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R.I.P. 齋藤徹No. 254

齋藤徹さんのベース・サウンド

text by Kimio Oikawa 及川公生

 

アコースティック・ベース。私はありきたりのマイキングで準備を整えた。あとは音を聴いて、調整すれば、いいと構えた。齋藤さん。サウンド・チェックを始めた。ぶっ飛びました。今まで聴いたことのない爆裂サウンド。歪みっぱなし。
まさか、こんな音なんですかとは聞けない。周辺の楽器にかぶるのは当然。視覚を邪魔しない程度の、パーティションを引っ張り出した。こんなことで治るわけがない。しかし、私、ミックスしていて、他の楽器をぶっ壊していない不思議を感じた。それだけが今、記憶に残っている。
訃報を知って、思わず、あの日の自分の慌てようを思い出した。

及川公生

及川公生 Kimio Oikawa 1936年福岡県生まれ。FM東海(現 東京FM)技術部を経て独立。大阪万国博・鉄鋼館の音響技術や世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。1976年以降ジャズ録音に専念し現在に至る。2003年度日本音響家協会賞受賞。東京芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師を経て、現在、音響芸術専門学校非常勤講師。AES会員。

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