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このディスク2018(海外編)No. 249

#01 『Fuji Yuki – Michel Henritzi – Harutaka Mochizuki / Shiroi Kao(白い顔)』

text by  剛田武  Takeshi Goda

An’archives CD: [An’15]

 

ふじゆき Fuji Yuki – vo on 2 & 3

望月治孝 Harutaka Mochizuki – as on 1 & 4

ミッシェル・アンリッツィ Michel Henritzi – lapsteel on 1,2,3 & 4, g on 2, perc on 2 & banjo on 3

 

1 Naki Tsuma No Kushi
2 Ano Koe Anata Datta No
3 We Turn In The Night Endless
4 Tsuki No Kage

 

地下音楽のネオジャポニズム

フランスのAn’archivesレーベルの「Free Wind Mood / 自由な風のように」シリーズの新作。フランスの前衛ギタリスト、ミッシェル・アンリッツィと、大阪のアンビエントデュオSarryの女性ヴォーカリスト、ふじゆき、静岡の即興サックス奏者、望月治孝のトリオ作品。トリオと言っても、一堂に会してレコーディングされた訳ではなく、日本側がそれぞれレコーディングした素材をアンリッツィがオーバーダブしエディットする形で制作された。

ふじゆきの呪術的なヴォーカル、望月のセンチメンタルなアルトサックス、そのどちらも日本の心の奥底にある「怨」を曝け出す演奏だが、アンリッツィが西洋的な「愁」を加えることにより、大陸から見たAnother Side of Japanの幽玄な世界が生まれている。装丁も含め和テイストが溢れる作風は、現代版ジャポニズムであり、現代日本地下音楽のエキスをヨーロッパ視点で捉えたものである。

リリース元のレーベルAn’archivesは、本年レビューで取り上げた2作品をはじめ、日本の地下音楽の個性派アーティストの音源を積極的にリリースしている。最新作はヒグチケイコ(vo, key)とSachiko(vo. electronics etc.)の女性デュオ、Albedo Fantasticaの1stアルバム。ロックから即興まで、今は亡きPSF Recordsの意志を引き継ぐかの如きAn’archivesのリリースにはこれからも注目していきたい。(2018年12月14日記 剛田武)

 

An’archives 公式サイト

#1513 『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』

#1533 『Harutaka Mochizuki, Makoto Kawashima / Free Wind Mood』

 

 

剛田武

剛田 武 Takeshi Goda 1962年千葉県船橋市生まれ。東京大学文学部卒。サラリーマンの傍ら「地下ブロガー」として活動する。著書『地下音楽への招待』(ロフトブックス)。ブログ「A Challenge To Fate」、DJイベント「盤魔殿」主宰、即興アンビエントユニット「MOGRE MOGRU」&フリージャズバンド「Cannonball Explosion Ensemble」メンバー。

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