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R.I.P. ウォルター・ラングNo. 290

Remembering Walter Lang by 福盛進也

Text by Shinya Fukumori 福盛進也

どこから書き始めたらいいのか。
筆が全く進まない。

書けば書くほど、言葉にすればするほど陳腐に思えてしまい、何度もこの文章を書き直す自分がいる。
数えきれないほどの想い出たち。
その想い出たちの、どんなに小さなものでも自分にとっては宝物だ。

自分の人生の中で、最も密接に、最も長い時間を共にしたピアニストだった。
喧嘩もしたし、たくさん笑い、たくさんお酒を嗜み、最高の時間だったな。
そんな風に思い出すと涙が溢れてくる。

愛に溢れたあの笑顔。
そして優しさに満ちたあの音色。
もう一緒に演奏できないことを思うととても寂しい。

本当に、言葉にするのがもどかしい。。。
「ありがとう」としか言えないし、「また会いたい」としか思えない。
そうして蘇る想い出たちは、ウォルターと自分の心の中に大切に仕舞っておきたい。

ゆっくりと、時は進み続ける。
あなたに出逢えて、本当に良かった。
どうか安らかに。

福盛進也

Shinya Fukumori Trio – Snow Castle (Walter Lang)
Shinya Fukumori (drums), Walter Lang (piano), Trygve Seim (soprano sax)


福盛進也 Shinya Fukumori – Drummer, Composer
1984年、大阪市阿倍野区生まれ。17歳の時に芸術高校にて音楽を学ぶために単身で渡米。バークリー音楽大学を卒業。10年間のアメリカでの活動後、2013年に拠点をミュンヘンに移し欧州各国で活動を開始。2018年、ECMから日本人二人目となるリーダーアルバム”For 2 Akis”を世界リリース。2020年には自身のレーベルnagaluを立ち上げ、”Another Story”を発表。翌2021年には第二のレーベルS/N Allianceも設立し、プロデュース業にも力を入れる。独特で繊細なシンバルワーク、そして空間を自由に生み出し色とりどりに展開する演奏は世界中でも一目を置かれている。また作曲家としても高い評価を得ている。ダイナミクスの幅が広く詩情的なプレイを得意とする。
公式ウェブサイト shinyafukumori.com

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