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R.I.P. カーティス・フラーNo. 278

「ファンキージャズのエスプリを学んだツアー」 by クリヤ・マコト

Text by Makoto Kuriya クリヤ・マコト

コロナ禍が始まって以来、コロナとは無関係に内外からアーティストの訃報が続きますね。寂しく残念で、この感染症が音楽の世界でも一時代の節目になることを感じます。

ぼくは米国の大学へ進み、言語学を勉強する傍ら音楽活動をスタートしました。音楽を正式に勉強したことがなかったのですが、唯一ジャズの師匠と呼べる存在がカンサス出身のサックス奏者ネイサン・デイヴィス氏で、彼のツアーからキャリアをスタートしたのです。ファンキージャズ全盛期のアーティストで、その後、民族音楽博士となりジャズ教育で名を残した人物です。

帰国後、日本で活動を開始したぼくは、お世話になった師匠に恩返しをしたいと思ってツアーとレコーディングを組みました。その際に一緒に来日してくれたのが、ファンキージャズの巨匠カーティス・フラーでした。もちろん二人は大の仲良し。もう20年以上も前の事です。
当時ぼくは前衛的なハードバップを中心にプレイしていたのですが、二人の巨匠に敬意を表し、この時は共にファンキージャズを演奏させてもらいました。ぼくのスタイルと違うという批評を受けましたが、自分の評判とは無関係に、やはり本物と本物をプレイする喜びは格別でした。ただ聴くのとは違う、身体で感じるものがあるからです。

ジャズを作り上げた世代と共演する機会を得られ、幸運な時代を生きることができたなあと思います。それを引き継ぎ、さらに伝えていくのがぼくら世代の役割。未来のジャズがどこへ行くのかわかりませんが、身体で学んだことを身体で伝えていきたいと思います。カーティスをはじめ、偉大な足跡を残したジャズメンたちのご冥福をお祈りします。


クリヤ・マコト Makoto Kuriya: Composer, Jazz Pianist
神戸生まれ。ウエスト・ヴァージニア州立大学言語学部卒業。在学中から地元で音楽活動を始める。卒業後、ジャズ・ピアニストとして活動を開始、チャック・マンジョーネ、ネイサン・デイヴィス教授のグループに参加して全米をツアー。各地のジャズ・フェスティバル、TV番組に出演するほか、ドナルド・バード、トゥーツ・シールマンス、ジェームズ・ムーディー、トム・ブラウンなど多くの巨匠たちと共演。また、ピッツバーグ大学でジャズの講師を務め、米国でファースト・リーダー・アルバム『Always Your Friend』をリリース。
1990年帰国すると日野皓正グループに参加。ヨーロッパ、オーストラリア、ブラジルなどのツアー、モロッコ、台湾、エジプト公演などワールドワイドに活動を展開する。平井堅、八代亜紀、土岐麻子などのプロデュース、TVテーマ曲、映画音楽も手がける。TwelV(BS12)「歌謡ナイト jazzyなライブショー」にレギュラー出演し、アレンジとバンドマスターを担当。納浩一、則竹裕之との「アコースティック・ウェザー・リポート」でもツアーを行い、アルバムを2枚リリースしている。公式ウェブサイト: MakotoKuriya.com

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