[講演会] 5/3 大和田俊之『アメリカ音楽の水脈 ─ジャズとラテンのフロウ(流れ)』at ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2026
Cover photo ©︎ Naoyuki Hayashi 林 直幸
Text by Hideo Kanno 神野秀雄
ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2026 「LES FLEUVES(レ・フルーヴ) ―― 大河」
大和田俊之 講演会『アメリカ音楽の水脈 ─ジャズとラテンのフロウ(流れ)』
講師:大和田俊之 (慶應義塾大学法学部教授・ポピュラー音楽研究)
2026年5月3日(日・祝) 18:30〜19:30 (開場18:10)
東京国際フォーラム ホールB5(2) (最寄駅:有楽町駅、東京駅)
ラ・フォル・ジュルネTOKYO 公式ウェブサイト 講演会ウェブページ
※LFJの有料公演チケットまたはマスターコースチケットを所持していれば無料で参加できる。
東京・丸の内のGWの風物詩として定着したクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(LFJ)。2026年も5月3日(日)〜5日(火)、東京国際フォーラムで開催される。2026年のテーマは音楽にインスピレーションを与えてきた大河。ジャズ、ブルース、ロック、R&Bを育んだ「ミシシッピ川」にも強くフォーカスしながらジャズのコンサートも多数用意されている。壷阪健登、中川英二郎、エリック・ミヤシロ、本田雅人、小野リサ、Ai Furusato、渋さ知らズ、BLACK BOTTOM BRASS BANDなどが出演する。有料公演チケットを持っていれば参加可能な無料コンサートや講演会も充実している。講演会の全プログラムはこちら。
その中でも特に注目したいのが、アメリカ音楽研究の第一人者、慶應義塾大学法学部教授 大和田俊之の講演会だ。大和田は、幅広い知見と膨大で緻密な研究を背景にしながら、『アメリカ音楽史〜ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』(講談社)で第33回サントリー学芸賞、『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)で第34回ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞を受賞など高い評価を受け、NHK『星野 源のおんがくこうろん』では「としかいせついん」を務めるなど、テレビ、ラジオも含めて幅広く活動している。
アメリカ音楽は、フランス植民地”ルイジアナ”に始まる、ミシシッピ川水系をひとつの軸に創造され発展してきた。ヨーロッパ、アフリカ、カリブ海、南北アメリカの人と文化が流入し出会い、ニューオリンズ、メンフィス、ナッシュヴィル、カンザスシティ、シカゴなどをハブに、政治社会状況も影響しながら、複雑な相互作用の中でブルース、ジャズ、ロック、カントリー、R&Bなどが誕生し発展し、ヒップホップも交えながら今もリアルタイムに変化し続ける。だが、大和田はミシシッピ川など実際の河川に限らず、”水脈”というキーワードでアメリカと周辺の音楽や文化の相互作用を読み解いていくと思われる。
LFJに出演するピアニスト壷阪健登も慶應義塾大学で大和田に学んだ一人だ。
「私は、大和田俊之先生のポピュラー音楽研究ゼミの出身です。アメリカ音楽史の発展にも大きな影響を与え、今なお日々変化し続けているジャズという音楽を志す者として、先生のご授業から多くのことを学びました。今回のラ・フォル・ジュルネは、そんな大和田先生の講演をチケットの半券があれば無料で聞くことができる機会です。ジャズの歴史にとどまらず、アメリカ音楽史や文化史、さらにはラテン音楽にまで広がる、まさに旅のような素晴らしい機会になることと思います。プログラムは異なりますが、ラ・フォル・ジュルネというフェスティバルの中で先生とご一緒できますことを、大変光栄に思います。」
壷阪健登は、2025年にはLFJ本家フランス・ナントにも招聘されスタンディングオベーションで迎えられ、LFJ TOKYOではホールA(定員5,012人)でガーシュウィン<ラプソディ・イン・ブルー>を。2026年はホールAでの2公演という大役を任されている。たとえば、壷阪が出演する5月3日(日・祝)20:30開演の「SUPER BRASS STARS」(公演番号115)〜エリック・ミヤシロ、中川英二郎、本田雅人、小野リサなどと共演〜、5月5日(火・祝)21:15開演の「ファイナル・コンサート」(公演番号315)〜壷阪がドビュッシー&ラヴェルに基づく即興を演奏〜などの有料公演チケットを購入して大和田の講演会に臨むのがお勧めだ。
また、慶應義塾大学文学部教授/アートセンター副所長の粂川麻里生(くめかわまりお)は、大和田を以下のように紹介する。
「慶應義塾大学アートセンターでは、ジャズ評論家、油井正一さん、瀬川昌久さん、相倉久人さん、副島輝人さんなどの資料を管理し、アーカイヴ構築して国内外の研究者やジャズ愛好家の方々に参照していただくための作業を続けて来ました。一方、大和田教授は、内外のポピュラー音楽研究の中核メンバーとして、アートセンターの各種活動を牽引してくださっています。今回の機会は、そんな大和田教授に様々なジャズやラテンをはじめ多様な民族音楽の諸要素が、近現代の文化史の文脈の広がりの中でどのような意味を持っていったのかをさまざまな角度から楽しくお話いただける機会になると思います。私自身お伺いするのを楽しみにしています。」
LFJ本家ナントでの2027年テーマは、ベートーヴェン没後200年を記念して「Galaxie Beethoven ベートーヴェンの銀河」に決定しており、東京もそれに準じて開催される可能性が高い。粂川は「ゲーテの思想が現代にどんな可能性を持つか」の研究をライフワークとしており、2027年のテーマが、ゲーテと親交があったベートーヴェンの普遍性、芸術と科学との対話、現代に至るまでの引力的な影響を探求するという方向性に近いところにいる。没後200年にあたってLFJ2027などで、ベートーヴェンとゲーテが論じられる日も楽しみにしたい。
壷阪健登【LFJ TOKYO 2026 インタビュー】
