#11『Tyshawn Sorey / Pillas』
text by Masanori Tada 多田雅範
Firehouse 12 Records
ピラーズとアルペジオと初恋が師走の夜空に浮かんでいる、そんな気分でいる、
昨年のJazz Tokyo年間ベストはダヴィヴィレージェスとコミタス作品集をさておいて、トッド・ニューフェルド『Mu’u』を掲げていた、今年掲げるタイション・ソーリーの『Pillas』はそのトッド・ニューフェルドも参加している同じく新たに拓かれた地平にある創造だ、
菊地雅章のスタジオで化けたミュージシャン、トーマス・モーガン、トッド・ニューフェルド、タイション・ソーリー、たちが、放つ光、
Stephen Haynes: trumpet, flugelhorn, cornet, alto horn, small percussion
Ben Gerstein: trombone, melodica
Todd Neufeld: electric and acoustic guitar
Joe Morris: electric guitar, double bass
Carl Testa: double bass, electronics
Mark Helias: double bass
Zach Rowden: double bass
Tyshawn Sorey: conductor, drum set, dungchen, percussion, trombone
『Pillas』は3CD+2LP、それぞれフルに1トラックというスペックの体験、総体で、これはもう再生環境までをも問題にしている(要求している)代物だ、
古き良きジャズのパラダイムに住み続けることはできない、それはとても寂しいとも思う、できれば今年はECMウォルフガング・ムートシュピール『Where The River Goes』(アキンムシーレ、メルドー、グレナディア、ハーランドという五つ星奏者による傑作)をすんなり掲げるECMファンクラブ元会長でありたかった、
年4回現代ジャズを聴き合うイベントをする益子博之は、今年ついに海外の批評サイトEl Intrusoから投票を依頼された、彼はどんな投票をしたのだろう、
わたしはピラーズとアルペジオと初恋を、タイションと小沢健二と宇多田ヒカルを並べてしまうタイプの聴き手だからな、30年以上前エグベルト・ジスモンチの初めての来日ピアノソロ公演を聴きに長野県松本へ向かうバスの中でアルマ(EMI盤)と解体的交感(高柳と阿部薫)のテープを並べて「この美しさは等価だ」と唸っていたオレなんだから仕方ない、オレはオレの聴取にしか関心は無い、
ボーっと生きてんじゃねー、オレのことだろう、
菊地雅章、トッド・ニューフェルド、トーマス・モーガン、タイション・ソーリー