#08 『TRISPACE / The Circle』
text by Ring Okazaki 岡崎 凛
『TRISPACE / The Circle』(AGATE 2018)
林祐市(p)
大村守弘 (b)
山下佳孝 (ds)
ピアニスト林祐市を中心に2008年に結成され、名古屋を拠点に東京、大阪など各地でライヴ活動をしてきたTRISPACEの4枚目のアルバム。前作の『Night Fall』に続き、日本のトリオでありながら、ヨーロッパのジャズ・ピアノトリオを聴くように楽しめる作品である…と説明しても、たぶん間違いではないのだが、本作はさらなる発展を遂げたと断言できる。
梅田アクトスリービルのJazz On Top というライヴハウスに出演する彼らを2回聴きに行ったが、トリオの3人は全員が世界のジャズの流れを敏感に追うタイプだと感じる。初期はE.S.T.の影響を大きく受けた作風だったが、それが何段階も変化していったように思う。現在の彼らは、ヨーロッパ・ジャズの流れは受けながらも、どんどん新しい要素を加えて独自のスタイルを確立しつつある。彼らの志の大きさはずっと感じていたが、実に丁寧にステップを積み上げるトリオで、音響面でも最大限の工夫を心がけていると感じる。
心地よい風に吹かれるような爽快感と、聴き応えのある楽曲を心から楽しませてくれる、名古屋発のピアノトリオTRISPACE(トライスペース)に、今後も期待したい。
TRISPACE(トライスペース)の情報はこちら:
http://yuichihayashi.com/band/