和歌とジャズ #005「八雲立つ」とモーニン(Moanin’)
text by Shinobu Yamada 山田詩乃武
八雲立つ出雲八重垣妻籠に
八重垣作るその八重垣を
この和歌は神代の時代、須佐之男命が櫛名田比売と結婚した時に詠んだ最古の和歌とされる。歌意は(出雲の空にある群雲のように幾重にも塀を作って、大切な新妻が住む新居を建てたことだよ)。
何度も声に出して詠ずると、弾むような躍動感とともに新婚の嬉しい気持ちが伝ってくる。
後世に至るまで多大な影響を及ぼし蕉門俳諧においても特に尊重された歌学史上の雄編『八雲御抄』。著者は承久の戦いに敗れ、佐渡に配流された順徳天皇で在位中に稿本をまとめ、佐渡で補訂し完成したといわれる。「八雲」は転じて「和歌」を意味し「八雲立つ」は枕詞にもなっている。
「モーニン(Moanin’)」は1958年、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズによってブルーノート・レーベルから発表された「モーニン」のタイトル曲で「蕎麦屋の出前持ちも口ずさむ」というほど広く知られたファンキー・ジャズを代表する大ヒット・ナンバー。モーニン(moanin’)はmoanに由来し、意味は「うめく、唸る」。
「荒ぶる神」須佐之男命の‵やんちゃ′な一面と「モーニン」のファンキー(funky)さ、この和歌の重句とモーニンのリズムがシンクロナイズ(synchronize)する。
モーニン, アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ, 順徳天皇, 須佐之男命, 櫛名田比, 八雲御抄

