坂井周太郎『Chick Corea / Return To Forever』
『チック・コリア/リターン・トゥ・フォーエヴァー』
リターン・トゥ・フォーエヴァーの憂鬱
根津にジャズバーを開いて17年になります。
ここ10年くらいECMのレコードでターンテーブルに乗ったのは、ドン・チェリーとキースのスタンダードの最初の三枚くらいです。開店当初は、お客様のリクエストには出来る限り応えていたのですが、一番嫌なリクエストがチック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』でした。大抵、このアルバムをリクエストする方はまず当時の流行りで聴いていた方で、それほどジャズに愛情深い方でないような気がします。(完全なる偏見です) リクエストをしておきながらまず最後まで聴いていないことが多印象です。それにまして、フローラ・プリムのオカルトチックなコーラスが、このアルバムを知らない若いお客様を驚かせることがあり、レコードをかける方としてもヒヤヒヤします。故に、現在はお店に置いておりません。ピアニストの山中千尋さんに、「マスターのような人は、ニューヨークでは、ジャズ原理主義者と呼ばれるよ。」と言われる者が営業しているお店なので、ご来店の際はそこのところをご理解して下さい。でも意外とB面は嫌いではありません。
ECM1022
Chick Corea (Electric Piano)
Joe Farrell (Flutes, Soprano Saxophone)
Flora Purim (Vocals, Percussion)
Stan Clarke (Electric Bass, Double-Bass)
Airto Moreira (Drums, Percussion)
1 Return To Forever (Chick Corea) 12:06
2 Crystal Silence (Chick Corea )06:55
3 What Game Shall We Play Today (Neville Potter, Chick Corea) 04:26
4 Sometime Ago – La Fiesta (Neville Potter, Chick Corea) 23:18
Recorded February 1972, A & R Studios, New York
Produced by Manfred Eicher
坂井周太郎 さかいしゅうたろう
根津 ジャズ・バー LaCuji (ラクジ)店主