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このディスク2019(海外編)No. 261

#02『Miles Davis/Rubberband』

text by Hiro Honshuku ヒロ・ホンシュク

Rhino/Warner

  • Miles Davis – trumpet, keyboards, synthesizers, bandleader
  • Randy Hall – on “I Love What We Make Together”, production on 1985 sessions
  • Lalah Hathaway – vocals on “So Emotional”
  • Adam Holzman – keyboards on “This Is It”, “Give It Up”, “Carnival Time”, “See I See”, “Echoes In Time / The Wrinkle”, “Rubberband”
  • Ledisi – vocals on “Rubberband of Life”
  • Michael Paulo – tenor, alto, flute
  • Mike Stern – lead guitar on “Rubberband
  • and many more
  1. “Rubberband of Life” – 5:43
  2. “This Is It” – 4:36
  3. “Paradise” – 6:10
  4. “So Emotional” – 5:18
  5. “Give It Up” – 6:28
  6. “Maze” – 4:11
  7. “Carnival Time” – 4:24
  8. “I Love What We Make Together” – 5:05
  9. “See I See” – 4:19
  10. “Echoes in Time”/”The Wrinkle” – 9:25
  11. “Rubberband” – 6:10

Released: September 6, 2019
Recorded: 1985
Studio: Ameraycan Studios, Utopia Studios (new recordings), The Village (Ledisi Lalah Hathaway, Isaiah Sharkey, and Vince Wilburn, Jr.), Dot’s Way Recorders (Munyungo Jackson and Vince Wilburn, Jr.)
Length: 63:11
Producer: Zane Giles, Randy Hall, Vince Wilburn, Jr.

 

今年はマイルスのお蔵入りプロダクション、『Rubberband』が2回に分けてリリースされた。まず4月にEPとしてタイトル曲の<Rubberband>が5つの違ったバージョンで出た。このアイデアがまず斬新だと感じた。同じ曲だと言うのに5トラック思いっきり楽しませて頂いた。期待が昂まったところで9月にアルバム全体がリリース。EP、フルアルバム、両方とも筆者の楽曲解説で取り上げたので是非お読み頂きたい。

実は筆者としては、これらのアルバムがコルトレーンの発掘盤、『Blue World』ほど騒がれなかったことに多少なりとも驚きを抱いた。マイルスのこのアルバムはただの発掘盤ではなく、マイルスの意志を継いだ新しいプロダクションだ。あの世のマイルスはきっと、グラスパーの『Everything’s Beautiful』(楽曲解説#9)の出来栄えからほどの満足は得なかったかも知れないが、少なくともこの『Rubberband』の出来栄えに不満は持っていないだろう、と勝手に想像する。なにせ『Tutu』のプロジェクトに寝返るまでは本人かなり熱を入れて進めていたプロジェクトであったし、この未発表アルバムのみに収録されていた曲を多くライブで演奏し続けたからだ。なぜメディアがそのあたりをもっと騒ぎ立てなかったのか、未だに煙に巻かれたような気分なのである。

最後にこのミニドキュメンタリーを是非ご覧いただきたい。

ヒロ ホンシュク

本宿宏明 Hiroaki Honshuku 東京生まれ、鎌倉育ち。米ボストン在住。日大芸術学部フルート科を卒業。在学中、作曲法も修学。1987年1月ジャズを学ぶためバークリー音大入学、同年9月ニューイングランド音楽学院大学院ジャズ作曲科入学、演奏はデイヴ・ホランドに師事。1991年両校をsumma cum laude等3つの最優秀賞を獲得し同時に卒業。ニューイングランド音楽学院では作曲家ジョージ・ラッセルのアシスタントを務め、後に彼の「リヴィング・タイム・オーケストラ」の正式メンバーに招聘される。NYCを拠点に活動するブラジリアン・ジャズ・バンド「ハシャ・フォーラ」リーダー。『ハシャ・ス・マイルス』や『ハッピー・ファイヤー』などのアルバムが好評。ボストンではブラジル音楽で著名なフルート奏者、城戸夕果と双頭で『Love To Brasil Project』を率い活動中。 [ホームページ:RachaFora.com | HiroHonshuku.com] [ ヒロ・ホンシュク Facebook] [ ヒロ・ホンシュク Twitter] [ ヒロ・ホンシュク Instagram] [ ハシャ・フォーラ Facebook] [Love To Brasil Project Facebook]

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