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このパフォーマンス2018(海外編)No. 249

#01 Schlippenbach Trio+Aki Takase『Winterreise in Japan』@座・高円寺

2018年11月23日(金)@東京・座・高円寺
Text by 伏谷佳代 Kayo Fushiya
Photos by 齊藤聡 Akira Saito

<出演>
Schlippenbach Trio;
Alexander von Schlippenbach(p)
Evan Parker (sax)
Paul Lytton (Drums)

Aki Takase (p)


言わずと知れたドイツ・ジャズ界の重鎮、傘寿を超えたシュリッペンバッハがトリオを率いて来日、その初日。
ドイツはもちろんヨーロッパのミュージシャンの音楽を聴いていていつも身に染みるのが、表現をするうえで土台とする技巧、「楽器を使いこなす」という側面における習熟度の高さだ(ピアノを例にとれば、第一線のジャズ・ピアニストはたとえクラシック畑に転向したとしても遜色なく「弾ける」と思わせるものがある)。第一部の夫婦デュオも阿吽の呼吸をみせていたが、第二部のトリオはさすがの貫禄。現在でも攻撃的な「フリー」は数あれど、彼らの打ち立てた次元はなかなか塗り替えられない。過激さの呪縛を超越した、芳醇と円熟による凄みの境地。シュリッペンバッハのピアノの音色は決して野太くはないが、その一音一音は峻厳で、独特の高貴な遊戯感がある。シンプルになればなるほど味わいが増す。一朝一夕では決して到達できない、レジェンドたるピアノである。


Alexander von Schlippenbach©Akira Saito

伏谷佳代

伏谷佳代 (Kayo Fushiya) 1975年仙台市出身。早稲田大学教育学部卒業。欧州に長期居住し(ポルトガル・ドイツ・イタリア)各地の音楽シーンに親しむ。欧州ジャズとクラシックを中心にジャンルを超えて新譜・コンサート/ライヴ評(月刊誌/Web媒体)、演奏会プログラムやライナーノーツの執筆・翻訳など多数。ギャラリスト。拠点は東京都。

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