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このディスク2017(海外編)No. 237

#03 『V.A / Asian Meeting Recordings #1』

text by Narushi Hosoda 細田成嗣

doubtmusic – dmf-170

参加ミュージシャン/アーチスト(CD登場順):
イマン・ジムボット(バンドン)、ソン X(ハノイ)、大友良英(東京)、クリシュナ・ウディアタマ(ジョグジャカルタ)、グエン・ホン・ヤン(ホー・チ・ミン)、コク・シュー・ワイ(クアラ・ルンプール)、小埜涼子(名古屋)、渡辺愛(東京)、 佐藤公哉(東京)、dj sniff(香港&東京)、石原雄治(東京)、ユエン・チーワイ(シンガポール)、石川高(東京)、JOJO広重(東京)、ヨン・ヤンセン(クアラ・ルンプール)、村里杏(大牟田)、KΣITO(東京)、七尾旅人(東京)、スキップ・スキップ・バン・バン(台北)

track listing:
1. イマン・ジムボット(Kecapi, Voice)、ソン X(Vietnamese Traditional Percussions)
2. 大友良英(Electric Guitar)、クリシュナ・ウディアタマ(Electronics)、グエン・ホン・ヤン (Electronics)
3. コク・シュー・ワイ(Voice)、小埜涼子(Saxophone)、渡辺愛(Electronics)
4. dj sniff(Turntable)、ソン X(Vietnamese Traditional Percussions)、佐藤公哉(Voice and Violin)、石原雄治(Percussions)
5. ユエン・チーワイ(Electrionics)、石川高(Sho)
6. JOJO広重(Electric Guitar)、ヨン・ヤンセン(Saxophone)、村里杏(Drums)
7. イマン・ジムボット(Kecapi, Voice, Kendang)、KΣITO(MPC pad)
8. 「同様珍貴」 七尾旅人(Voice, Guitar)、スキップ・スキップ・バン・バン(Voice, Keyboard)

録音日・場所:2017年2月24日、25日、26日、27日、3月11日、12日、13日 吉祥寺GOKサウンド
録音、ミックス、マスタリング:近藤祥昭(GOK サウンド)
プロデューサー:dj sniff、ユエン・チーワイ
オーガナイザー:ジャパン・ファウンデイション・アジア・センター&P3 アート・アンド・エンヴァイランメント
カバーデザイン:ユエン・チーワイ
ライナーノーツ:dj sniff


昨年(2016年)のアジアン・ミーティング・フェスティバルの参加メンバーを中心に行われたスタジオ・レコーディング・セッションの記録。ノイズやフリージャズから琴線に触れる歌ものまで、ここに収録された音楽の雑多さがそのまま同フェスティバルの多様性を示してもいる。演奏内容もさることながら個々のミュージシャンを辿るための入り口としても本盤がリリースされたことの意味は大きい。アジアン・ミーティングと題されているがおそらくここには「アジア」という言葉でアイデンティファイされるような一つの音楽の姿などない。だがその多様性はこうした試みでも経なければほとんど目に見えないものとして黙殺されてしまう可能性の方が高かった。それはわたしたちが暮らしている環境とそれを成り立たせてきた文化を考えてみればわかるだろう。その意味でここでの「アジア」はアイデンティティではなくごく小さな音楽がアメーバ状に広がりゆくためのハッキングする対象なのだ。だから見かけとは反対に、たとえば東アジア共同体構想が目指すところとは似て非なる「アジア」の姿がここにはある。

細田成嗣

細田成嗣 Narushi Hosoda 1989年生まれ。ライター/音楽批評。2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(カンパニー社、2021年)、主な論考に「即興音楽の新しい波──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年より「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

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