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ブライアン・マッキャン著『ゲッツ|ジルベルト 名盤の誕生』

アルバム『ゲッツ/ジルベルト』(Verve 1964) は、ボサ・ノヴァのオリジネイターであるアントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトをジャズサックス奏者のスタン・ゲッツと組ませることによりボサ・ノヴァを世界に知らしめた最大の功労者であり(1965年グラミー賞「最優秀アルバム賞」受賞)、オープナーのジョアンとアストラッド・ジルベルトが歌う<イパネマの娘>がその牽引者であったことはよく知られる通りである。

本書は、アメリカのブラジル史学者ブライアン・マッキャン教授が、アルバムの魅力をさまざまな傍証やエピソードを交えながらその魅力と世界的ヒットの要因を解き明かした労作である。多くの協力者を得ながら収録された8曲について詳細な音楽的解剖を試みつつ、ブラジル史学者としての研究成果、ブラジルやコパカバーナ、リオ、イパネマなどの歴史や風俗、ブラジルにおけるボサ・ノヴァの立ち位置などにも触れ、『ゲッツ/ジルベルト』という1枚のアルバムからブラジルとボサ・ノヴァを多面的に浮き彫りにする。
ジョビンと晩年日本のファンから圧倒的な支持を受けたジョアン・ジルベルト、アストラッド、ゲッツのアーティストたち、プロデューサーのクリード・テイラー、読者が最も興味を示すであろうこのアルバムを創り上げたこれら人物の実像と人間模様についても多くのエピソードにも事欠かない。
読了後、あらためてこのアルバムに二度、三度と耳を傾けたくなることは間違いない。

詳細は;
https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0649036/

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