悠々自適 #91「角田健一ビッグバンドと小曽根真 feat. No Name Horses」

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text by Masahiko Yuh 悠 雅彦

<はじめに>
日本の現今のジャズ界を代表する二つのビッグバンドを代表して、一方はコンサート(定期公演)で、片やもう一方はレコード吹込作品で、互いにそれぞれのバンドにとって最高度の成果を世に問う内容の演奏を展開、披露した。すなわち、角田健一ビッグバンドはコンサートで、片や小曽根真featuring No Name Horsesは新作のCDで。日本の現今のビッグバンド、あるいはジャズ・オーケストラとして、飛び抜けて高い技量と音楽性を誇る2つの大編成バンドが期せずしてコンサートとCD作品で互いに自ら主張するビッグバンド活動の在り方を追求し、形にしたことはすこぶる興味深い。無論、勝負というような意味合いではないことを強調しておきたいと思うが、新年早々の巻頭文では2つのビッグバンドが今回、いかなる興味尽きない演奏を行ったかに絞って報告することにしたい。

◯角田健一ビッグバンド/ビッグバンド名曲集 Vol. 8
 2019年12月8日(日曜日)14:00  紀尾井ホール

 ビッグバンド界のみならずジャズを中心とする日本のポピュラー音楽界をも牽引した原信夫(1926.11.19)が長きにわたるシャープス・アンド・フラッツ活動に終止符を打ち、60年にも及ぶ完全燃焼の音楽生活に別れを告げたのが2010年(1950~2010)。本年2020年に原信夫は94歳を迎える。
一方、ニューハードを名乗ったオーケストラを率いてビッグバンド・ジャズ旋風を巻き起こしたリーダーの宮間利之が人知れず94歳の大往生を遂げたのが2016年5月24日(1921.10.31生)。その宮間利之さんのまさに右腕となって作編曲家としてニューハードの屋台骨を粉骨砕身支え続けたギタリスト山木幸三郎も、宮間さんの後を追うように一昨年(2018年)の12月26日に亡くなった。87歳だった。

 この両ビッグバンドと互角に渡り合ったのが東京ユニオンである。1964年に加入したテナー奏者の高橋達也(1931.12.27)が1966年にリーダーに就き、77年に三木敏悟と組んだ『北欧組曲』で日本ジャズ賞を獲得。人気が頂点にあった1989年に高橋が倒れ、バンドは同年いっぱいで解散した。奇跡的に復帰した高橋だったが、2008年2月29日に膵臓癌で死去。76歳だった。

 これらの悲報に接して、我が国のビッグバンド・ジャズにもしかすると終焉が来るのではないかと多くのファンが思ったのではないか。かく言う私もそのひとりだった。唯一の望みは、東京ユニオンが解散した翌年の1990年、上記の3大バンドすべてに在籍し、トロンボーン陣の一角を担った角田健一がビッグバンドを立ち上げた一報を知らされたときだった。”スイングから武満徹まで”をバンドのポリシーに掲げた角田の心意気にも胸が熱くなる思いを覚えたことが忘れられない。もちろんこの時点では角田健一ビッグバンドが海のものとも山のものとも分からないというのが正直な思いだったが、告白すれば ”スイングから武満徹まで” を臆すことなく掲げた角田の心意気に賭けてみようというのがその当時の私の気持だった。その後、角健ビッグバンド(ツノケンバンド)には大きな期待をかけながら、一方でその期待が報われずに終わることが多々ある中で、にもかかわらずいったん翳(かざ)した期待のジェスチュアを心の隅にしまったまま、私は執拗にこのバンドへの期待と執着を手放さずに追い続けてきたことを告白する。

 そして、とうとうこの日(12月8日)が到来した。隣の席が何と、日本のジャズについては現在氏の右に出る者はない、そう瀬川昌久氏だった。

                                         

第1部  4大ビッグバンドリーダーに捧ぐ
  グレン・ミラー楽団
1.  Moonlight Serenade  ムーンライト・セレナーデ
 2.  Chattanooga Choo Choo   チャタヌガ・チュー・チュー
3.  Little Brown Jug  リトル・ブラウン・ジャグ(茶色の小瓶)

  カウント・ベイシー楽団
4.  Shiny Stockings  シャイニー・ストッキングス
5.  Li’l Darlin  リル・ダーリン
6.  I Can’t Stop Loving You  アイ・キャント・ストップ・ラヴィング・ユー(愛さずにはいられない)

  ベニー・グッドマン楽団
7.  Don’t Be That Way  ドント・ビー・ザット・ウェイその手はないよ)
8.  Good Bye  グッド・バイ
 9.  The World Is Waiting for the Sunrise  (世界は日の出を待っている)

  デューク・エリントン楽団
10.Satin Doll  サテン・ドール
11.  The Mooche  ザ・ムーチ
12.  Take the A Train   テイク・ジ・エイ・トレイン(A列車で行こう)

第2部 ビッグバンド名曲集 Vol. 8
1.  How High the Moon   ハウ・ハイ・ザ・ムーン(モーガン・ルイス)
2.  Besame Mucho  べサメ・ムーチョ(コンスエロ・ベラスケス)
3.  El Cunbanchero  エル・クンバンチェロ(ラファエル・エルナンデス)
4.  My Blue Heaven  マイ・ブルー・ヘヴン 私の青空(ウォルター・ドナルドソン)
5.  Sophisticated Lady  ソフィスティケイテッド・レディー(デューク・エリントン)
6.  Sing Sing Sing  シング・シング・シング(ルイ・プリマ)
7.  Jumping Big  ジャンピング・ビック(角田健一)

Encoire(アンコール)
1.  Dinah  ダイナ(ハリー・アクスト)
2.  Things Ain’t What They Used to Be  シングズ・エイント・ホワット・ゼイ・ユーストトゥ・ビー (昔は良かった)(マーサ・エリントン)

角田健一ビッグバンド
角田健一(リーダー、作曲、編曲)
田中哲也、鈴木まさあき、柴山貴生、宮本裕史、松木理三郎(トランペット)
滝本尚史、高橋英樹(b-tb)、高井天音、西村健司(トロンボーン)
杉本匡教(Tenor sax)、高野猶幸(Alto sax)、辻野進輔(Alto sax)、川村裕司(Tenor sax)、丹羽康雄(Baritone sax) (以上サキソフォーン)
板垣光弘(piano)、古西ただあき(bass)、佐久間和(guitar)、中里たかし(percussion)、小山太郎(drums)(以上リズムセクション)

 <4大バンド・リーダーに捧ぐ>と銘打った第1部の演奏自体には、あらかじめプログラムに掲載された曲目を眺めたときは、後で目が覚めるような思いを体験する何かが秘められているコンサートになるだろうとは夢にも思わなかった。ところが、ところがである。グレン・ミラー楽団の「ムーンライト・セレナーデ」で幕が開き。その「ムーンライト・セレナーデ」だったか、2曲めの「チャタヌガ・チュー・チュー」だったかで、アルト・ソロを筆頭に、トランペットの鈴木まさあき、トロンボーンの高井天音らのソロが耳に飛び込んできたとたん、気軽な気分で久方ぶりに聴くツノケン・バンドのお手並みを拝見しようかといった安易な気持はたちまち消し飛んだ。とりわけアルトの高野猶幸のソロを耳にした瞬間、いささか誇張した言い方を承知の上で言えば思わず瞬間的に酔い覚ましの熱い飲み物を口に含んだときのような、衝撃的な快感で身体が浮揚するとしか言いようがない、とてつもなく新鮮な驚きを覚えて思わず声を上げそうになり、隣におられる瀬川昌久氏の声が耳に入って我にかえり、すんでのところで物笑いのタネになるしかない恥ずべき素っ頓狂な声を立てずに済んだ。

 正直にいうが、私はツノケン・バンドのコンサートは毎回ほとんど欠かさず聴いている。記憶の糸をたぐっていくと、4月20日に文京シビックホールで行われた恒例のビッグバンド・フェスティバルに行きつく。このビッグバンド・フェス以来ツノケン・バンドのステージには接していないはずだ。もしこれが間違いない事実であれば、この時からこの日のステージまでの約7ヶ月の間のどこかで、角田健一はこれらの卓越した新鋭プレイヤーを補充し、別の言い方に置き換えれば自己のビッグバンドの大改造を断行したのではないかと想像を巡らすことができる。このことは角田さんに直接お尋ねすれば済むことだが、たとえ誤った当て外れの想像であったとしても構わない。そこにはある種のクイズに答えるようなスリルがある。それを楽しむことにしよう。

 それはともかく、先に名前を挙げたアルトの高野猶幸、トランペットの鈴木まさあき、トロンボーンの高井天音のほか、トランペットに松木理三郎、柴山貴生、トロンボーンに滝本尚史や西村健司、サックス陣に辻野進輔、杉本匡教、ギターに佐久間和が新参加し、従来のメンバーであるトランペットの田中哲也、宮本裕史、ベース・トロンボーンの高橋英樹、テナーとフルートの川村裕司、バリトン、フルート、クラリネットの丹羽康雄、ピアノの板垣光弘、ベースの古西ただあき、ドラムスの小山太郎の8名が、新たにメンバーとなった10人を含む総勢19名(後半はパーカッションの中里たかしが加わった)によるサウンドが、この日聴くかぎりかつてないほど輝かしいものとなったことは間違いない。こうして新たな布陣を敷いたツノケン・バンドを聴いて大きな感激を体験したことになる。予想もしていなかったバンドの新布陣、何よりこのメンバーを一新した角田のビッグバンドが披露したこの日の目がさめるような演奏に、思わず心中で秘かに快哉を叫んだというわけである。さらに、一種の連鎖反応の結果か、あるいは新メンバーのプレイに刺激を受けてか、従来からバンドの核となって当バンドを支え、かつ強力にツノケン・バンド鼓舞してきた旧メンバーの奮起もあってか、リーダーの角田が思い描いた角田健一ビッグバンドがここに出来上がったこと、かくしてある意味で過去にない高度なアンサンブル・ワークを誇るに足るビッグバンド・サウンド達成を果たしたといっても、決して言い過ぎにはならないと思う。実際、田中哲也にしたって、そのサウンドやプレイぶりはかつてを凌駕していたし、同じく宮本裕史にしても川村裕司や丹羽康雄にしてもまさに負けん気を爆発させたかのようなプレイを見せたのだから。それは例えば板垣満博のいたって上機嫌なピアノ・ソロや、とりわけ小山太郎の持てるエネルギーを爆発させた威勢のいいドラミングにシンボリックに発揮されていたと言っても決して過言ではない。

 角田健一ビッグバンドの今回の演奏をさらに実りあるものにしたリーダー、角田健一の高度にして洗練された編曲(アレンジ)力を特に讃えておきたい。とりわけこの日演奏した大半の楽曲、特に「ムーンライト・セレナーデ」を皮切りにエリントンの「ザ・ムーチ」や「A列車で行こう」にいたる第1部の全12曲の楽譜に新たな手を加え、曲によってはすこぶる斬新なサウンドに仕立て上げた角田のアレンジャーとしての能力と腕前には舌を巻いた。決して大げさに言っているのではない。この日の第1部の演奏で言えば、全12曲は過去にも何度か耳にしている曲、演奏だ。だが、初めて聴くような錯覚にとらわれるのが何ゆえかといえば、ほとんどのスコアがこの日の演奏のために角田が新たに書き直したか、ひょっとしたら曲によっては書き加えたかのどちらかだったに違いないからだ。そこに、先に指摘した有能な若いプレーヤーたちのテクニックとセンスがキラリと光る演奏術が加わって、もうこのツノケン・バンドで耳にたこができるくらい何度も聴いている曲にもかかわらず、あたかも初登場したかのような新鮮この上ない響きとなって聴くものを包み込んだのである。

 昨年(2019年)はベニーグッドマンが生誕110年、グレン・ミラーとカウント・ベイシーが生誕115年、デューク・エリントンが生誕120年と、ジャズの発展に貢献したこれら4人の偉大なミュージシャンの記念すべき年に当たっていたことが、これら4人の音楽家に焦点を当てるプランを組んだ理由であると角田健一自らが冒頭の挨拶の中で触れている。私の心を捉えて放さなかった、バンド設立時の彼のモットー ”スイングから武満徹まで” に従えば、新年の2020年のどこかで目の覚めるような ”武満徹ジャズ” を実現してもらいたいと心から願って締めくくることにしたい。

◯『小曽根真 featuring No Name Horses / Until We Vanish 15 x15』
Verve   ucca – 2175   ¥ 3,000

1.  You’re My Heaven,  You’re My Hell (小曽根真)
2.  Carrots Or Bread ? (小曽根真)
3.  I Try To Imagine (小曽根真)
4.  Rainbow(エリック・ミヤシロ)
5.  Camellia(三木俊雄)
6.  12 Colors  (中川英二郎)
7.  Little Bird Blues (池田篤)
8.  Until We Vanish (小曽根真)
9.  Time Thread (小曽根真)

小曽根真 featuring No Nmae Horses;
小曽根真(Leader、piano、Hammond B-3 organ)
エリック・ミヤシロ(trumpet、 flugelhorn)、木幡光邦(trumpet、flugelhorn)、奥村晶(trumpet、flugelhorn)、岡崎好朗(trumpet、flugelhorn)<以上トランペット>
中川英二郎(trombone)、Marshall Gikes (trombone) 、山城純子( bass trombone ) <以上トロンボーン>
近藤和彦(alto saxophone、soprano saxophone、flute)、池田篤(alto saxophone、flute)、三木俊雄(tenor saxophone)、岡崎正典(tenor saxophone、clarinet)、岩持芳宏(baritone saxophone、bass clarinet)<以上サキソフォーン>
中村健吾(acoustic bass & electric bass)、高橋信之介(drums、 gong)

 ちなみに、小曽根真の項には「Leader」の表記はない。全員一丸、あるいは全員が小曽根の呼びかけに呼応して参集した演奏者(音楽家)仲間たちの集まりとの意識が浸透しているからだろう。それを承知の上で、ここでは関心を寄せる音楽ファンに分かりやすい方途として、私の独断で「Leader」の呼称を用いた。

 白状しておくが、私は小曽根真とNo Name Horses の吹込作品をすべて聴いているわけではない。このビッグバンドのディスコグラフィーを、すべて知っているわけでもない。ただ、分かっている間違いないことは、彼らが2006年だったかニューヨークでコンサートを行って絶大な注目を浴び、名だたるジャズ通を驚かせた一事に象徴されるように、爾来この小曽根真と No Name Horses はどんなに過少に見積もっても世界でトップ・クラスを担う指折りのビッグバンドとなったことだけは間違いないということだ。2006年といえば、小曽根真と彼らが記念すべき第1作 CD『No Name Horses』を世に問うた年でもあった。私がとりわけ目を見張らずにはいられないのは、このときから今日に至るまで小曽根や彼らバンド仲間が作ったオリジナル曲しか演奏しない路線を当たり前のように策定し、今日にいたっていることだ。これがこの No Name Horses の揺るぎない路線ともポリシーともなり、誰一人として小曽根や彼らに向かって”誰もが知ってる曲をやれ”などとおくびにも言わなかったことだろう。それは無論この新作とて例外ではない。

 メンバーは恐らくよほどの事情がなければ交代してはいないはずだ。日本を代表する知名度も腕前のほども際立って高いこれらのミュージシャンが、結成以来ほとんど変わらず小曽根真と行をともにしていることを考えれば、このオーケストラが最高度のチームワークを決して闇に葬ることなく、今日までの10数年間をひたすら自由に、かつ活きいきと、そして恐らくは和気藹々と、小曽根真を中心とするマンダラ世界を構築し、そのマンダラ円の中で謳歌する生命力、知恵、美の統合といった重要な特質を表現に反映させ、今日の栄光を築き上げてきたと言って良いのではないか。

 CD解説書の中で小曽根真は述べている。
<15年前、ここに集まったミュージシャン達の奏でる音を初めて聴いた時は本当に魂が震えた。僕は「言ったことのないところに向かって行く」音楽を弾くと生きる歓びを痛感できるので大好きなのだが…そんな「行く先が直前まで見えないチャレンジングな道」を15人で一緒に走り抜く豪快な疾走感を教えてくれたのは No Name Horses のメンバーたち。その道は Big Band という概念を壊し、ジャンルの壁も壊し、音楽のみが知る場所へ僕らを導く>。

 15年前とは、伊藤君子のアルバム『Once You’ve Been in Love』の吹込のことを指しているのだろう。この吹込のために結成した(2004年3月)のが本ビッグバンドの始まりであり、その音のすばらしさに驚嘆した小曽根の驚きが No Name Horses 結成の出発点ともなったのだ。

 この新作で小曽根真はピアノの他にハモンド・オルガン B-3 を演奏する。彼がオルガンを弾くトラックは冒頭2曲「you’re My Heaven, You’re My Hell」と「Carrots Or Bread」、及び8曲目の「Until We Vanish」。その3曲、なかんづく冒頭2曲で目覚ましいエレクトリック・ギターを披露するのが20歳になったばかりという山岸竜之介(1999年5月15日生。大阪市出身)。このギタリストについて小曽根真が寄稿文の半分を裂いて書いているので引用する。「15年前は20歳になったばかりのロック・ギタリストと共演するなんて想像もしなかったのに、今 No Name Horses と竜之介が奏でるサウンドは、ずっと前からあった会話のように聞こえる。その心地よさに通ずる何かを、竜之介と真正面から向き合って話すメンバー1人ひとりの眼の中に見た。全ての尊い命と、命を捧げていく大切なものを」。

 確かに、演奏や表現上の違和感はまったくない。といって彼が No Name Horses のレギュラー・メンバーになったわけではないだろう。その証拠に正規メンバー(4tp、3tb、5reeds、b、ds)のプロフィールは掲載されているが、そこでは山岸竜之介の紹介はない。

 演奏配列からいっても、この山岸がソロを披露する(1)、(2)は聴きもの。小曽根が感心するのももっともだ。だがそれ以上にジャズとは異質の音楽を巧みに融合させ、ロック特有のハーモシーを巧みにジャズサイドに引き寄せてブレンドした小曽根の決意がほのみえる書法に感心した。次の 「Carrots」は大阪で人気のフリースジャケットのことか。ここでの小曽根のオルガンと山岸のエレキギターのチェイス風な対話に小曽根のノリがよくうかがえる。直後の木幡光邦や山城純子のソロとの違和感もない。(3)の方では山岸のソロを挟んで、中川英二郎、バリトンの岩持芳宏、小曽根、エリック、ドラムスの高橋の熱いソロが聴ける。

 この3トラック以外の6曲(3、4、5、6、7、9)は小曽根がアコースティック・ピアノを弾くいわばアコースティック・トラックで、従前からのファンには違和感なく聴ける。(3)の近藤和彦(ss)、岡崎好朗(tp)、小曽根真(p)、(4)での小曽根真(p)、三木俊雄作曲の(5)はむろん三木(ts)のソロのリリカルな感性が光る。(6)の中川英二郎作品では小曽根真と岡崎正典(ts)がソロをとる。両者のソロの間のアンサンブルが、セクションごとの絡みを含め、岡崎のソロ後のアンサンブルを含めて本作中出色の出来栄えだった。(7)は池田篤の作品。彼のasソロを中心に。奥村晶のtpが淡い詩情を生む。(6)に加え、(3)や(4)、(5)や(7)のアンサンブルに示した小曽根真のオーケストレーションが素晴らしく、(4)で示したエリック・ミヤシロのアンサンブルのリードぶり等々、相変わらず聴きどころの多彩な No Name Horses の新作だった。(2019年12月14日記)                                                                                                

悠雅彦

悠雅彦

悠 雅彦:1937年、神奈川県生まれ。早大文学部卒。ジャズ・シンガーを経てジャズ評論家に。現在、洗足学園音大講師。朝日新聞などに寄稿する他、「トーキン・ナップ・ジャズ」(ミュージックバード)のDJを務める。共著「ジャズCDの名鑑」(文春新書)、「モダン・ジャズの群像」「ぼくのジャズ・アメリカ」(共に音楽の友社)他。

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