追悼 Curtis Fuller by トロンボニスト 治田七海

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Text by Nanami Haruta 治田 七海

Curtis Fullerの名盤のひとつに『The Opener』がある。ブルーノートでの彼の最初のリーダー作である。初めて聴いた中学2、3年の頃から、私はこのアルバムの虜だ。サイドメンはHank Mobley(ts)、Bobby Timmons(p)、学生時代からの知り合いだったと言うPaul Chambers(b)、Art Taylor(ds)という黄金の顔ぶれだ。
彼のトロンボーンは、吐息の入り混じったような、柔らかく、でもメリハリのある音色が心地よい。そんな魅力的な音で、A面・B面ともに一曲目からバラードだなんて、反則だ。極上すぎる。間違いなく今の私を構成しているアルバムの一枚である。

他にも彼のリーダー作から『Curtis Fuller Volume 3』なんかも私の愛聴盤だ。4トラック目に収録されている<Carvon>(Curtis Fuller作曲)。マイナーの曲調で、George Tucker(b)の野太いアルコ(弓弾き)とFullerのデュオから始まるのだが、これが渋くてたまらない。中・低音域でシンプルなメロディーが流れていくだけなのだが、背筋がゾクゾクするようだ。最後のトラック<It’s Too Late Now>(Burton Lane作曲)では、メロディーを吹くだけで彼はソロをとっていない。曲の終わりもあっさりしている。でも十分満足させられる。これらは彼のもつ音色の魅力なのだろう。

上記はどちらも1957年に録音されたものだが、60年代にはいってからの活躍も華々しい。コルトレーンの大名盤『Blue Train』や1961〜65年頃にはアート・ブレイキー・ジャズメッセンジャーズに所属するなど、ハードバップの時代に大いに貢献し、それを築いてきた。

自分が強く影響を受けた彼のトロンボーンを、本当は生で聴いてみたかったし、実際に会って話してみたかった。それが叶わないことは寂しく、悔しい。
だが、沢山の作品を残してくれたことに感謝して、これからも彼の音楽を聴き続けようと思う。

ファンキーで、アーシーで、情熱的で、ロマンチックで、私を暖かい音で包んでくれるあなたが、いつまでもヒーローです。
お疲れ様でした。
ご冥福をお祈りいたします。


治田 七海 (はるた ななみ)  トロンボーン
2001年生まれ、北海道札幌市出身。 5歳、クラシックピアノを始める。8歳、小学校のブラスバンドにてトロンボーンを始める。 13歳、札幌でライブ活動を開始。 14歳、北海道グルーヴキャンプに参加しバークリーアワードを受賞、翌年米国バークリー音楽大学へ短期留学。
17歳、Seiko Summer Jazz Campに参加し、Most Outstanding Student Award(最優秀賞)を受賞。 上京後、Aaron Choulai Raw Denshi Sextetへの参加、小林陽一とのレコーディング、Shunské G & The Peasのライブ、レコーディングへの参加など活動の幅を広げている。

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