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このディスク2016(国内編)No. 225

この1枚 2016(国内編)#03 『藤井郷子 / インビジブル・ハンド』

Cortez CSJ0001/0002

藤井郷子(p-solo)

Disc 1:
1. Thought
2. Increase
3. Invisible Hand
4. Floating
5. Hayase

Disc 2:
1. I Know You Don’t Know
2. Spring Storm
3. Inori
4. Green Cab
5. Gen Himmel

2016年4月 水戸Cortezでライヴ録音

藤井のピアノに惚れ込んだ水戸のジャズクラブ「Cortez」のオーナーが、藤井に自分の店で弾かせるためにグランドピアノを入れ、多くの人に聴かせるために録音し、レーベルをオープンし、CDをリリースした。さらに、今後も藤井のアーティスト活動を支援していくという。かつてのパトロンのような存在だが、動機は極めて純粋だ。2枚組の1枚目はインプロで、2枚目は自作曲。

藤井は、ボストンのニューイングランド音楽院でポール・無礼の教えを受け(と言ってもピアノではなく、ブレイ哲学とでもいうべき音楽道。卒業を前にブレイとデュオ・アルバムを録音し、帰国後間もなくブレイを呼び寄せブレイのソロと自身とのデュオ・コンサートを各地で開き、師の恩に報いた。

その後は、夫君のトランペッター田村夏樹と夫唱婦随で東京とベルリンを拠点に世界を股にかけ活動を展開しているのは、よく知られている通り。一度にCDを3枚出すことも一度ならず。この多作ぶりもブレイの教えに従っているのだという。

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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