ツアー直前緊急 INTERVIEW #185 Drummer 福盛進也

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photo (above) : Michael Bundscherer

photo: Woong Chul An

 

福盛進也 Shinya Fukumori
Drummer, composer, band-leader

1984年、大阪生まれ。ヴァイオリン、ピアノ、ギターを経て15歳の時にドラムに転向。17歳で渡米、 Brookhaven College、the University of Texas を経てボストンの Berklee Collegeで音楽の専門教育を受ける。アメリカで経験した伝統的なジャズに飽き足らず、突如、ECMに目覚める。ECMのオーナー/プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの知己を得るためミュンヘンに移住。2018年、アイヒャーのプロデュースにより『For 2 Akis』(ECM2574) でデビュー。

Interviewed by Kenny Inaoka 稲岡邦彌 via emails, June 01, 2019

♪  海外移住後、初の長期日本滞在でツアーをこなしていく

JazzTokyo:今回のツアーは6月8日から始まって8月6日まで約2ヶ月間、共演相手がいろいろ変わり、福盛さんのドラミングが多面的に楽しめそうですね。

福盛:どうもありがとうございます。じつはまだ公表されていないものもあり、実際は8月の中旬以降まで続きそうです。17歳から20年近く海外で住んでいますが、(2011〜12年のヨーロッパ移住の準備期間を除き)こんなにも長い間日本に滞在したことがないのでとても楽しみです。素晴らしいミュージシャンとばかりの共演で、どのような化学反応が生まれるかワクワクしています。

JT:メインは6月14日の丸の内コットン・クラブの「ECM Artist in concert Vol.6」ですね。去年のツアーではECMのレコーディング・メンバーのMatthieu Bordenave (sax) が来日しました。今回はやはりECMアーチストのTrygve Seimに代わっていますが、これはECM50周年のシリーズ企画だからということでしょうか?

福盛:50周年企画とはまったく関係ありません。というか、あまり自分の音楽にイベント事を持ち込みたくない、と思っております。
今回、レコーディング・メンバーのMatthieuが入らなかったのは、彼はすでに僕のトリオから外れているからです。これまでの彼の演奏にはたくさんの感謝と敬意を感じています。素晴らしい時間をたくさん過ごせたし、協力し合えた部分も数え切れないほどありました。しかし、その一方でこれから先の自分の音楽を創っていく中で、彼の向かっている方向性に限界を感じてしまいました。今まで培ってきた音楽面での信頼に揺らぎが出始め、長い時間考えた結果、これ以上一緒に演奏することはできないという判断で彼にはトリオを去ってもらいました。

JT:トリグヴェ・サイムはオスロ出身でECMでもおなじみですが、福盛さんは彼との共演歴は?

福盛:トリグヴェとの共演は今回が初めてとなります。10年以上も前、まだアメリカに住んでいる時に彼の音楽に出逢い、いつか一緒に演奏したいとずっと思っていました。Matthieuが自分のトリオから外れ、新たなサックス奏者を試したいなと思いながらWalter (Lang, pf) と相談していました。TrygveとはECMを通してすでに面識があったし、Walterとの共演歴もあったので、音楽的にも彼が最適ではないか、と二人の意見は一致し彼に連絡しました。「是非一緒にやりたい」と返事をくれ、そこから今回の共演に繋がりました。

JT:サイムとピアノのウォルター・ラングとのトリオはコットン・クラブ一夜だけの予定ですか?

福盛:残念ながら今回の日本での公演はコットン・クラブのみとなります。本当はもう少し周りたかったのですが、コットンが決まったのが結構ギリギリでうまく組み合わせることができませんでした (苦笑)。ただ、とても特別な夜になると思いますので、たくさんの人にぜひ聴いていただきたいですね。その前にミュンヘン、ソウルでの演奏もあるので、東京での演奏はとくに一体感が生まれているはずだと思います。

JT:その後、オレンジ・ペコーのギタリスト藤本一馬とも何度か共演が組まれていますね。彼とはどういう付き合いですか?

福盛:一馬さんとは昨年末に知り合いました。僕と同じく大阪出身の素晴らしいクラリネット奏者の鈴木孝紀さんとの双頭で「Monochrome」というグループを企画しているのですが、昨年末にそのグループで演奏した際に一馬さんが観に来てくれました。それから仲良くなり音楽的な面でも一致するところがたくさんあり、ぜひ一緒にやりましょう、ということで前回の来日時に共演させていただきました。もちろん、その時の演奏も素晴らしく、今後もずっと一緒に演奏させていただきたいと思っていました。そして今回の来日のタイミングでまた色々と異なる形で何度か共演させていただくこととなりました。一馬さんも関西出身で、僕にとっては頼れるアニキっていう印象です。長く一緒に音楽を創っていきたいな、と思わせてくれる人柄と音柄だと感じています。

JT:それから、田中鮎美、林正樹、栗林すみれ、坂田尚子と4人のピアニストとのスケジュールが組まれています。田中鮎美はオスロ在住で、Thomas StrønenのTime Is A Blind GuideでECM録音に参加、来日ツアーにも同行して来ました。彼女とも共演歴があるのですか?

福盛:4人だけではなく僕の大好きな佐藤浩一くんも忘れてはなりませんね。
鮎美ちゃんとは数年来の仲です。6年ほど前にオスロに行った時にMonochrome のベーシスト甲斐正樹を通して知り合い、最近またオスロに行くことがあったり、同じイベントに参加したりとよく話すようになりました。彼女の素晴らしさは以前から知っていましたし、たまたま彼女も日本にいるタイミングが同じだったので、これは一緒にやるしかないな、と思い動いてみました。今回が初共演ですが、彼女の演奏には自分の思う音楽的な美学がとても感じられ、きっと期待以上の素晴らしい音楽になるだろうと思います。

JT:他の4人のピアニストとも共演歴があれば簡単に紹介願います。坂田尚子さんはスウェーデン在住ですね。

福盛:尚子ちゃんとは今年の4月に共演しています。スウェーデン在住のベーシスト、Thomas Markussonとヨーテボリでライブをすることとなり、その時にピアノで尚子ちゃんが参加しました。彼女の音楽からはすごいエネルギーが感じられ、ぜひ、間に誰もいないデュオをやってみたいなと思いました。彼女も長い間日本を離れていたし、今回良いきっかけになるかなと思いデュオでツアーをすることになりました。

林さんとは今回が初めてとなります。一馬さんのFlow Trioでの演奏も知っていましたし、それ以外に色んな人から林さんの素晴らしさを聞いていました。恐縮ですが、林さんからオファーをいただき、デュオ・ライブをやらせていただく運びとなりました。また一馬さんとのカルテットでも演奏させていただくので、そちらもとても楽しみです。

すみれちゃんはWalterを通して知り合いました。今年の3月と4月にすみれちゃんがドイツに来るのでWalterとすみれちゃん、そして僕との3人で演奏しないか、という話が持ち上がりました。鍵盤二人+ドラムというかなり異質の音楽でしたが、その結果すみれちゃんとWalterの素晴らしさが全面に押し出され、とても楽しいコンサートができました。今回はラージ・アンサンブルということで、どういうアレンジでの演奏になるのか、期待大です。

そして佐藤浩一くん。僕は浩一くんを心の底から信頼しており、僕の中では最愛のピアニストです。浩一くんの素晴らしさは言葉にするとバカらしくなるので説明できないのですが、彼に出逢えたことはかけがえのないギフトです。ギタリストの伊藤ゴローさんと3人で演奏させてもらったところから始まり、その3人でのユニットがデビューすることとなり、そして浩一くんとのデュオ・プロジェクトも行なったり、この先幾度となく同じ場所で同じ感覚で演奏できればいいなと思える最高のピアニストです。

JT:7月30日の大阪いんたーぷれい8は、福盛さんの本拠地だっただけに大いに盛り上がるでしょうね。

福盛:「いんたーぷれい8 」(はち) は僕にとっては特別な場所です。僕の音楽歴を語る上で絶対に外せない場所です。今回ピアノとのデュオという形で演奏させてもらうのですが、過去に「はち」のマスターともデュオで何度かやらせていただいたこともあり、「はち」でのデュオは特別な思いがあります。ピュアな音楽をそのまま生で出すことができる、とても貴重なハコだと思っています。

JT:ツアー初日の 「橋爪亮督グループ」は新宿ピットインの昼の部ですからファンは要注意ですね。橋爪さんとは?

福盛:橋爪さんとは昨年の自分のトリオの日本ツアーの時に出逢いました。ツアーの最終日、4バンドほど演奏するイベントがありまして、そのうちのひとつで橋爪さんが演奏していました。そして前回の来日時に声をかけてもらい、同じくピットインで彼のグループの一員として演奏をさせていただきました。彼の音楽は自分の音楽と近いところにあると思っていて、その音楽を理解することは非常に容易かったし、それを音に反映させるのもとても心地よかったです。これからまたどう変化していくか見ものだなと思います。

JT:栗林すみれさんのグループは多国籍編成のようで、これも興味津々ですね。

福盛:全員を知っているわけではないのですが、すみれちゃんが招集するミュージシャンなのできっとみんな素晴らしいに違いないでしょうね。楽曲だけでなくアレンジメントも楽しめる一夜になるのではないかと思います。

JT:急遽、大阪の「いんたーぷれい8」の開店60周年記念で山下洋輔さんとのデュオが決まったようですが。

福盛:洋輔さんとはもちろん「はち」を通して面識があります。僕が現「はち」のマスターとスタッフのあきさんにとてもお世話になったように、洋輔さんも若い頃当時の「はち」ママにお世話になったそうです。60周年ということで、その二つの「はち」の時代を代表するミュージシャンとして共演させていただくことになりました。洋輔さんとは以前「はち」の周年イベントのジャム・セッションで一緒に演奏させてもらったことはありますが、こうやってちゃんと一緒に二人だけで音を出させてもらうのは初めてです。「はち」に通い始めてからずっと憧れていたピアニストと特別な場所で共演できることに幸せを感じます。二人とも「はち」に由来のある曲があるので、その曲を演奏する予定です。
ツアーの詳細は;https://jazztokyo.org/news/post-40420/

♪  リーダーとしてのECMデビューは菊地雅章に次ぐ快挙

JT:福盛さんのリーダーとしてのECMデビューはベテラン・ピアニスト菊地雅章に継ぐ快挙として日本では受け止められていますが、ECMにはいつ頃から的を絞ったのですか? そして、その理由は?

福盛:ECMを知ったのはアメリカ時代ですね。大学のビッグバンドの楽譜に「ECM」と書かれており、そのスタイルで演奏しろ、という意味でした。すなわち、ECMを代表とする、スウィングしないストレート8thsの演奏という意味合いでした。そういうのがなんとなく頭に残り、その後バークリーに入学して間もない頃、ECMの音楽の素晴らしさに気付き、そこからいつかECMからアルバムをリリースしたいと思うようになりました。

JT:バークリー音大の「ECMアンサンブル」を専攻されたようですが、このコースの特徴と内容について。

福盛:専攻というか、ただのひとつの授業なのでそれを修得していたということですね。ほんとうにひたすらECMの楽曲を演奏するという授業で、当時はKenny WheelerやDave Hollandなどの曲をやりました。そのほかに「Pat Methenyアンサンブル」や「Oregonアンサンブル」とかも取ってましたよ。

JT:その後、NYのECMイベントでプロデューサーのマンフレート・アイヒャーにコンタクトし、ミュンヘンへの移住を決意したと聞きました。

福盛:これは全然違いますね。NYにはまったく興味が無かったし、マンフレートと最初にコンタクトを取ったのはミュンヘンに移住してからのことです。

JT:オスロのレインボウ・スタジオでデモ録音したのはECMでの録音が決まる前ですか? その時のメンバーは?

福盛:デモ録音はもちろんECMが決まる前です。そのデモ録音をどうにかしてマンフレートに渡せたらな、と思って録音しにいったわけです。メンバーはECMの録音と同じトリオです。

JT:菊地雅章の場合は、僕が彼のソロ・ピアノ演奏を収めたDATをミュンヘンのマンフレートに届け、それから菊地さんとマンフレートとの間で何度もやり取りがあり、結局NYでトリオでの録音が決まったのですが、実現まで何年もかかりました。福盛さんの場合は、最初のコンタクトから録音までどれくらいかかりましたか?

福盛:初めてマンフレートとオフィスで話したのが2015年の11月と記憶しています。その後、実際に録音したのが2017年の3月なので1年強となりますね。単純にマンフレートが忙しすぎて、なかなか連絡が取れないことから結構時間を要するんだと思います (笑)。

JT:スタジオがハウスのレインボウではなく、フランスのLa Buissonne(ステュディオ・ラ・ビサン), Pernes-les-Fontaines (ペルヌ=レ=フォンテーヌ)ですが、ここはずいぶん郊外のようですね。どんなスタジオですか?

)福盛:レインボー・スタジオは何年も前からすでにハウス・スタジオではなくなっています。現在は僕が録音した La Buissonne か Lugano のどちらかが多いですね。

JT:現在、『ECM catalog』の増補改訂版を編集中ですが、たしかに近年の録音はフランスの La Buissonne か スイスのLugano が多いですね。たまにオスロのレインボウもありますが。

福盛:La Buissonne は南フランスの田舎にあります。周りには何もないとても小さな街ですね。スタジオ内は天井が高く、中は結構暗い印象でした。ピアノの響きが素晴らしく、特に低音がよく鳴るイメージです。

JT:エンジニアの Gérard de Haro(ジェラール・デ・アロ)は、最近ECMの録音を数多く手がけていますが、どんな印象ですか?

福盛:Gétard はめちゃくちゃナイスガイです。とても優しく人当たりもいい、そしてエンジニア力がずば抜けて素晴らしい、マイナスな要素がひとつもない人ですね。音楽を非常に細かく理解しており、その瞬間に何が必要かすぐに察知する能力を持っている最高のエンジニアだと思います。

JT:収録曲には日本の楽曲が何曲か入っていますが、日本通のウォルター・ラングの意見も反映されているのですか?

福盛:日本の楽曲に関してWalterに意見を求めたことはありません。というのも、このトリオは自分のやりたい曲をやるグループなので、メンバーのオリジナルを求めることはあっても、何の曲を演奏するかは全部自分で決めているからです。

JT:福盛さんは、日本の楽曲のどこにいちばん魅力を感じていますか?

福盛:シンプルの中に秘められた美しさですね。メロディーもハーモニーもすべてシンプルに進んでいく中で、行間を読むように現れる美しさにとても魅力を感じます。独特の哀愁を持った楽曲がとくに好きで、フォークルやチューリップといったグループの音楽に心奪われます。

JT:マンフレートはもともとベーシストでECMにはベース・ソロの素晴らしいアルバムも多いのですが、福盛さんのベースレスのトリオについてマンフレートから何か意見がありましたか?

福盛:とくに何もありませんでした。あえて言うなら「ベーシストは基本的にいらないよね」と初めて会った時に言っていたことが印象的でしたね (笑)。

JT:それは、彼一流のシニカルな表現にも聞こえますが...。日本の楽曲の場合、マンフレートはディレクションが容易ではないと思いますが、編曲などについてアイディアを出してきましたか?

福盛:それは日本の楽曲だろうがなんだろうが関係ないと思います。マンフレートはその曲がどこの曲だとか、ということよりも、その曲のクオリティーを如何にあげるかというところに関心があるのだと思います。もちろんその結果、編曲などについてたくさんアイディアを出しますし、一緒に話しながら何がベストか考えてくれました。とても勉強になる貴重な時間でしたね。

JT:一時、ECM発のYouTubeに<悲しくてやりきれない>が上がっていましたが、この曲も録音したのですか?

福盛:これも間違った情報ですね。<悲しくてやりきれない> はデモ録音はしましたが、ECMでの録音ではやりませんでした。YouTubeに上がっていたのは、僕個人がデモ録音時の模様をアップしたやつですね。ただこの曲はしばらくトリオのレパートリーにありましたし、僕はフォークル(注:フォーク・クルセーダーズ)が大好きです (笑)。

JT:日本の楽曲の採用やタイトルの「For 2 Akis」など、福盛さんの意向が相当反映されていますが、福盛さんの意見を通すに当たってマンフレートとの衝突はありませんでしたか?

福盛:衝突はほとんどありませんでした。もちろん全部をディレクションするマンフレートに対して消化しきれない部分とかもありましたが、すべては音楽のためでしたし、僕の意見もたくさん取り入れてくれたことも感謝しています。日本の楽曲やタイトルも素直に受け入れてくれました。

JT:今、振り返ってみて思い通りの演奏ができたと思いますか?

福盛:思い通りの演奏ができるかどうかは録音だけでなくライヴ演奏でも考えたことは一切ありません。ただひとつだけ心がけていることは、その瞬間のベストの演奏をするだけであり、それに対して僕は一度たりとも裏切ったことはないと思っています。

JT:ECMで録音することを夢見ているミュージシャンは多いと思いますが、ECMからリーダー・アルバムをリリースした後、周囲の評価はどうですか?

福盛:コロッと変わりましたね (笑)。大阪で昔演奏していた時は2、3人のお客さんしかいなかったこととかよくあったのに、昨年のツアーでの大阪公演は300人以上来ましたから(笑)。その頃から演奏は何も変わってないのに、不思議なものですね。ミュンヘンに来た当初、「ECMからアルバム・リリースするためにやって来た」と言っても皆に馬鹿にされたり、誰も真剣に聞いてくれなかった、とても辛い時間が長かったです。でも信じてやれば叶うこともあるんだと、自分は間違ってなかった、と胸を張って言えますね。

JT:次のレコーディングの予定は決まりましたか? 同じ編成で行きますか?

福盛:次のレコーディングはまだ決まっていないというか、自分の中での構想はあるのですがまだ実現に至っていないという感じですね。マンフレートが結構長い間体調を崩して離脱していたので、なかなか進められていなかったのですが、最近戻ってきたのでこれから進めていくつもりです。

♪  Deep Purpleのイアン・ペイスや X Japanの Yoshikiに憧れていた

JT:音楽好きの家庭でしたか?

福盛:もともと父が大学の頃にドラムをやっていたこともあり、家では絶えず音楽が流れていました。僕が音楽に興味を持ち始めたのも間違いなく父の影響ですね。

JT:音楽に興味を持ち出したのは何歳の頃にどんな音楽でしたか?

福盛:興味を持ち始めたというか、6歳の頃に父と一緒にバイオリンを始めたのが最初に音楽に触れた出来事ですかね。その後ピアノをやったりギターもやったりしましたが、やはり一番影響を受けたのは父がよく聴いてた Deep Purple の『Live In Japan』でした。

JT:ジャズに興味を持ち出したのは何歳の頃にどんなジャズでしたか?

福盛:初めてジャズを目の当たりにしたのは16歳の冬です。兄がLAに留学していて、冬休みを使って会いに行きました。その時に、到着した日にジャズクラブに連れて行かれ、「これは観といた方がいい!」と言われ Chick Corea New Trio のライブを観させてもらいました。その時の演奏がめちゃめちゃ格好良くて、そこから少しずつジャズにのめり込んでいきました。

JT:その時のチックのトリオのメンバーは誰でしたか?

福盛:New Trio は Chick Corea、Avishai Cohen (b)、Jeff Ballard (ds) のトリオでした。ゲストで Gayle Moran (vo) も入って <500 Miles High> を演奏していて最高でした。

JT:ドラムを選んだのは何歳の頃、どんな理由でしたか?

福盛:ドラムを始めたのは15歳、高校一年の時ですね。もちろんDeep Purpleのドラマー、Ian Paiceに憧れて。また同時にX Japanも大好きでYoshikiにも憧れていました。父が昔ドラマーだったということもあって、それも大きく影響しているんだと思います。始める前から自分は絶対にドラマーで成功するって決めてたほどですから (笑)。

JT:好きなドラマーとアルバム教えてください。

福盛:Vinnie Colaiutaですね。テクニックが凄いと言われがちですが、彼ほど繊細なプレイをする人はいないです。僕が好きなのはKarizmaというグループの『(Forever In The) Arms Of Love』ですね。Carlos Vegaとツインドラムで叩いてる<Toast For Eli>というトラックがあるのですが、これの Vinnieの空間の使い方は最高です。
他には、好きになった時系列で言うと、Ian Paice『Live In Japan』(Deep Purple)、Elvin Jones『Love Supreme』(John Coltrane)、Jon Christensen『The Sea』(Ketil Bjørnstad)ですね。この3枚は擦り切れるほど聴きました。

JT:ECMのアルバムを聴きだしたのはいつ頃、どのアルバムでしたか?

福盛:バークリーに入学した当初、2008年の秋頃ですね。先程挙げたKetil Bjørnstadの『The Sea』、Eberhard Weberの『Silent Feet』、Keith Jarettの『My Song』、John Abercrombieの『Timeless』、Manu Katcheの『Playground』ですね。どれも本当に素晴らしいアルバムで、やはり音のクオリティーが素晴らしいです。

JT:最後に、現在の夢を聞かせてください。

福盛:夢というか、実現したいなと思っていることがありまして。やはり日本は島国で、なかなか他の国との交流が持てないことが多いと感じます。なので、少しずつですが、それを変えるきっかけを作れるようになってきたので、日本の素晴らしいミュージシャンを海外に、そして海外のミュージシャンを日本に、もっともっと広められるように、そして互いに交流を持てるような架け橋的な役割を担えたらと思います。

稲岡邦彌

稲岡邦彌

稲岡邦弥 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。Jazz Tokyo編集長。 https://www.facebook.com/kenny.inaoka?fref=ts

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