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特集『ECM: 私の1枚』

甲斐正樹『Christian Wallumrød Ensemble / The Zoo Is Far』
『クリスチャン・ヴァルムルー/ザ・ズー・イズ・ファー』

北欧の景色。木の葉の動き。
自然を探索中にふと出会うもの。
じっと眺めていたくなるような水溜りの色。

心を通り過ぎていく微細な感情を集め、混ぜ、順番を入れ替え、それをそのままパックしたような音楽。

好きなECMのアルバムというと、沢山あり難しいので、今回は、自分の価値観を変えたアルバムを選んだ。
このアルバムは、聞くたびに意識が広がっていく気がする。

神聖な質感の移り変わりと繰り返し。
でもそれは人を寄せつけないものではなく、じっと眺めたくなるような。

何回かアルバムを聴いた後にふと気づいた。
「このアルバム、そういえば、即興インプロビゼーションがほとんどない」
と。

まるで、即興演奏の多く含まれたアルバムと同じような心の感覚と体感で聴いていた。
ジャズを演奏する身として、その時の発見は色々な価値観が崩れ去り、意識が拡張されていく瞬間だった。

メンバーはChristianが昔からよく知っているメンバーで構成されている。
トランペットのArve Henriksenには、ほぼアドリブをさせず、シンプルなメロディを中心に吹いてもらっている。それは本当にArveの事、Arveの核となる良い部分をよく理解しているからできる事だと思う。


ECM 2005

Christian Wallumrød Ensemble
Christian Wallumrød (Piano, Harmonium, Toy Piano)
Arve Henriksen (Trumpet)
Gjermund Larsen (Violin, Hardanger Fiddle, Viola)
Tanja Orning (Cello)
Giovanna (Pessi Harp)
Per Oddvar Johansen (Drums, Percussion, Glockenspiel)

Recorded October 2006, Radio Studio DRS, Zürich
Produced by Manfred Eicher


甲斐正樹 かいまさき
ベーシスト。幼少期に、前衛美術グループ ”具体(Gutai)”、の山崎つる子氏に自由な芸術表現を習う。 大学入学時に、ジャズ研究会に入りコントラバスを始める。専攻では、ユング心理学、河合隼雄について学び、自己の深い場所とのつながりを考え始める。大学卒業とともに、浜村昌子氏にインプロビゼーション、を習い、多大な影響を受ける。その後、アメリカにてBerklee College of musicに奨学金を得て入学。その後、ノルウェーの首都オスロに住み、ノルウェー国立音楽学校にて学ぶ。Christian Wallumrød, Håkon Thelin,Anders Jorminからのレッスンを受け北欧の音楽を学ぶ。

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