近藤等則というフォトジェニックな被写体  photographer 上原基章

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Photo & Text by 上原基章

近藤等則は本当に「photogenic」だ。今回の追悼特集のために膨大な写真データを眺めていて再確認した。トランペットを吹いている時の猛々しさだけではない。ふと俯いたり、遠くを見つめる瞬間の穏やかな表情に、とても「色気」が漂うアーティストだった。今回掲載したアップの写真を見れば分かるように、彫りが深く、長い眉毛や睫毛、見開いた大きな眼を持つ近藤等則の骨相は、まるで快慶作の仏像彫刻のようだった。

ファインダー越しで初めて近藤等則と向かい合ったのは、2009年7月22日。日本全国が皆既月食で沸き立ったこの日、近藤さんは天岩戸伝説のある沖縄県の伊平屋島で「地球を吹く」シリーズとして『天岩戸を吹く』というイベントを実施した。沖縄本島からフェリーで2時間もかかる離島にも拘らず、世界中から集まった近藤ファンは300人余。ずっと曇りで太陽は姿を現さなかったのに、巨岩の上でラッパが鳴り始めてしばらく経つと、一瞬近藤さんの頭上で太陽が顔を出し、大きな日輪が出現した。まさに近藤等則が手力男命(タヂカラノミコト)と化して天岩戸をこじ開けたその瞬間が1枚目のカットだ。

以後10数余、様々な場所でアーティスト近藤さんのパフォーマンスを撮影させてもらった。通して見ていくと、どの写真からもあのエネルギッシュなラッパの響きと鼓動が伝わって来る。そして、演奏後に垣間見せる笑顔のなんて素敵なこと!

2017年9月、富士吉田市上九一色村にある近藤さんの盟友の自宅の屋根上特設ステージ「風の丘」で行われた『富士山を吹く』の時も、日食の時と同様に天気は曇りがちで富士山は雲に包まれていた。しかし、近藤さんがラッパを吹き始めるや雲が飛び、やがて富士山がその全貌を現したのである(この時の音は自主レーベルから『富士喇叭』というアルバム・タイトルでCD化され、ジャケットには近藤さん自身が「お気に入りだよ!」と言って私の写真を使ってくれた)。そう、これからも近藤等則の魂はブロウし、シャウトし、地球を吹き飛ばし続けてくれることだろう。まさに彼は全身全霊の「ラッパ吹き」だった。合掌。

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上原基章  うえはら・もとあき
元ソニージャズ ディレクター/ステージ写真家

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