謎はいつまでも謎のままで by 布施音人
Text by Otohito Fuse 布施音人
Jack DeJohnette のドラムは、私のジャズ人生の中で常に近くにありました。
まだジャズを何も知らなかった高校生の頃、Herbie Hancock, Pat Metheny, Dave Holland, Jack DeJohnette の Cantaloupe Island の動画を偶然見つけ、何度も何度も聴いていました。
東大ジャズ研では、Keith Jarrett の Standards Trio の演奏について、唯一の同期であるドラマーや先輩後輩たちとずっと語り合っていました。
そして、大好きなピアニスト Lyle Mays の唯一のピアノトリオ作 “Fictionary” は、20歳の頃に出会って以降ずっと聴き続けています。
DeJohnette の演奏は、細かく聴けば聴くほどどこかずれたところがあって、でも全てが圧倒的な説得力を持って迫ってきて、常に聴く人の聴き方を解体してくれるように思います。
ジャズ研時代、Keith Jarrett のトリオでの8バースを何度も聴き返しては、その分からなさを楽しみ、尊び、友人と共有し、そしてそのような素晴らしい演奏が残され、聴くことができることに感謝していました。
自分の耳が肥えていくに従って、同じ演奏を繰り返し聴いていても次々と新たな発見がある、という現象は、優れたミュージシャンのレコードを聴いていてよく起こることですが、DeJohnette の演奏はそれにとどまらない巨大な「謎」として、常に私の中で輝きを放っています。
残念ながら、直接 DeJohnette の演奏を聴く機会はついにありませんでした。
謎はいつまでも謎のままで、煌々と輝き続けています。
【Jazz Tokyo寄稿記事】
R.I.P. ライル・メイズ 計り知れない魅力を湛えた音楽に感謝 by 布施音人
布施音人 Otohito Fuse
1996年東京生まれ.音楽家の両親の元,幼少期より音楽に親しむ.4歳より,クラシックピアノを森知英氏に師事.中高では吹奏楽部に所属しフルートを担当.高校時代に Bill Evans の “Waltz for Debby” や “Consecrations” に触れ,ジャズの演奏に興味を持つ.2014年,東京大学入学と同時に東京大学ジャズ研究会に入部.学内外のジャズ研究会を中心にセッションを重ねる.2017年,慶應義塾大学のビッグバンドサークル,ライトミュージックソサエティに所属し,8月の山野ビッグバンドジャズコンテストにて,バンドで最優秀賞,個人で優秀ソリスト賞を受賞. 2018年8月,セイコーサマージャズキャンプに参加し,優秀賞(作曲・アレンジ部門)を受賞.2021年3月, 東京大学大学院数理科学研究科修士課程修了.IT企業に勤める傍ら,首都圏のライブハウスを中心に活動中.高橋陸(b),中村海斗(d)とのトリオで、2024年3月、1stアルバム『Isolated』を, 2025年10月, 2ndアルバム『Thus Have I Heard』をリリース.
