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R.I.P. ウォルター・ラングNo. 290

ウォルターさんの音楽は永遠に by 藤本一馬

Text by Kazuma Fujimoto 藤本一馬

ウォルターさんとの出会いは自分にとってもとても大きなものでした。福盛進也くんのおかげでご縁を頂き、数年間だけではありましたが、ウォルターさんと進也くんと自分のトリオとして演奏し、日本だけでなくドイツでの共演も実現しました。


L+R: ©️cafe Beulmans

初めて一緒に音を出したとき、音の先にもう一つ音があるような、そして音が体に浸透していくような感覚に誘われました。オリジナル曲はどれも美しく、シンプルでいて一つ一つの音に意味が込められた、心に響くものでした。

ツアー中も3人で自然の中で宿泊したり思い出ばかりが蘇ります。移動中や終演後の夜にはお互いの音楽へのリスペクト、またプライベートのことまでいろいろな話をしました。彼の優しい人柄に触れて嬉しかった。それは音楽に乗り移り、聴衆の心を洗うだけでなく、共演者の心も洗う、そう思いました。

ウォルターさんがこの世を去った喪失感はありながらも、彼が残した音楽は永遠です。この音楽を繋げていくべくまたこうして演奏の機会を頂けたことが嬉しく、この出会いに感謝と、この出会いをくれた進也くんに感謝の想いです。過ごした日々は短い時間ではありましたが、自分なりのウォルターさんへの想いを紡いでいけたらと思っています。


藤本一馬 Kazuma Fujimoto – Guitarist, Composer
1998年ヴォーカルのナガシマトモコとのデュオ、orange pekoeを結成。2002年1st作«Organic Plastic Music»で幅広い支持を獲得。その後も国内はもとよりアジア各国や北米でも活動を展開。2011年ソロ名義での1stアルバム«SUN DANCE»をリリースし、雄大な自然からの着想、自己の内面を投影した叙情的なオリジナル楽曲もとに、アコースティックな響きと空間的余韻を内包したインストゥメンタル音楽を展開。ジャズやクラシック音楽だけでなくワールドミュージックリスナーなど幅広い支持を得る。その後もカルロス・アギーレやアンドレ・メマーリ、シルビア・イリオンド等をフィーチャーしたソロ名義作«Dialogues»、«My Native Land»、«FLOW»、また伊藤志宏とのデュオ作»Wavenir»(hummock label)を発表。2019年、予てから活動を展開していた林正樹、西嶋徹とのFLOWトリオに福盛進也が参加し、藤本一馬カルテットを始動。フォークロリックな感性と室内楽の持つ静謐さ湛えたコンテンポラリー・ジャズへ昇華。その他、これまで様々なプロジェクトへの参加、また国内および海外まで多数のアーティストと共演。旋律的でリリカルなギター演奏のアプローチ、ときに野生的なダイナミズムまで、その音楽性は高い評価を獲得している。公式ウェブサイト kazumafujimoto.com 

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