02 Flashback / La Düsseldorf  from 『Individuellos』  1980
03 Radio Activity / AMM III  from 『It Had Been An Ordinary Enough Day In Pueblo, Colorado』 (JAPO 60031)  1980
04 Untitled 1 / Nick Hennies  from 『Lineal』  2009
05 A Case Of You (Live London 1983)  youtube / Joni Mitchell
06 Julia Dream / Pink Floyd  1968
07 ひかる東芝 TV / ダーク・ダックス  1956-1967 on air
08 For A Free Portugal / Charlie Haden, Paul Motian  from 『Closeness』  1976

多田雅範

Masanori Tada / 多田雅範 Niseko-Rossy Pi-Pikoe 1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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