小川隆夫著『ジャズ超名盤研究 3』刊行
ジャズ・ジャーナリスト小川隆夫による『ジャズ超名盤研究 3』が刊行された。スイング・ジャーナル誌連載をまとめた第1巻が34枚、続く自選による第2巻と新刊の第3巻がそれぞれ書き下ろしの33枚ずつで3巻合わせて100枚の超名盤の紹介となった。
ちなみに第1巻の1枚目はビリー・ホリデイの『奇妙な果実』(コモドア 1939) で100枚目がウィントン・マルサリスの『スターダスト』(コロムビア 1984)で、ビバップ以降のモダンジャズの精華ということになる。ちょっとしたジャズ・ファンなら1度は耳にしたことがあるアルバムばかりだが、単なるガイドブックにとどまっていないところがこのシリーズの特徴である。ちなみに今年没50年になるアルバート・アイラーについては通巻92枚目に『グリニッジ・ヴィレッジのアルバート・アイラー』(Impulse 1967)が取り上げられ、作品概要から始まりメンバー紹介、全曲紹介、コラム、証言、関連アルバムまで13ページが費やされている。コラムでは筆者が収集したエピソードが4つで、最後に死因をフェリーからの飛び込み自殺と結論づけている。証言ではジョー・ロヴァーノを含む3人のミュージシャンがブラインドフォールド的な感想を述べている。このコラムと証言が筆者の取材の賜物で他のガイドブックと差別化されるところだろう。
筆者がいうように「3巻合わせて100枚ーーこれらのアルバムを聴けば、モダンジャズ以降の発展や主だったミュージシャンが把握できる」。その中の33枚が新刊に掲載されている。
小川隆夫著『ジャズ超名盤研究 3』
A5半 536ページ
¥2,600+税
2011.1.29発売
シンコーミュージック・エンタテイメント