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R.I.P. リー・コニッツNo. 265

コニッツさん ありがとう by 池田 篤

Photo: © John Rogers / ECM Records

Text by Atsushi Ikeda 池田 篤

影響を受けてきた歴史的なサックス奏者の中でも、幸運なことに同時代を生き、その素晴らしい音に直接触れる機会を何度も持てたことで、コニッツさんは私にとって特別な存在の音楽家でした。

抜きん出たハーモニー感覚の上で、それに縛られることなく瞬間瞬間を漂うようにメロディーを奏でていく刺激的でありながらとても心地よいそのスタイルは、私の理想とするところとなりました。彼にとってサックスを吹くという行為はそのまま即興演奏をするということであり、即興演奏をするということは、まさに今を生きるということであったと思います。しかし彼のその今という瞬間はもう永遠に消え去ってしまいました。

今、私の心の中は、私自身の音楽を作っていく上で大きな力を与えてくださった彼に対する感謝の気持ちでいっぱいです。

コニッツさん、どうぞ安らかに。ありがとうございました。

 


池田 篤 (いけだ・あつし)Atsushi Ikeda: Alto Saxophone
1963年横浜生まれ。国立音楽大学にて石渡悠史氏に師事。並行してジャズを土岐英史氏、井上淑彦氏に師事。在学中より同窓の椎名豊(p)、五十嵐一生(tp)らとの活動も始め、山下洋輔(p)のグループなどに参加した。85年山野ビッグバンド・ジャズ・コンテストにて優秀ソリスト賞受賞。90年渡米しMarcus Belgrave (tp)との共演を通じて多大な影響を受けた。91,92年スイングジャーナル誌批評家投票で注目のアルト・サックス部門第一位獲得。95年帰国後、初リーダー作『Everybody’s Music』を発表。2006, 09年小曽根真& No Name HosesやJay Thomas(tp)小濱安浩(ts)と共に結成した日米混合バンド The East West Allianceなどでヨーロッパやアメリカ・ツアーに参加。10年、新宿 PIT INN でのライブ・アルバム『Here We Are』を発表。12年初頭より大病を患い療養生活を送るが、13年にはソロ・サックス・アルバム『The Embrace of Life』を発表しジャズシーンに復帰した。故辛島文雄(p)のグループでの長年の活動を経て現在は自己のカルテットの他、The East West Alliance, 原大力Trio, C.U.G. Jazz Orchestra, 小曽根真 & No Name Hoses, 山下洋輔 Special Big Bandなどで活動。著作に『The Jazz道 1〜3』。国立音楽大学准教授、ルーツ音楽院講師。

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