Gallery #39「MOLA パナマ・民族手芸:Jazz 曼荼羅」

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text by Takehiko Ono 小野健彦

MOLA (パナマ・民族手芸)
原画:大久保哲郎
作品名:Jazz 曼荼羅

手芸作品制作者:市川鐵子(宮崎ツヤ子モラ研究所・NHK文化センター 講師)
サイズ:40 x 65cm
制作年:2020年

私がJazzTokyoに連載をしている「Live after Live」の口絵には、連載開始以来信州松本の”即興絵師”大久保哲郎氏の「Jazz 曼荼羅」の即興絵を使わせて頂いて来た。ローテツ兄はジャズを流しながらマジックペンを走らせたというが、ジャズとは全く無縁の手芸作家の我が78歳の義母(姑)がその原画を見た瞬間インスパイアされ、激しく創作意欲を掻き立てられたのがそもそものこのお話の始まりである。義母は40年近く MOLA という手芸制作に関わっており、今では全国各地の後進達を指導する立場になっている。因みにMOLA というのは、パナマ (カリブ海・サンブラス諸島)の先住民族クナ族独自の多重アップリケで、いろいろな生地をいわゆる “縦まつり縫い” の技法で重ね縫いしていく手芸品である。ちなみに、この作品は最大4層から成り立っている。義母は自らの講師活動等の合間を縫いながら構想約1年、いよいよ今春より2ヶ月の予定で制作を開始したのだが、途中で大腿骨骨折・長期療養入院という思わぬアクシデントに見舞われ、しかし密かにお弟子さんの助けを借りながらなんとか4ヶ月での完成となった。そうして完成後も何度も手を入れ、正統派(現地と同じ手法)のMOLAとしての水準に至るまでブラッシュアップを続けた結果、私(婿さん)の ライブ原稿100回記念に間に合わせてくれたのだった。

TVの「開運!なんでも鑑定団」であれば、このような作品説明や入手経緯を披露した後に、本人評価フプライスの表示という流れになる。しかし、極めて手前味噌で恐縮だが、退院後、エレベーター無しの5階建ての自宅には到底戻れず、我が家に同居しながら、上記の最終完成作業に没頭している義母の姿を見ると、婿さんとしてはとても金額換算など出来るわけはないことは言うまでもない。

まさかのライブ原稿100回記念品として今後も折りに触れ、取り出してはニヤ付きながら見続けて行くだろう極私的な逸品と言える。

因みに、この義母、名前の漢字 ‘鐵’は、‘鉄’であり、サインはFe (鉄の元素記号)を用いる。なかなかの洒落者である。(余談)

小野 健彦

小野 健彦

小野健彦(Takehiko Ono) 1969年生まれ、出生直後から川崎で育つ。1992年、大阪に本社を置く某電器メーカーに就職。2012年、インドネシア・ジャカルタへ海外赴任1年後に現地にて脳梗塞を発症。後遺症による左半身片麻痺状態ながら勤務の合間にジャズ・ライヴ通いを続ける。。

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