R. I. P.「イカルスはいまどこを飛ぶか」 金野 “ONNYK” 吉晃
タウナーの逝去を知り、悲しみにくれています。
思えば15歳、Weather Report のセカンドアルバム『I sing the body electric』収録、<The Moors>のイントロ、12弦ギターによる、それまで聴いたことのない、妖しすぎる響きに衝撃を受けたのです。
そのギタリストがリーダー作を出すと聞いて、ジャズ師匠の友人と色めきたったのでした。このアルバム、『Trios / Solos』(1973) がレーベルECMとの出会いです。クラシカルかつフォーキーなギター、骨太なベース、そこに見事なタブラという前代未聞のトリオ。何度繰り返して聴いたことか。ちなみに冒頭の<Brujo>は、スペイン語の「呪術師」でしょう。私はこれと並び、『Solstice』(1975) が一番好きです。そのジャケット、『Trios/Solos』が初期ECMのシンプルデザインの典型だとすれば、『Solstice』は樹の写真の美しさ、裏ジャケのメンバーの生き生きした雰囲気も、演奏現場を想像させました。
その後、タウナーの出自を求めて、「ポール・ウィンター・コンソート」のアルバムを幾つか聴きました。タウナーのソロ『Diary』(1974) にも収録された名曲<Icarus>は、コンソートのアルバム『ロード』(1970)、『イカルス』(1971)でも演奏されていました。その古楽器、民族楽器によるアンサンブルもまた、ソロとは違うバイタルな響きに、60年代的精神を感じました。それはファーストアルバムの<Brujo>というタイトルに、カルロス・カスタネダの呪術師シリーズをイメージしたからでもあります。カスタネダの書はカウンターカルチャーの聖書でした。
タウナーは、イカルスのように飛んでいきました。しかし、彼の翼が溶け落ちることは無いでしょう。
